DTMの勉強の仕方(EDM・バンド編)
僕はバンド上がりなので、EDMとかヒップホップとかは全く通らずにここまで来て、今年からその方面のサウンドを自分の音楽に取り入れようと思ってやってます。(最近はこんなの作りました↓)
通ってないジャンルだから当然外から情報を入れていく必要があるんですが、現代はYouTubeで(観てる側の人は)無料でチュートリアルを観て音作りやテクニックを勉強できたりします。
ただ、YouTubeに乗ってる動画なら何でもいいわけじゃなく、観るべきものはあるな〜と思います。
自分が参考にしてる基準はこんな感じです。
海外の動画を観る
ポピュラーミュージック、特にEDMはアメリカとEU圏が本場です。なので、やっぱり本場のものを学習すべきで、海外のプロデューサーが上げているチュートリアルを優先的に選びます。
寿司の作り方習おうと思って、アフリカやインドに行ったりしないですよね?日本の食文化なんだから日本で習おうって思いますよね?それと同じです。
サウンド的には洋楽特有の、あのやたら壮大で空間が広い感じ、ローが硬くてドッシリ来る感じ、そういうのを取り入れたいので、YouTubeでは欧米人から知識を伝授してもらってます。
実績のある人を選ぶ
じゃガイジンがしゃべってるなら何でもいいのかというとそんなことはなく、YouTubeは素人もプロも一緒くたに並べるカオスな世界なんで、アメリカ人のYouTuberでもショボい人はいっぱいいます。
時間のかかるやり方を教えてたり、加工しすぎてそれっぽい音は出してるけどそれ劣化してるよね?って感じの音になってる人とか。
何より、チュートリアルで出してるサンプル曲がカッコよくないことが多い!
DAWの触り方を覚えたいのが目的じゃなくて、自分の音楽、表現力を向上させたいんだから、そのアウトプットに自分が共感できるものを取り入れたいなと思ってます。
なので、僕はSpotifyで聴いた曲から「ああ、こういう音にしたい!」って思えるアーティストのチャンネルを探して観ます。それも、再生回数が多くてツアーも回っていて、アーティストとして現場で実績がある人を参考にします。
その観点でいつもお世話になっているのはAu5とVirtual Riotですね。
この二人は実績は言わずもがな、制作面でも引くくらい詳しいし、「それ、知らなかったら絶対そんなとこいじらないでしょ」っていうようなパラメータを触って音作りしてたりと、ものすごく努力してきたんだろうなあというのを感じさせてくれます。
この二人でなくても、若いプロデューサーでまだスターダムにのしあがってない(目安Spotifyでリスナー数が数万〜数十万程度)くらいの中堅クラスの人だとYouTubeを積極的にやっていることも多いので、「プロデューサー名+tutorial」とか「プロデューサー名+master class」とかでYouTube検索したら、自分の曲や制作フローを解説してるチャンネルが出てくることも意外とあります。
作っているジャンルが好きでやってる人か
というのも地味に大事だと思います。
僕は、ダブステップのチュートリアル動画をよく観るけど、ダブステップのHow Toって体系化されていないから情報ニーズとしては高くて、動画にすると再生数がそこそこ出るようです。
そのせいか「ダブステップが好きで作ってないでしょ」って人がかなりいるので、(ダブステップに限らず)自分が知りたいジャンルの曲をコンスタントにリリースしている人かどうかも最初にチェックします。
EDM全般的に、ジャンルとしてのブームはもう2010年代後半がピークで、今はジャンルが細分化してそれぞれにガチ勢だけが残ってるという雰囲気なので、自分の目指す方向性にどっぷり浸かってる人の方が、サウンドへの追求は強いです。
レッスンしてもらうなら「メジャーの仕事をしてる人に」
ちなみにこれは楽器のレッスンも同じで、僕は昔ベースを習ってたことあるんですが、その時も「メジャーの仕事を現役でやってるプロベーシスト」の人を探して個人レッスン受けてました。
当然忙しい方々なので、スケジュール調整はかなり大変でした(早朝や深夜になったりはよくしました)が、レッスンで習ったことをその直後のリハーサルでバンドにそのまま持ち込んだら、メンバーからの反応が全然変わったのを覚えています。
ちなみにDTMに関しても僕は二人の作家さんにレッスンつけてもらったことありますが、その二人もメジャーなアイドルの曲に採用されたことあるとか、僕が好きなメジャーアーティストとずっと仕事してる人とかでした。(そういう人をググりまくって探した)
やっぱり現場で使う能力なんだから、それを実践していて結果をコンスタントに出している人の言うことの方が価値があると思うんです。
同じ機材を使う
チュートリアル動画ではソフトシンセなど実際の音源の画面を見せながら説明していることが多いんですが、自分も同じものを使った方が身になります。まあ、そりゃそうだって話ですけど。
たまに無課金勢です、と言ってDAW標準の音源だけで曲作ってる人いますが、申し訳ないんですけど、そういう人でクオリティ高いなって思えるような曲に会ったことありません。「なんか初代プレステみたいなチープな音してるな〜…。平成ならともかく今の時代にこの音はちょっと」という印象になることが多いです。
プロが現場で使っているものと同じものが数万円で手に入って、その使い方やテクニックをYouTubeで教えてくれてるならこれに乗っからないという選択肢はないと思うんです。
なので、音源やプラグインはプロ仕様の定番機種を買いましょう。お金がなければ別のところで頑張って稼ぎましょう。稼ぐなら、安易にコンビニや居酒屋でバイトするんじゃなくて、儲かってる業界を探して飛び込みましょう。
バンドものは?
