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一泊二日の島めぐり旅行(1日目・因島など)

 コヤマの朝は早い。
 別に早起きしたくて早いわけではなく、コヤマの朝は乗るバスに合わせ、早い。寝坊すれば連休初日からおじゃんというプレッシャーとは関係なく眠りにつき、どんな仕事の日よりも早く起きた。

 そう、今日私は〈因島〉へ行く。

 早起きだったことも功を奏して少し早めに家を出て、余裕を持って広島バスセンターへと辿り着いた。
 広島バスセンターは広島そごうの屋上にあり、高速バスなどでは広島駅北口と並んで(もしくはそれ以上に)世話になるところである。最寄りは広島電鉄・紙屋町西駅。
 飲み物と飴玉、それから朝ごはんにするためのパンをコンビニに買い求め、因島・土生港行きのバスチケットを購入しバスの発車時刻をベンチで待つ。朝の風はほんのりひんやりしているが、日差しは健在の夏を感じさせるほどぎらぎらとしていた。
 土生港行きの高速バスが到着するのは9:20。私は途中の因島大橋で降りるので、到着予定は11:45、2時間ちょっとの乗車だ。気持ちバスで福山に行くような長さだろうか。
 一番前の席を陣取り、飲み物をホルダーにセッティングする。さあいよいよ出発だ。
 今日と明日をどれほど楽しみにしていたことだろう。この連休をもぎ取ったがゆえに今月後半のシフトが地獄の有様になっているが、まあそんなことは忘れよう。苦しむのは未来の私で今の私ではない。今の私がやるのは、全力で楽しむこと!

 高速バスは尾道を経由し、尾道でほとんどの人が降り立っていった。ここから先は、私の未知の世界だ。なんというか、家族の中でも私だけ因島に連れて行ってもらうチャンスを逃したりと今日の今日までずるずると未訪のまま過ごしてしまった。
 それが今日、塗り替えられる。明日訪れる場所もそうだ。自動車も自転車も運転できないので、足は主に路線バスと船で、細やかなスケジュール。あとは、傷めたままあまり戻りはしていない自分の脚と相談しながら。
 ……この調子で書いていくと文庫本1冊にでもなってしまいそうだから、行った場所と所感をいい感じにまとめていこうと思う。
 ちなみに、初日の当初旅程計画は以下で、結局おのが脚と相談をして瀬戸田は諦めた。また尾道からto-toしたい。シトラスにどうしても乗りたいので。

■大浜PA

 着発はすべてここから。降り立った裏手の道や遊歩道から、因島アメニティ公園まで歩いていくことができる。また、ここから因島各方面の路線バスも出発する。

島のあちこちに幟がはためく

 もちろんPAなのでお土産などの買い物や食事もできるのでかなりオススメ。来訪したさいは「島ごとぽるの展」を行っていたので、コラボグッズも販売されていた。
 またのちほど訪れる(帰ってくる)が、ひとまず裏手の道から「因島アメニティ公園」を目指すことにする。事前のGoogle Map調べでは徒歩15分ほどで到着予定で、実際そのくらいで移動できた。

 島あるあるのアップダウンの激しい坂には行きも帰りも苦しめられるが、景色がいいからなんだか許せてしまう……とかそんなことはない。暑いものは暑い。

■因島大橋を眺めながら「歌を抱える」

 公園にたどり着く前に、寄り道したいところがあった。またもやアップダウンのある道をゆき、行き交うポルノファンに混ざりながらある場所を目指す。そこは、ポルノグラフィティ(岡野昭仁)ファンにとっての聖地でもあるだろうし、私が「因島大橋がダイナミックにうつくしく見える」と以前から目をつけていた場所だった。

 山道を抜ければ海が開け、左手にはこのほど国重要文化財に指定された大浜埼灯台(左手前のふもとは舟隠だろうか?)、その奥に向島大橋、そして右手には因島大橋が大きく見える。

 この地は、ポルノグラフィティメンバーである岡野昭仁がソロで歌う『歌を抱えて』という曲のMVにも登場する場所だ。近くにおそらく「ぽるの展」ツアーのバスが止まっており、広場にはちらほらと人の姿も見えた。この『歌を抱えて』という曲、ものすごくいい曲なので機会があったらぜひ聞いてみてほしい。


