コロナが収束しない社会でどう生きる?格差を生むオンラインシフト
アナログすぎて呆れるしかない日本の役所手続き
日本で多発している豪雨被害。
数十年に一度と言われる規模の被害が毎年出るようになっています。
(J CASTニュース 2020年7月9日)
大雨や地震など重大災害につながる恐れがある際に発令される『特別警報』の運用が始まったのは2013年。
その後7年も経過しているにもかかわらず、毎年かならず見られる光景がこれです。
(NHKニュース 2020年7月15日)
被災者自らが役所へ出向いて、罹災証明などの手続きをするペーパーワーク。
大変な状況に直面している人々に、なぜ平気で手間と時間をかけさせるのかが甚だ疑問です。
コロナ対応の時もしかり。
全国民に対して10万円が支給された特別定額給付金の手続きでは、
オンラインよりも『手書き申請』の方が早い
なんて言われ、実際、僕の両親も手書き申請を選択しました。
オンライン申請をした人も少なくなかったようですが、マイナポータルに申込みが殺到したことで、一時的にシステムがダウン。
なんとかオンライン申請ができたとしても、受付窓口となる市区町村の中には旧態依然の仕事をしてるところが多く、
申請書をプリントアウトして、人海戦術で確認する
という意味不明な作業に追われ、中にはオンライン申請受付を取りやめる自治体が出てくる始末。
ようやく申請が終わっても、まだ安心はできません。
いっこうに給付金が振り込まれない
なんて自治体が当たり前にあるからです。
(日本経済新聞 2020年6月26日)
NZ政府の対応は簡単・早い・安心
同様の対応でも、NZ政府の対応は全く違いました。
国境封鎖やロックダウンなどによって影響を受けたビジネスに対し、NZ政府は休業補償(賃金補填)などの支援策を実施。
僕のビジネスも対象となったため申請をしましたが、オンライン手続きはとても簡単で、しかも支給までに要した時間は数日です。
この対応の素晴らしさには、現地でレンタカー事業を展開する日系企業も感心していました。
(沖縄タイムス 2020年4月2日)
一定割合の売上減少が続いている企業に対しては賃金補償の延長が実施されましたが、この手続きも簡単で、支給は迅速でした。
その差は人口の違いによるものではない
こうした日本とNZの公共サービスの違いを比較した時に必ずある反論が、
NZは人口が少ないからすぐに対応できるんだろう
果たしてそうなのでしょうか。
例えば、NZの6倍以上(3760万人)の人口を抱えるカナダ。
新型コロナで仕事を失った人々に対し、カナダ政府は月2千ドルを最大4ヶ月支給する支援策を実施しました。
支援策の開始日(4月6日)に失業申請をした現地在住の日本人によると、支援金が振り込まれたのは4月8日だったとのこと。
申請から支給までに、わずか2日しかかかっていません。
(朝日新聞デジタル 2020年4月17日)
NZやカナダのように行政のデジタル化が進み、オンライン手続きが当たり前になっている国と、アナログなままペーパーワークに終始する日本。
国民が感じられる利便性には雲泥の差があるわけですが、それでも日本の既存システムがすぐに改善されることはないでしょう。
特に市場原理が働かない役所では『事なかれ主義』が横行しているため変化を嫌います。
ただ、それによって悪影響を被るのは、納税で公共サービスを支える国民であるわけです。
NZで合理的な行政手続きによるメリットを実感している身からすると、日本はもはや後進国にすら思えてきます。
若い世代は新たなテクノロジーに対応できるのか
合理化すべきことをあえてしないのは、新たなテクノロジーを理解できない(または使えない)中高年世代が社会で幅を利かせているのが理由の1つとも考えられます。
(キャリコネニュース 2020年2月25日)
そうなれば期待したいのは、やはり若い世代です。
AI・ビッグデータ・IoTなどがもたらす社会変化を第4次産業革命と呼び、全ての仕事はこうしたテクノロジーに影響を受け始めています。
新たなテクノロジーに対しての理解やスキルが乏しければ、社会での生き残りが難しくなる時代に入ったわけです。
若い世代は『革命』と呼ばれるこの社会変化をどうとらえているのでしょうか。
日本と世界の若者の間にある大きな差
以下は、日本と世界の若者を対象とした第4次産業革命に対する意識調査の結果です。
<調査対象>
【ミレニアル世代】26歳〜37歳(1983年~1994年生まれ)
【Z世代】17歳〜25歳(1995年~2003年生まれ)
<第4次産業革命に対する認識>
自分の仕事を増強する(26〜37才 )
日本 21%
世界 37%
自分の仕事を増強する(17才〜25才 )
