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腹膜中皮腫闘病日記 -vol.5-


前回のお話はこちらをクリック。


まさかの宣告


CT撮影翌日、
午前中に電話が鳴り響きました。

何やらクリニックからの着信です。

「おろろ、なんだろ?」

と思いつつ、電話に出ます。

クリニックの受付担当者
「昨日CT撮影だったと思うんですけど、
すぐに受診してほしくて明日って来れますか?」
と。

翌日もamazon配達が入っていたのですが、
幸い午前だけだったので
「夕方なら行けます」と伝えました。

とりあたまには
「配達なんて行ってないですぐに病院行けば?」
と言われたのですが、

仕事は休むものではないという
ブラック企業で鍛えられてしまった体質により
翌日の配達もきっちりこなしました。


さて、それはそうと
電話を切ってすぐに

「悪いものが何かしら見つかったんだろうね」


という話題でとりあたまと議論が盛り上がりました。

本来ならCT撮影して3日後にクリニックに結果が送られるはずなので、
翌日の時点で何かクリニックに伝わるというのは
考えにくいと思いました。

それが翌日の午前中にすぐ電話があったということは、
緊急性が高いと判断される何かがあった
ということでしょう。

一体何があったのか、
とりあたまと議論が盛り上がります。

私はあまり検討がつかなかったのですが、
とりあたまの中での考えられる最悪の結果は
膵炎(すいえん)なんじゃないか
ということでした。

膵炎ってなんでしょうか?
いまだによく分かりません。

この時点ではちょっとお腹が張っていること以外、
特に自覚症状もなかった
ので、
私も特に重く受け止めることもなく、
すぐに考えるのをやめてしまいました。

いくら考えても、結果は変わらないですからね。



そんな緊急電話から一夜明け、
翌夕方になりクリニックへ向かいました。

こちらのクリニックは評判が良いので、
いつも待合室には患者さんがたくさんいます。

10分ほど待った後、
診察室へと呼ばれました。

扉を開けると
「あ、おとうふさん!」
と先生。

「ちょっとこっちに来てください」
と言われ、隣の部屋へ通されます。

特別何かある部屋でもなかったのですが、
部屋の扉を閉めるとすぐに

「ちょっともう1度お腹を見せてください」
と、すぐさまお腹を確認する先生。


「お腹の張り以外に症状はないんですもんね?」
と念を押すように聞かれ、

「はい」と答える私。

ひと呼吸を置いた後、
深刻そうな顔をしている先生が口を開きました。

「おとうふさん、大病です」



ん?大病??

その言葉についてあまり考える時間もないまま、
先生は続けました。

「胃がん、又は原発不明がんです。
すでに転移している可能性も高いと思います。

うちではできることがないので、
明日にでも大きな病院に行ってください」


間髪入れずに先生の口から
次々と言葉が飛び出してきました。

先生もこんなこと伝えたくないと思ったことでしょう。

表情からそれが伺えました。

この宣告を受けた最初の感想は

「ゲンパツフメイガンってなに?」


でした。

この時、初めて原発不明がんという単語を知りました。

そしてすでに転移しているということは、
少なくとも初期段階とかではないんだろうということは
知識がない私でもすぐにわかりました。

とりあえず先生に

「原発不明がんってなんですか?」


と聞いてみます。

先生は【どこが発症元かわからないがんである】、
ということを簡単に説明してくれました。

そして肝心なお腹の張りについて。


これは腹水という水分が
お腹の中に溜まってしまっていることにより
張っている
ということも説明してくれました。

『腹水』という単語もこの日初めて知りました。

これまでほとんど病気をすることなく、
健康優良児として生きてきたので、
知らないことばかりです。

いや〜、いろんな病気や症状があるものですね。

この日はこれ以上、病気や症状についての
説明はありませんでした。

先生も自分のところでは手の施しようがないため、
変に詳しく説明しても
意味がないと思ったのかもしれません。



さて、この宣告を受けた私はというと...

すごくショックを受けたり、
落ち込んだりということはありませんでした。


後に話を聞いたことですが、
先生も「すごくあっけらかんとしてて強い人だなと思った」
と話していたそうです。
(とりあたまも同じクリニックに通院しているので)

もちろん1mmもショックじゃないとか
そんなことはなかったのですが、

「がんか〜、まじか〜」


くらいの感覚でした。

今後どうなっていくのか、
全く想像もできませんでした。


がんの宣告を受けた人って泣き崩れたり、
取り乱す方も多いそうですね。

というか、そういう方が多数かもしれません。

ましてや30代前半で進行がんともなると、

「なんでこの年齢で私が?」

となり、ショックも増幅しそうです。

が、私は
「明日もamazon配達あるのに休まないとだな〜」
というのが1番最初に考えたことでした。

仕事に真面目なんですよ、ふふふ。

そして、今日の結果を誰よりも気にしているとりあたまに
取り急ぎ「良くない結果だった」とだけ送ります。

良くない結果であることは
すでにわかっていたことではあるんですけどね。

「なんだったの?」
と当然とりあたまから質問攻めのLINEが届きます。

先にamazon配達を当分休むことになりそうという
連絡をせねばと思ったので、
とりあたまはひとまず置いておいて、
すぐに仕事先に電話しました。

「実はがんと言われまして...」と
まだ自分でもよく理解していないことを伝え、
さすがにすぐに休むことも了承してもらえました。

ひとまず配達の心配が片付いたので、
結果を気にしているとりあたまにも
改めてありのままをLINEで伝えます。

本当は帰って直接話したかったのですが、
勿体ぶってるようで嫌だし気になるだろうからと
ひとまずメッセージで伝えました。

・胃がん又は原発不明がんと言われたこと
・すでに転移の可能性も高そうであること
・明日すぐに大きな病院に行けと言われたこと


これを受けてさすがのとりあたまも
想像以上の動揺でした。

「あ、これはまずいぞ」と思い、
一旦すぐに電話をかけます。

酷く泣きじゃくってました。

「え、やっぱりそんな泣きじゃくるレベルのことなのか?」
と思いつつ、
とりあたまを必死になだめます。

なんか、普通逆なんじゃないかな?
私がなだめられる立場じゃない?

と心の中で軽くツッコミつつ、
とにかく急いで帰るからと伝え一旦電話を切りました。

もうね、こうなると自分のことなんてどうでもよくて、
ひとまずとりあたまが取り乱さないかが
心配でしょうがないわけですよ。


クリニックまではバイクで行っていたので、
安全運転で寄り道せず急いで帰路につきました。


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