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別れを味わう:Diary Collection

 たとえ、どんなに付き合いが短くても、別れというものは、心に響いてくるものです。

今日、少しの間、お世話になってた会社に別れをつげたのだけど、どうしてか、涙が目いっぱいに溜まって、夜を迎えようとする都会の真ん中を、上を向いて歩いてる。

悲しいのでも、寂しいのでもなくて、ただ別れという特別な感じが心の奥深くから込み上げてくる。切なさなのか、もうその人たち、その場所、その空間とは会うことはない、今という儚さと対峙するからなのか、言葉にすることはできないけれど。

かつては、そんなつかみどころない感情が嫌だった。いつもどうしようもなくて泣いてしまうから。そんなどうしようもなさをどうすることもできないことに、更に悲しくなってくるから、嫌だった。

けれど、今日は違う。

今日は、しっかりと、このどうしようもない別れという感情を味わおうと思って。

ふと、この別れももう一生体験することはできないのかと。駅のホームで、ぼーっと目の前の広告を眺めながら、だったら、自分がその感情を感じてやらなくて、どうするのだろうと思って。

流れだしそうな涙一滴一滴を、電車の座席で揺られながら、大切に大切にかみしめている。

今、このとき、唯一無二のものとして。

そうしたら、今度は、どんな新しい出会いがあるだろうと、わくわくもしてきて、涙目ながらにこにこしたり。ひとりでそれをやってるから、はたから見れば変人だけど、マスクの中だし、みんなスマホに夢中だから、思う存分好きなように、今の感情を味わっている。

今まで、一緒に時間を過ごせた人たちとそのご縁に、心からのありがとうを伝えながら。

 
 帰り際、これまたふと、コーヒーが飲みたくなって。ガラス張りのカウンター席に腰をかけて、甘いコーヒーを飲みながら、ぼんやりと目の前のお花屋さんを眺めていた。

普段なら、素通りする、いつものお花屋さん。

今日は、なんだか、お花を買って帰りたくなって、ぱっと目に映ったガーデニアの小鉢を買いました。

茶紙に貼り付けられた、育て方の紙には花言葉もあって。

ガーデニアの花言葉は “幸せを運ぶ” って。。。

今日は、どうしようもない別れと一緒に、最高の幸せも味わいましたとさ。

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