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王者を焦らせたモアナ・パシフィカ!デビュー戦を振り返る。

スーパーラグビーのデビューが、コロナウイルスの陽性者が出たことにより2週間遅れたモアナ・パシフィカ。
大方の予想は、クルセイダーズの圧勝。筆者も同じ考えだった。

しかし、ふたを開けると・・・

クルセイダーズがメンバーを落としてきたとはいえ、モアナ・パシフィカが内容で負けてない。気持ちの入ったラグビーに驚かされたのが正直な気持ち。

大健闘だった試合を振り返ってみましょう。

前半:序盤からパシフィック魂が炸裂!

試合前のロッカールームがTVに映し出された時、緊張しているように見える選手が気になって、やっぱり調整不足の不安があるのかと感じた。

しかし、キックオフの笛が鳴り、モアナ・パシフィカのプレイを見てると、上記の心配は、一気に吹っ飛んだ。

試合の入り」が大事なのは、言うまでもないが、それが凄く良かった。

モアナ・パシフィカの選手の気迫あふれるタックルは、クルセイダーズが地域、ボール支配率で圧倒していたにも拘らず効果的な攻撃をさせなかった。

とにかく激しいコンタクトで、タックル、ブレイクダウン(タックルの後のボール争奪戦)ともにクルセイダーズを上回っていたと言えるくらい凄かった。

9番10番のハーフ団のコンビは、プレビューでも触れたが、昨年までクルセイダーズに所属していた9番エナリがプレシーズンの時も体を張る賢明なプレイをしていたが、この試合でも、それを見せてくれた。

それだけでなく、テンポの良い球出しをしてくれたおかげで、初のスーパーラグビー参加になる10番マクラウチが持ち味を出しやすくなっていた。

FWのブレイクダウンでの奮闘とエナリの存在のおかげで、マクラウチが中央からギャップをついてラインブレイクして大きくゲイン。
13番リーヴァイ・アウムアに繋いでゴール前までパワーでディフェンスを引きずってチャンスを作る。

エナリが素早い球出しで右に展開して6番S・フナキがトライ!
まさかの、モアナ・パシフィカがクルセイダーズ相手に先制トライで、実況、解説者も大興奮。 R3で一番と言っても遜色ない良いトライだった。

その後、むきになって来たクルセイダーズが2トライで逆転。
エンジンがかかて来たクルセイダーズがこのまま勢いに乗るかと思いきや、その後トライを追加できずに14-5の僅か9点差でクルセるダーズのリードでハーフタイム。

ハーフタイムのロッカールームでは、納得がいってないクルセイダーズのヘッドコーチの表情に現れていたように、クルセイダーズらしくない前半だった。

後半:早めの大御所の投入も・・・

FWでまずは有利になりたいクルセイダーズは、後半頭からオールブラックス(ABs)のC・テイラーを投入。
敵陣ゴール前のラインアウトからモールを押してトライと早速ABs効果が出てきたか。

47分には、今度はBKの大御所のABsのR・モウンガを投入で、一気に突き放しを試みるも。。。

しかし、後半に入っても、モアナ・パシフィカの気迫あふれる激しいコンタクトを前に、クルセイダーズのラグビーをさせてもらえず追加のトライが奪えない展開。

むきになった感のあるモウンガが、クルセイダーズ自陣ゴール前から、個人技で抜きにかかろうとし、相手に捕まりかけたところをオフロードパスをNo8マテラがノックオン。そのまま拾われて、モアナ・パシフィカに2トライ目を与えてしまう。

このモウンガの軽率とも言える個人技に走ったプレイは相手を舐めていたように感じたのは、私だけだろうか?その結果ミスが起きてトライを許した。

その後、クルセイダーズが何とか2トライをあげて33-12で試合を終えたが、目立ったのは、モアナ・パシフィカの健闘でクルセイダーズの良い所を見つけるのが難しいくらいの内容だ。

Moana Pasifika 12 
(Solomone Funaki, Fine Inisi tries; Lincoln McClutchie con)
Crusaders 33
(Mitch Dunshea, Ethan Blackadder, Codie Taylor 2, Abraham Pole tries; Simon Hickey 3 con; Richie Mo'unga con).
HT: 5-14

モアナパシフィカの健闘の理由

調整不足どころか、逆に2試合延期になってチームがまとまり、プレシーズンマッチの大敗から学ぶ時間が増えて、良い方向に進んだのかも知れない。

元ABsでもある、ヘッドコーチのA・メイジャーの選手への声がけ等、あらゆる面で自身の経験をもとに、2週延期になった間にメンタル面でもアプローチしてきたのだろうと思うくらい、選手が落ち着いていてプレイして、持っている力を最大限に発揮できたのかも知れない。

その中でも、目立ったのが、試合前の記事でも触れた、No8の突破力、ハーフ団(⑨⑩)、ミッドフィールド陣(⑫⑬)、これらが対面に負けていなかったのが大きいか。

特に⑫D・トアラ、⑬L・アウムアのフィジカルの強さは、相手の攻撃を封じ込め、アタックでも確実にゲインしていたのが印象的だった。

⑬アウムアは、強さをキープしたまま体をフィットさせて俊敏に動けるようになったのが大きいか。本人が今までで一番フィットしていると言うだけあって素晴らしいプレイをした。

⑨エナリは、クルセイダーズに所属の時は、出番があまりなかったが、他のチームに居ればもっと試合に出れただろう選手だけあって、流石のプレイをした。

クルセイダーズが、メンバーを落としただけでなく、メンバー発表後に13番に入る予定だったL・ファインガアヌク、3番に入る予定だったO・ヤーガーの主力二人の怪我で更にメンバーを落とすことになったのも影響しているか。

それでも、モアナ・パシフィカが大健闘したことは、間違いない。
今後のモアナ・パシフィカの試合も注目したくなった。

トップの写真は、2020年モアナ・パシフィカ v マオリ・オールブラックス
(筆者撮影)

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