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滝口寺伝承

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「横笛」:横笛は平安末期のお話(エピソード0) 「火宅の女(ひと」:は現在執筆中の鎌倉~南北朝時代のお話です。 同じ滝口寺であった二つの物語です。
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#横笛

【滝口寺伝承(1)横笛】小さな愛の寺

【滝口寺伝承(1)横笛】小さな愛の寺

滝口入道
ある高野聖がおりました。名を滝口入道と申します。

在俗のときの名を斎藤滝口時頼と申しまして、名門滝口武士の出であったことから13歳で召し出され、小松殿(平重盛)の衛士をしておりました。

ある日時頼は、建礼門院(徳子)の雑役に従事する下級の侍女であった「横笛」という名の娘と出会い、恋に落ちます。

時頼を良家の婿にして宮仕えをさせようと思っていた時頼の父は、娘の身分の低さを理由に、結婚

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