ロックダウン中のニューヨークで、カリフォルニア大学にプチ留学?! 2020/4/16


ニューヨークで外出制限が始まった3月末から、カリフォルニア大学 DAVIS校のワイン講座を受けています。

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 MOOC(MOOC: Massive Open Online Course)と呼ばれるオンライン教育サービスは数多くありますが、私が利用しているのは、アメリカを始め、世界中の有名大学の講義が無料で(一部、有料あり)受けられる「coursera」という機関で、スタンフォード大学の教授が立ち上げたサービスです。中には学位が取れるコースもある幅広い内容が特徴のようです。

ワインビジネスのオンライン講座を探していてここへ辿り着き、ワインビジネスはなかったものの、醸造学では世界トップレベルのカリフォルニア大学(略称UC)デイビス校の”Sensory Techniques for Wine Analysis" (ワイン分析の為の官能技術)、要はワインのテイスティング講座があったので、テイスティングが苦手な私にはちょうど良いか、と思い受講始めました。多くの著名なワインメイカーを輩出しているUC DAVISのワイン講座!と聞くと、難しそうに聞こえるかもしれませんが、実際はビギナー向けのExtension Program(社会人講座)なので、専門的になりすぎない、基本的な内容がメインです。どうせやるなら、と証明書が発行される有料版(79$)を受講中です。(別途、教材としてのワインは自分で購入する必要あり)

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講師は、John Buechsensteinという人でワインメーカー兼ワインエデュケーター、UC DAVISのエクステンション講座では30年、ワインの官能評価について教えてきたという人です。

コースは1~5のカテゴリに分かれ、5週間のプログラムに構成されていて、いつでも開始可能です。授業は、各カテゴリの中で、更にトピックごとに分かれた数分程度の短い動画が20ぐらいあって、いつでも好きな時に好きなだけ聴講できます。英語のスクリプトがついていて、分からないところは翻訳できるので便利です。動画を見終わったら自動的にチェックがつき、各カテゴリのテストをそれぞれの週の期間内に終えて、最終レポートを提出すれば合格です。

私は、英語の勉強を兼ねて毎日少しずつ進めていて、今ちょうど3週目を受講中です。1~2週目は、基本的なテイスティングの方法や各ブドウ品種の特徴など、すでに知っている内容だったのですが、3週目に入り、私にとって面白いテーマになってきました。それは、「ワインの欠陥」についてです。

 Oxidation(酸化)、Vinegar(ヴィネガー)、Reduced Faults(還元的欠陥)、Sulfites&Sulfides(亜硫酸塩と硫化物)、Microbial Faults(微生物の欠陥)、Cork Taint(コルク臭) について、それぞれの原因、これら欠陥がもたらす香りについて説明しています。

ここでユニークなのがそのテイスティング方法。健全なワインに、それぞれの欠陥の臭いの特徴であるものを加えて嗅ぐ、という方法を教えています。例えば、ブドウの酢酸の働きで揮発酸(VA)の値が高くなってしまった場合、お酢のような香りがするので、健全なワインにワインヴィネガーを加えて、その香りを確かめます。単純に酸化しているワインを知るには、シェリー酒を加えるなど・・・。実際に私も、ワインにワインヴィネガーを加えてやってみました。

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(健全なワインにビネガーを加え、香りをインプットし、ワインの欠陥を見つける練習中)

ちなみに、ワインの欠陥の話を取り上げていますが、2週目のテーマ、ワイン品種では、それぞれの香りの特徴を捉えるために、健全なワインに、白ワインだとグレープフルーツの皮、バナナ、はちみつ、ハーブ、バター、バニラ等、赤ワインにはジャム、ピーマン、ベリー、シナモン等を入れ、香りをキャッチする練習を行いました。 

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過去に香りキットなどは見たことがありましたが、ワインの欠陥を「具体的な香り」というアプローチで判断することが、新鮮で勉強になりました。欠陥については、「このワイン何か変な香りがする」と思っても、それがブショネ(※コルク中の物質による欠陥)なのか、ただの酸化なのか、はたまた別の欠陥なのか分からなかったので、整理して知ることができた事は収穫です。

いわゆる”自然派”といわれるワインを飲むと、たまにとんでもなく強烈な臭いのするワインに出会うことがありますが、その理由もこういう原因か・・・?と推測する面白みもできました。今まで、ソムリエ試験やWSETの試験勉強の為に東京でワインスクールに通いましたが、「ワインの欠陥」というネガティブな面に焦点をあててテイスティングを練習する機会がなかったので、なかなか面白いのでは・・・と、このコースの良い点として押したい内容です。あと、時間がたくさんある時でないと、こういう実験の様な少し面倒な事ってやらないので、ニューヨークが外出禁止の今にはちょうど良かったかもしれません。

4週目はワインとフードのペアリング。5週目は総まとめとして一つのワインを分析しレポート作成&提出、という流れです。

 ニューヨークでは、本日時点で、2020年5月15日までの外出制限が決定しています。不要不急な外出は禁止されており、自宅隔離の日々がまだ最低1ヶ月続きます。新型コロナウイルスの世界中での収束を願いながら、私は家で、テイスティング特訓となりそうです。

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