EDMはそんな感じで、バンドものはどうかと言うと、「楽器を持って自分でバンドやる」これに尽きると思います。
楽器やバンド歴ゼロでDTMを始めた人に多い気がするんですが、バンドサウンド的にリアリティがないことが多いんですよね。
「ドラムが腕4本あるフィルを打ち込んでる」とか「ベースの音価が適当」とか「ギターの定番なバッキングが出来てない」とか「歌メロに間がなくて息苦しく感じる」とか。リアルな演奏やアンサンブルを知らないんだなと感じる曲によく会います。
これを解消するには自分で楽器弾いてリアルにバンドやるのが一番なんですよね。コピーバンドでいいから、実際に楽器持って人間とスタジオ入ると、各パートを個別に聴く必要がある、各パートの絡みを考える必要がある、他パートが何をやってるかを横で聴いてるので、リアルな演奏がどんなもんか肌で理解できる。そんな経験が得られます。
楽器演奏ってフィジカルな部分が大きいんで、仮に他の生楽器を打ち込む時もなんとなく「人間がやるとこんな風だよな」と想像がつきやすくなります。
僕の曲にピアノ曲は多いですが、僕自身は全くピアノ弾けません。でも、ピアノの打ち込みはバンド時代のキーボーディストのしていたことが大いに参考になっており、リアルなピアノ演奏がどんなものかはイメージ持てるくらいの知識はあります(そんな感じで作った曲↓ 譜面を僕が書いてプロピアニストにそのまま弾いてもらった)。
あんまり詳しくないですが、ボカロPという人達も有名な人は元バンドマンが多いですね。
ベース弾くのがおすすめ
よくDTMブログ的なとこではギターかキーボードをやるのをおすすめしてること多いですが、音楽的な理解を深める意味では、個人的にはそれのどちらかプラス、ベースを弾くといいんじゃないかな〜と思います。(ギターとベースの組み合わせだと相互に活かせることもあって両立しやすいという気がします)
ルート押さえてるだけで大体成立するから、始めやすい
他パートに比べて余裕があるので、他のメンバーが何してるかを冷静に客観視しやすい
コード進行を決定する立場なので、ギターや鍵盤などの上物との関係を考えやすい
メロディも弾けるので、歌や楽器のリードパートなどとの関係を考えやすい
グルーヴに影響するのでドラムやパーカッションとの関係を考えやすい
結果、音楽の三要素(リズム・メロディ・ハーモニー)を全部俯瞰的に理解しやすい立場
パッと思いつくだけで、ベースやっててよかったと自分が思う要素がこんな感じです。(「そんな簡単じゃねえよ!ベース舐めてんのか」って言われると思いますけど)
EDMはバンドサウンドとかなり概念や勝手が違いますが、それでも、メロディ・コード・ベース・ビートなどのパートに分割して考える基礎はバンドをやってきたから応用できたことはなくもないです。バンドを経験して、楽曲のアレンジを構造的に理解できる人は応用力という意味で、覚えは早いです。そして楽器を演奏して鍛えた耳の良さは、ジャンルが変わってもそのままトレースできるスキルです。
本気で音楽やる、と思うなら、「目的に対してできるだけ最短距離で」「ホンモノな人から学びましょう」というお話でした。
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