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バオバブ先輩と言の葉 : 柔ちゃん物語

 SNS病…

最近、私はSNS病かもしれない。そんな病があるかは知らないけれど、投稿すると、ひとたび様子が気になって、数時間おき、ひどい時は数分おきに、動向を見てしまう。

そこで反応があると嬉しい。けど、何もないと落ち込む。ものすごーく単純で表面的な喜怒哀楽をするから、正直、自分に引く時もある。

何してても頭の片隅で投稿の様子が気になってるから、この呪縛は精神を縛り付けちゃってるのがあからさまなのだぁぁ、その呪いを解く鍵はどこにぃぃ、とかやってたら…

「てめぇは馬鹿か?」

というやつがいるわけです。
はい、私は大馬鹿ものです。ひょろひょろのバオバブ先輩。自分で巻いた種に翻弄されて、私はなんて悲しいやつなんだぁぁ。

「やはり正真正銘の馬鹿なのか?」

バオバブ先輩、何もそこまで言わなくても…。

「いいか、馬鹿人間。さっき、自分で種を撒いたと言ったろう。投稿だって同じことなのだ。“言の葉”の種を撒いているんだよ。植物の種を植えたら、数秒後に芽が出ている、なんてことはないだろう?かの豆の木じゃない限り。そんなのは特殊なやつだけだ。種を撒いたらしばらく茶でも飲んで野良仕事でもしてたらいいのさ」

馬、鹿、人間ってだいぶ意味がわかりませんよ、それに野良仕事って私そう言う系じゃないです、バオバブ先輩(泣)

「意識してないだろうが、言葉を発するとき、君たちは“言の葉の種”を撒いている。良い種を撒けば、それ相応の植物が芽を出す。悪い種を撒けば、厄介な植物が育つのさ。それに、種には芽の出すのにだってそれぞれ個性がある。撒いた土壌にもよるがね、時間がかかるのもあれば、あっという間に花を咲かすのもある、君が死ぬまで、芽を出さないものもあるだろう」

一体、なんの話をしているんですか?バオバブ先輩、ちょっとよくわかりません!(汗)

「君は植物を植えたことはないのかい?植物が種から芽を出すことは知っているよね。種は生きているから、芽を出すんだ。言の葉の種だって生きている。君がsnsに言葉を発するとき、そこに言の葉の種は撒かれる。種は撒かれた土壌の栄養を取り込んで、芽を出す準備をする。そこに他者が近づくと、種はようやく芽を伸ばす」

「君たちはそれを“いいね”があった、とか、返事が来たと言うのだろう?中には嫌な反応もあるかもしれない。けれど、言の葉の種はそれらも全て栄養として吸収して成長するんだ。君たちはどんな反応があったかと一喜一憂しているが、言の葉にとってはそこでどう生き続けるかの方が大切なんだ」

それじゃまるで、一言一言発するたびに、私は種まきしてるんですか。こんな感じに!

そんなこと言ってたらきりないじゃないですかー。話したり、ちょっとした気持ちとか考えを書いたり、誰かと連絡をとる為の手段なんじゃないですかー?言葉なんて。

「だからさっきから、そう言ってるけれども…。大体、手段だろうが、つぶやきだろうが言の葉はそれ一個として独立している。姿が見えないからわかりづらいだけなんだ。そこらへんの庭を見てみろ。草木はそれぞれ自ずと生きているだろう。言の葉の種は各々の性質によって、また、どの場所で話されたか、誰に届けられたかによって、あらぬ成長をするものだ」

よくわからないなぁ。なんか言葉を生き物みたいに言ってるみたいだけど…。

「君は言葉は自分のもの、と思っているのかい?案外それは間違った考えかもしれないよ。言葉に君の気持ちを被せているのだろうが、君から発された言葉は、離れた瞬間に誰のものでもなくなるのだ。君は自分の言葉と思ってるものに何も反応がなく傷ついたり、返ってきた返事に喜んだりしているが、実際それは君が勝手に描いた幻想をみているかもしれないんだよ。それは言葉とはほど遠いものなのさ」

「君は自分がどんな言の葉の種を撒いたか、よく見てごらん。言葉は生きてるんだ。君が気づかぬうちに変化している。土の中で根を伸ばし、成長している。君がなんの反応もないと嘆く間もね。観察が甘いのさ」

でも、バオバブ先輩、そうは言っても、気になるじゃないですか。もし、私が種を撒いたと言うのなら、その成長が。私は早く知りたいんですよ。相手からの返事だって待ち遠しいんです。

「人間は待つことがわからんのか。そんなに生き急いで…。自分で何もかも思い通りにしようとするから、そんな気持ちになるんじゃないのか?言の葉は君の奴隷じゃない。私たち植物が誰のものでもなく、光や水空気のもと生きているように。君たちは動物を支配した挙句、言の葉までも支配しようとするのかね」

だって、自分でなんとかしなきゃ、好きに生きられないでしょう?

「随分、傲慢だなぁ。じゃあ君、君は山や湖なんかに訪れたとき、その景色を見て美しい、と思ったことはあるかい?」

そりゃありますよ、自然の偉大さを感じたら、見惚れちゃいますね。

「そうだろう。彼らは誰かにつくられたものじゃない。自然に撒かれた種が自ずと芽を伸ばし、互いに支え合っている。種のまま芽を出さないやつ、腐って枯れたものだって、森の肥やしになり、新たな種の栄養となる。そうやってあの美しさを創り上げているんだ。彼らは自ずとそうなっているのだよ」

言の葉もそうだというの?

「君は種を撒くいきものと思えば良い。言の葉の成長を見守って、自分なりの森を育てることが、言の葉にとっても、君にとっても良い方に繋がるだろう。言の葉の成長を見守るんだよ」

つまり…グダグダ言ってないで、言葉の種を撒いたら、他のことしてなさいってことね(汗)
バオバブ先輩、そうでしょ?そんなこと言うためにこんなわかりづらい説明…ね、バオバブ先輩、バオバブ先輩?!


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