『田口護の珈琲大全』
田口護 著
2003年 NHK出版
コーヒーの世界では有名な人らしく2000年の沖縄サミットで自店のバッハコーヒーを提供して好評を得た人です。
内容(「BOOK」データベースより)
コーヒーの焙煎は名人上手の専売特許ではなく、職人的なカンの世界などでもない。理詰めの数学であり論理学の世界なのである。生豆の選定から抽出までの流れを一つのシステムとしてとらえ、各プロセス上に存在する複数の条件によって、さまざまな味が生み出されるメカニズムに着眼した「システム珈琲学」。
完全に理詰めのコーヒー理論に初めて出会いました。
しかし、この方のおっしゃっていることは理解できるのですよね。
「最後は職人のカンだ」といったある種の名 人芸的な神秘主義に陥ってしまうと、後進への技の伝達が十分に 図れず、短期の人材育成もかなわなくなってしまう。
コーヒーに携わっている方は職人芸が好きですからどうしても広い視野で今自分がしていることを客観的に見られない場合が多くなってしまいます。
あらためて確認するが、 コーヒーの味を決定するものは産地銘 柄よりむしろ焙煎度の違いなのである。
今までの銘柄重視のコーヒーを否定し、焙煎重視になっているところが好きです。
モカは酸味のコーヒーというが、深く煎れば、苦味 のコーヒーになる。つまりコーヒーの味は産地銘柄によって決定づけられるのではなく、浅く煎るか深 く煎るかの焙煎度によって決まる。
焙煎に必要なのは均一に煎ることで、そのためにはピッキングが重要であるとしきりに述べていらっしゃいます。今までピッキングを軽視していたのですが、これからはもう少し真剣にやってみようと思います。
『All about Coffee』と『バールで立ち話』の話の中で重複することもあり少し違う理論を言っている部分もあって、これからその違いも楽しんでみようと思っています。
この本の大部分を通して説明されているのは、主にプロとしてのコーヒーについてであり、アマチュアが100%解説通りにする必要は無いように感じます。
色々な方々がコーヒーについて色々な法則を見つけて、その小さな法則をつなげたのが「システム珈琲学」と名付けて実践されている。
確かに法則自体は合っているけど全体に美味しくないコーヒーができてしまうのはそれぞれの法則がつながっていないせいなのですね。
とてもシステマチックに考えられる本に出合って、これからのコーヒーが楽しみになってきました。
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