マガジンのカバー画像

美術展めぐり

61
実際に足を運んで見に行った美術展の感想を書き留めています。
運営しているクリエイター

#イベントレポ

本番はあるのかな?

3月初めのこと、豊田市美術館の企画展、久門 剛史「らせんの練習」を見てきた。前回の岡崎乾二郎展に続き、ガチガチの現代アート展示なので嬉しくて、自分でも心配になるくらい期待値高めで出かけた。見慣れないもの、刺激的なものに出会うのは楽しい。 いつものように1Fのメイン展示室に入ろうとしたら、そこは「開館25周年記念コレクション展 VISION Part 1 光について / 光をともして」だった。企画展である「らせんの練習」は2Fと3Fで展開されているとのこと。どちらも興味を引く

クオリティ高すぎな無料エリア

展覧会を見に行くたび、佇まいの美しさに癒やされて帰ってくるのが豊田市美術館。ここは企画展も面白いけれど、建物や敷地内の空間も素敵だ。この11月には美術館の外観や庭を紹介する「ランドスケープツアー」が開催されたので、興味津々で参加してみた。案内役はボランティアのガイドさん。もともと豊田市美はボランティアによる作品解説に力を入れていて、毎日のようにギャラリーツアーが行われている。紅葉の季節に行われた今回のランドスケープツアーもその一環だと思われる。 もともとこの美術館の美しさに

コミュニケーションもまたアート(技芸)なのか

ずっと行きたいと思っていながら、何度も行きそびれていたアートイベントにようやく足を運ぶことができた。名古屋港で催されている「アッセンブリッジ名古屋」というイベントだ。現代アート+音楽+コミュニティとして展開されており、あいちトリエンナーレのまちなか会場と似ていなくもない。むしろ、まちなか会場の機能を特化させた上で毎年同じ地区で開かれている芸術祭であり、まちを愛する人たちの手で大事に育てられている印象があった。 市営地下鉄で築地口駅を降りたら、まず向かうのがポットラックビル。

+17

瀬戸市現代美術展

どれも同じような絵に見えるかもしれない。でもね…

最近美術展づいているが、今度は現代美術を離れ、印象派の父ともいえるシャルル=フランソワ・ドービニーの展覧会を見てきた。場所は津市にある三重県立美術館。​ 初めて訪れる三重県立美術館は、古くて大きな建物で、全体の雰囲気は昨年出かけた静岡県立美術館と似ている。ふだん通い慣れている愛知県美術館やスタイリッシュな豊田市美術館、コンパクトで独特なデザインの名古屋市美術館などと比べると、どうしても古めかしい威圧感を感じてしまうが、半分は作られた時代に影響されているのだろう。中は広々とい

愛トリおかわり

これまで延々と続いてきた愛トリレポート、豊田会場の紹介で終わる予定だったが、終了間際に全企画が復活することとなり、10月8日以降展示作品すべてが見られるようになった。たいへんめでたいので、愛知県美術館へもう一度足を運び、2周目を楽しむ。 ピア・カミル《ステージの幕》(上:一部企画展中止中 下:復活後) 芸術文化センターの地下2階吹き抜けロビーにて展示。 音楽も復活してすっかり元通り。クールな感じに。 展示作品がすべて復活してみると、やはり結構なボリューム。特に、鑑賞に時間

トリは豊田で

あいちトリエンナーレ会場で最後に紹介するのが豊田。実は、いちばん最初に見に行って感激したものの、時間の都合で豊田市美術館だけ見て帰り、まちなか会場は最後になった。「残り物には福がある」というが、まさに言葉通りで、この会場がいちばんクオリティが高かったと思う。 まちなか会場は、正直わかりにくい会場構成ではあったのだが、ボランティアさんたちがここぞというタイミングで声をかけてくれ、説明は丁寧で気配りが行き届いていた。 作品については何が良かったかって、このエリアで展示されてい

大名古屋展覧会(?)

メイン会場は攻略した愛トリ、こんどはまちなか会場へ。今回のまちなか会場は、名古屋のディープタウンの一つである、円頓寺商店街&四間道。 名古屋城の西側にあって古くから賑わった地域だが、昭和の時代に繁栄したアーケード街の例にもれず、一度はシャッター街となった円頓寺商店街。今は再生プロジェクトが成功したアーケード街のひとつ。(大曽根と対象的だなぁ) 商店街に垂直に交わり堀川と並行して走る四間道は、古い商家や蔵がならび、歴史を感じさせる通りで、その昔防火対策として道幅を広く取り(四

「あるはずのものがない」が意味するもの

あいちトリエンナーレ、続いて本丸である愛知芸術文化センターへ。さすがに展示作品数は多い。が、先だっての事件に関連して展示辞退や内容を変更した作品が目立ち、トリエンナーレとしては作品数が少なめの印象がぬぐえなかった。 下記は展示変更となった、レジーナ・ホセ・ガリンド《LA FIESTA》。パーティの様子を写すはずが「祭りのあと」になってしまった。 これで二つ目の会場だが、今までの印象をまとめると、 ①社会的メッセージを前面に押し出した作品が多い、 ②情報と知覚の関わりをテーマ

燃えた炎がより鮮やかに現実を照射したりする

今年もやってきました、あいちトリエンナーレ。春先から楽しみにしていてフリーパスを購入したというのに、なんと今回は開始早々に炎上して一部の企画展が中止に追い込まれ、さらに中止に抗議して一部の作家が展示をやめたり内容を変更したりと波乱の展開になってしまった。早く観に行かないと見られる作品がどんどん減ってゆくと焦りつつも8月中はなかなか動きがとれず、月が変わってようやく動き出せた。今回も世界が開かれてゆくような体験ができるだろうか。 あいトリは(毎度のことだが)会場が分かれており