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『スターバックスコーヒー』

STARBUCS COFFEE
豆と、人と、心と、

著者 : ジョン・シモンズ
翻訳 : 小林 愛
出版社: ソフトバンクパブリッシング
サイズ:19cm/244p
発行年月:2004.12
利用対象:一般
ISBN:4-7973-3001-5

スターバックスには数回しか行ったことが無い。

世界中にあり、「スタバは無くてもスナバがある」と名言を残した鳥取県にも進出し日本全土を制覇した、あのスターバックスに美味しいコーヒーが見当たらないのだ。
ここが、魅力を感じない原因なのか。

もちろん味覚は、人それそれで、私が「おいしい」と思うかは普遍的なものではなく、あくまで私個人が、私にとって「おいしい」と思うものなのだ。

そんな私がこの本を読むきっかけは、この「おいしい」と思わないのに(あくまで、私が)なぜあれ程沢山の人が集まるのか、その理由を知りたかったからだ。

シアトルで1971年に焙煎の会社を「自分たちが飲みたいと思う様な美味しい紅茶やコーヒーを見つけ出し販売する」という理念のもとに創業し、スターバックスは歩み出した。

当時のアメリカでのコーヒーは質が悪く、ロブスタ種が多かった様で、「アラビカ種のコクと香りの虜になった」と書かれている。
コーヒーの歴史にも書かれていたようにヨーロッパではフランス革命を起こしたのは民衆でコーヒーショップでの議論が盛んだったとか、お酒による酩酊の時代からコーヒーによる覚醒の時代に移っていったことなど、アメリカにはこのようなことが無かったからコーヒーは単なる飲み物なのだろう。
そんなアメリカのコーヒー事情とスターバックスの「おいしいコーヒー」と言う考え方が一致して広まったように思える。

コーヒーを大衆に広めコーヒー農家にも支援し、家庭、職場ではない「サードプレイス」を提供することは素晴らしいことだと思う。
コーヒーを味わい店内の気持ちいい音楽と人々の会話、まさしく「サードプレイス」です。

しかし、現在のスターバックスには「おいしいコーヒー」は見当たらず、「おいしいコーヒー飲料」ばかりになっている。
美味しいコーヒーよりもお客さんが望む飲み物と場所作りに力を入れているんでしょうね。

この本の中にも「ローファットミルクを入れたいとお客さんが言ったら」と言う会話が書かれているが、お客さんの望むことを全て叶える事が良い事ではない、初期のスターバックスはお客さんを啓蒙してコーヒーの本当の美味しさを分かってもらいたいと思っていたはず。

この後、スターバックスの快進撃は世界中を巻き込んでほとんどの国を制覇して行く。

この本は2004年の出版のため、この後に起こるリーマンショックやコーヒー危機の影響は書かれていないが企業としては素晴らしいと思う。

この本を読んで、スターバックスのすごいところはコマーシャルをしていないところだ。
改めて考えてみるとスターバックスのコマーシャルを見ていない。
他の多国籍企業やブランドは嫌になる程コマーシャルを見ているがスターバックスはそれでも、お客さんを惹きつける魅力があると言うことなのだね。

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