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『コーヒーの歴史』

Coffee: A GLOBAL HISTORY
JONATHAN MORRIS 著
龍 和子 訳

コーヒーの文化が花開いたのはつい最近のことで、日常的に使っているペーパーフィルターは20世紀初頭に発明された。コーヒーの危機は何度も起こり、コーヒーが原因となって紛争や戦争まで起こっている。
政治的にコーヒーノキを産業にした国々が多く、コーヒーチェリーの収穫のため、奴隷、移民、原住民の強制的な労働が必要だったようだ。コーヒーの過剰生産により、取引価格が暴落し、沢山の農家、労働者、ひいては国家までが貧困や存続の危機に陥った。

6世紀に羊飼いのカルディがコーヒーを見つけてから長い間イスラムのワインとしてイスラム諸国で大切に守られてきた。さらに月日が流れ18世紀にオランダがジャワ島に、フランスがカリブ海域、イギリスがジャマイカと栽培地を確保し自国の消費用というより輸出用に使われていた。
何よりも、紅茶大国のイギリスがもともとはコーヒー消費の大国だったことに驚かされる。

アメリカでのコーヒー消費には戦争の影響が大きくかかわり、南北戦争時に目覚まし代わりにコーヒーを飲んでいたそうで、その習慣が戦争終結後帰還兵たちが広めたようだ。
その頃はまだ家庭で焙煎しコーヒーを淹れていたようだが、焙煎を代行する業者が現れ、現在のようにコーヒーは缶詰の状態にうつってきた。

ブラジルはアメリカのコーヒー消費量の大半を生産し、質より量の方針で生産を続けてきた。このため、今でもブラジルコーヒーの品質は低く見られている。恐慌や他国の生産が伸びてくると、生産過剰になり余ったコーヒーは新規の需要開拓のため日本に流れ、それから日本のコーヒー文化が花開くことになる。

そして、スペシャリティコーヒー、スターバックス、サードウェーブコーヒーと進み現在まで続くコーヒーの歴史が細かく書かれている。

国、企業、組織などの思惑や謀略などが入り交じり非常に興味をそそられる。現在、コーヒーの生産量は小麦に近くなっており、世界中でどれだけコーヒーが飲まれているのかが分かる。
誰もが気軽にコーヒーを飲める世の中になってくれる事を願います。

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