■因島アメニティ公園へ

 さて、来た山道を登り下り、気を取り直して「因島アメニティ公園」へやってきた。
 ここでは、因島といえば! と個人的に思っている「ザウルくん」と「渚の交番SEABRIDGE」を訪ねにやってきた。
 公園広場は多くのポルノファンで賑わっていた。今回のポルノグラフィティコラボイベントは謎解きイベントも開催されており、紙を片手に歩き回るファン、公園広場にやってきたコラボメニューキッチンカーを楽しむ人で賑わっていた。時間帯によるのかもしれないが、土生港よりも賑わっていたように思う。(土生港もイベント会場などがあるのだ)
 純粋に海水浴や釣りを楽しみに来ている人もおり、私も浜辺のベンチみたいなところに腰掛けながら楽しそうに海に飛び込む青年たちを眺める。自由な時間だ。昔は私もああやって堤防のふちから海に飛び込んだなぁ……なんて懐かしい思いに浸りながら。
 SEABRIDGEさんでは、せっかくなのでこの「ぽるの展」コラボメニュー「恋するウサギちゃんクリームソーダ」を注文してみた。

 アチアチだったのでアイスがアチアチのからだにしみわたる──……。絵本カフェでもあるこの場所、かなりまったりと過ごさせてもらった。因島らしいノートなんかも買いつつ、休んだ体を立たせてこの場所をあとにする。

 ザウルくん、賑わっている。

ちなみに想像していたよりずっと精悍な顔つきだった。

 行きよりつらく感じる登板道をたどりたどり、ふたたび大浜PAに戻る。土生港行きのバスが来るまではだいぶん時間があったので、塩分もほしいし涼みたいしということで「フライドポテト」と「たこ天」を注文。またこの席が絶景なのだ。めちゃくちゃいい、大浜PA。

■耳の神社がある!? 大山神社へ

 定刻通り土生港行きバスに乗り込み、目指すのは土生港よりけっこう手前の「宇和部」。ここで、ど〜〜〜しても行きたい神社があった。
 その名も「大山神社」

 最近ではサイクリストにより「自転車神社」とも呼ばれるこの場所は、因島最古の神社といわれている。境内は広く、お稲荷さんなどいろいろなお社もある。その中にどうしてもお参りしたいところがあった。

 「耳明(みみご)神社」
 その名と社殿から察せられる通り「耳の神社」である。創立時期は不明だが昔からある神社らしい。耳の聴こえに難のある私は、かねてよりこの場に訪れたかったのである。
 この神社では珍しい神事として「サザエの貝奉納」がある。サザエの形が耳に似ているから、貝にお米とお酒を詰めて奉納するのだ。社殿横には絵馬とともにサザエの貝が並んだり、小さな祠に安置されたりしていた。

 社務所で耳のお守りもいただき、階段を降りていく。情けないことにこの旅行の数日前からまた脚の調子を悪くしており、宇和部に降り立ったときだいぶ疲労と痛みを感じていた。
 土生港へ向かう道をほてほて歩きながら、瀬戸田への寄り道を断念。そもそもほんとうに「フェリーに乗るために訪れるくらいしか時間が取れない」シビアな道のりだったので、瀬戸田には冒頭の通り、また改めてゆっくりと訪れたい。

■ポルノ愛あふれる! 土生商店街

 右手側に大きく土生港の施設が見えてくると、信号も出現した。そして左手側には「土生商店街」が広がる。土生港バス停から上を見上げると、大きな愛の垂れ幕。

 そして、商店街へと足を踏み入れるとこれもまた愛あふれるガーランドがぶら下がる。

 どこかレトロなような、懐かしいような雰囲気を感じる商店街を、私はポルノグラフィティではなく「因島市」の痕跡をもとめて歩く。まあつまるところ、いつものマンホール辿りだ。
 しかし残念ながら、名称付きのマンホールは3つほど見つけたが市章の残ったマンホールを見つけることはできなかった。なんかこう、不自然にこう、なめされてるマンホールばかりである。

 あとで土生港で土生商船のおんちゃんと雑談したのだが、「水道局に聞いてみたらわかるかもしれんねえ」と言われて「盲点!!!」って叫んだ。「また因島こにゃいけん」「なんぼでも来てよ」と笑いあったのも楽しき思い出の一つ。また来ます。