日本 16%
世界 41%
この質問では、日本と世界では大きな差があります。
調査を行なったコンサルティング企業によると日本の若者は、
自分の仕事とテクノロジーを結びつけて考える意識が、世界と比べ低い
と結論づけています。
そして、テクノロジーに対する関心が低ければ、当然ですが
知識やスキルも持ってない
という結果になります。
<第4次産業革命に必要なスキル・知識を持っているか>
ほとんどない・わからない(26〜37才 )
日本 61%
世界 30%
ほとんどない・わからない(17才〜25才 )
日本 74%
世界 35%
一つの企業調査で全体を推し量ることはできませんが、若い世代に対する勝手な期待は抱くべきではないのでしょう。
物理空間からネット空間への急激なシフト
とはいえ、人々のテクノロジー依存度は高まっており、仕事やコミュニケーションの場が物理空間からネット空間へ急速にシフトしているのは確かな事実です。
それに拍車をかけたのが、言うまでもない新型コロナウィルス。
外出が制限されたことで、学校や企業はクラウドサービスを活用する機会が急増しました。
(ZD NET JAPAN 2020年6月22日)
こうした社会変化を背景に急成長しているのは、クラウド上などで必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトを提供する、
SaaS(Software as a Service)関連企業
ウェブ会議のZoomなどに代表されるサービスは、リモートワークには欠かせなくなっています。
また、顧客対応をオンラインに切り替える企業が増えており、不動産の内見にVR(仮想現実)を使うことも珍しくなくなりました。
(PANORA VISUAL REALITY JAPAN 2020年7月6日)
生活面では『あつ森』の中で自分の世界観を作ることに楽しみを見出す人たちが増えています。
(テレ東プラス 2020年5月20日)
テクノロジーを活用し、人々から必要とされる価値をオンライン上で生み出す企業が高く評価され、それは個人も同じ(ユーチューバーなど)です。
逆にそうした変化に対応できない人材はどうなるのでしょうか?
新型コロナの流行が未だに収まる気配がなく、それに伴い経済の低迷(不景気)は非常に長引くことが予想されています。
早期希望退職(リストラ)の対象者は中高年だけではおさまらず、30代など若年世代へも広がることが想定されています。
(Livedoorニュース 2020年6月24日)
まとめ
災害時の行政手続きにおいて感じたのは、デジタルプロセスが進んでいる国とそうでない国の差です。
この点でNZは先進的と言われますが、世界的に飛び抜けているわけではなく、単純に日本が遅れているだけとも言えます。
NZではビザ申請などをはじめ、様々な手続きがオンラインで完結します。
学校教育では小学校でプログラミングを学びますし、セカンダリー(中学・高校)ではより高度なIT教育が行われるなど、人材の育成に熱心です。
一方、日本の状況はどうでしょうか。
・ITに弱くハンコ文化を守りたいIT担当大臣
・オンライン業務に対応できない中高年世代
・テクノロジーへの意識やスキルが低い若者
テクノロジーへの関心の低さによって、世界との差がどんどん開いています。
今回の新型コロナが作り出した非接触型社会でも重要視されているのはテクノロジーの活用。
しかし、日本ではIT人材が不足しています。
(ビジネス+IT 2020年7月13日)
米国ハーバード大学の研究者によれば、新型コロナの流行は来年どころか再来年まで続く可能性があるとのこと。
(テレ朝ニュース 2020年4月15日)
留学予定だった知り合いの学生は、NZへ渡航ができないため来月からオンラインで授業を受けることになりました。
おそらくZoomなどを使ってクラスに参加することになるのでしょう。
これから数年は続くと言われるWithコロナ時代。
知り合いの学生のように、学びや仕事、コミュニケーションの場がオンライン空間に移行し続けるのは間違いありません。
一方、物理空間に依存し続け、コロナの収束を待っていたとしたら、ジリ貧になる可能性が高まります。
新型コロナのパンデミックは、ちょうど時代の変わり目に発生しただけで、学び方や働き方は早かれ遅かれ変わるタイミングだったのかもしれません。
個人的には、これまでオフラインとオンラインを使いこなしながら仕事をしてきました。
オフラインの仕事がなくなった今は、オンラインだけで完結できないと稼げなくなる時代に入ったと実感しています。
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