 もうひとつ、もし買えたら……と思って「松愛堂」さんを探していた。
 ここでは、ポルノグラフィティのコラボ和菓子(!)しかも練切り(!)があるということで、買い求めに来たのだ。コヤマは和菓子が大好きなのである。
 マンホールを辿りながら看板を見つけたのだが、どうやら工場で販売は土生港の方の店舗だったらしく「後で寄れたら寄ろう〜」と通り過ぎた。このときの挙動不審が後で思わぬありがたさを呼び込むことになるとは露知らず、コヤマは商店街をぽてぽて歩いて回って土生港へと戻っていった。
 大きな道に戻り、マンホールの収穫のなさにしょぼくれているとさっきの「松愛堂」さん土生店を発見。
 これさいわいと飛び込むと、なんとカウンターから店員さんが「もしかしてさっき商店街のほういた方ですよね!?」と声が。ああ〜私もさっき見覚えがある店員さん!! まさか声を掛けてくださるとは思わず、ちょっと嬉しくなって「そうです〜!!」と元気にお返事。
 今日は暑い、マシだというけどほんとうに暑いと雑談をしながら、お目当てのコラボ上生菓子に季節の上生菓子を手にホクホクとお会計へ──……すると「よかったらこれ!」と、なんと麦茶を紙コップにいれてくださって……!!!!
 私は暑いとすぐに顔が真っ赤になってしまうので心配に思わせてしまったのかもと思いつつ、立ち寄った顔を覚えていてくださったこと、そしてこうして親切にしていただいたことがとてもとても嬉しく、おそらく今回の旅でいっちばん嬉しい出来事だった。
 人と人は「おかげさま」でできてるなぁなんて改めて思ったりもした。

 眼鏡の店員さん! 本当に本当にありがとうございます!! 上生菓子と〜っても美味しかったです。また行きます!!

ちなみにお目当ての商品。私の不注意でちょっと崩れちゃったけど、きれいだしすご〜く美味しかったです!

■土生港から三原港へ

 尾道行きはないので、三原に向かう高速艇をのんびりと待つ。ここでは上島や今治行きの高速艇も行き交い、この日は乗り場に愛媛県上島町の消防署の船も係留されていた。
 因島を歩いていて実感したが、福山ナンバーのなかに愛媛ナンバーもぽつぽつと共存している。この島が造船で栄え(今はかつて程でないとしても)、上島や今治とのつながりの深さを感じた。
 いかにも船乗り! というおんちゃんに乗せられ、三原港へと向かう。

途中で大きな「さんふらわあ」の誰かのおしりを造船所に見かけた(この翌日に進水式を迎えた「さんふらわあ ぴりか」であることを後で知る)。

 天気予報では知っていたが、晴れ晴れとした因島と打って変わって本土には暗い雲が流れ込み、雨柱に山脈がけぶっているのが見えた。折りたたみ傘を準備しながら、なんとか三原港に着いたら過ぎ去ってるタイミングだといいな〜なんて思っていたのだがまあ普通にめっちゃ降ってるときに接岸しました。
 桟橋のいちばん先から歩いていると、奇しくも瀬戸田から三原着のこちらも高速艇がちょうど寄せたところ。

あっ、どうもどうも〜!!

 瀬戸田と因島の関係性オタクは満面の笑みビッグバンが抑えられなかった。無理。最高。ラッキーしかない。
 三原港は駅からまっすぐで近く、わかりやすい。傘を挿す時間もそこそこに三原駅へと到着し、来た電車で尾道へと向かった。

はじめてのUrara

■夜ご飯と本日のお宿

 外でご飯を食べるという習慣が(パン屋を除いて)ほとんどないのだが、今夜の宿はドミトリーといういわゆる共同宿泊部屋なのでなるべくご飯を済ませてから帰りたかった。スーパー疲れていて人と交流するのも多分もう無理だ。「すいません、キッチン借ります」もしんどい感じの疲れ。
 そういえば新しくできてから2年くらい行ってない居酒屋風の店があったな、まだあるかな、と思ったらまだあったので、こちらで晩御飯をいただくことにした。もちろんアルコールはなし!!

鯛丼も美味しかったが、鶏の天ぷらも美味しかった……。疲れた体に魚と鶏と米がしみわたる─────。

 満腹になって一息ついたところで、本日のお宿「あなごのねどこ」に到着。

 日中は「あくびカフェー」として営業しているこの店は、宿泊施設でもある。
 私は尾道で宿泊するときはなるべくここを選ぶようにしている。料金も手頃だし、居心地も悪くなく、中庭が気持ちよくて、なんかとにかくちょうどいいのだ。

 シャワーをお借りして明日の準備をする。
 今回の旅の2日目は少しハードだ。……結果的には〈かなり〉ハードな旅になったのだが、それはまた次の記事に書こう。
 いやあねむい、ねむい……。
 結局ものすごい長さになってしまった。また近日中に2日目の記事を書きたいと思いますので、どうぞよしなに。


追記

ちなみに歩行ログを取った。もちろん翌日も取ってある。なかなか動いたな……と思う。

バスと船移動は記録していないので直線のきれいな三角食べになっちゃった
しんどかった
あーーつかった!!!

2日目の大久野島の記事はこちら!


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