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20歳、自分のルーツ・アルバムを考える

今回はいつもと趣向を変えて、自分のルーツとなっている音楽アルバムを10枚紹介します。

自分が音楽に目覚めたのはだいたい小6くらい(つまり2013年くらい)で、当時はGReeeeNとかコブクロとかの所謂J-POPばかり聴いてましたが、それが邦楽ロックを聴くようになり、洋楽を聴くようになり、アニソンやボカロも通って、今20歳になっています。もちろんまだ自分には今後の人生がある(おお、何か「若者」って感じだ)ので、音楽の趣向もこれからどんどん移り変わっていくはず。実際今までもこうして移り変わってきたわけで。

でも、その中でも、「あの時あれ聴いてなかったら、今これ聴いてないかもな」「あの時聴いてたあれ、久々に聴きたいな」となる音楽があります(対照的に「あの時は好きだったけど、今聴くとたいしたことねーな」というのもある。時の流れって残酷ですね)。まだまだ短い音楽ライフの中でも、今日はそうした自分のルーツとなっている音楽を紹介したいと思います。

順番は「自分が聴き始めた時系列」で、リリース順じゃないです。サブスクに無い2枚を除いて、アルバムジャケにSpotifyへのリンクを貼ってあります。画像サイズバラバラでごめんなさい。面倒くさかっただけです。


CIDER ROAD / UNISON SQUARE GARDEN

日本の3ピースバンド、UNISON SQUARE GARDENの2013年作。小学6年生頃かな、自分の「J-Pop→J-Rock」への橋渡しをしたアルバムですね。出会ったきっかけは

この次のアルバム収録のこの曲で、Mステに彼らが出ていたんですよね。当時の自分からしてみたらこんなにギターがギャンギャン鳴ってる曲なんて初めてで、でもピアノが絡んでて歌メロも良いからか素直に聴けて、この曲をえらく気に入ってしまいました。

それで彼らの曲をもっと聴きたいと思って近所のTSUTAYAに駆けこむも、当時シングルリリースされたばかりのこの曲は置いてなくて(話変わるけど、このへんがレンタルCD文化の致命的弱点なはず)、代わりに借りてきたのが当時の最新アルバムのこれ、「CIDER ROAD」。1曲目の「to the CIDER ROAD」を聴いた時に、上述の「harmonized finale」を聴いて自分が期待していた通りのサウンドが鳴り出したので、「これこれ、いいじゃんこれ」と思ってましたね。斎藤宏介のハイトーンなボーカルも、「リニアブルーを聴きながら」「流星のスコール」なんかの主張の激しいギター・サウンドもJ-Pop畑にいた自分が聴けなかったサウンドが目白押しでこれも新鮮だった。今では彼らの曲は時々聴いたり聴かなかったり、くらいに落ち着いてしまってますが、それでも自分がロックを聴き始める一つのきっかけになった大切なアルバムであることには間違いないので、ここで感謝の意を示したいと思います。


HOT! / KEYTALK

さて、UNISON SQUARE GARDENから邦ロックを聞き出した自分が次に辿り着いたのがKEYTALKで、これは当時新品で買って何度も聴いたアルバム。きっかけは

このアルバム収録曲にして彼らの代表曲のこれ。スペースシャワーTVかな?でこのMVを見て気に入って彼らの音楽を聴き始めました。今考えると、ネット上に溢れていた「なんか宗教みたい」「KEYTALKファン怖すぎワロタ」とかいう感想(当時の自分からしたら「は?」だった)もわかるような気がするし、所謂4つ打ちムーブメントを主導した一種の犯人扱いされているのも、「the cabsのファンが首藤義勝を心配してる」という真偽不明の噂も割とわかるようになってしまったけど、それでも自分は彼らの音楽が大好きでした(今は割と落ち着いた)。

さっきのユニゾンが「J-Pop→J-Rock」のアルバムだとしたら、これは自分の首根っこ掴んで邦ロックの沼に勢いよく突っ込んでそのまま殺したようなアルバムでしたね。中学生の頃の自分はこのアルバムを何度も何度も聴いて、お仲間のJ-RockバンドをTSUTAYAで漁って聴いて、を繰り返していました。バンドスコアも買ってギターをコピーして、人生初のロッキンでステージを見て、彼らがパーソナリティーを務めるラジオ番組を聴いて笑って、と、今考えたら当時の自分に相当大きな影響を与えていたアーティスト。このアルバムの曲、今でも全部頭の中ではっきり流せるんじゃないかな。今彼らのことをどう思っていようと(決してネガティブには思っていませんよ。前ほど熱狂的じゃなくなっただけで)、この自分への影響のでかさを見逃すわけにはいかない。ちなみに自分は彼らのアルバムだとインディーズ期なら「SUGAR TITLE」、メジャー期なら「Rainbow」が一番好きかな。


Comedown Machine / The Strokes

このへんからどれが先でどれが後かよく覚えてません。でもこのアルバムが自分が自発的に聞き出した(かつ、今「ルーツ」と胸を張って言える)初めての洋楽アルバムなのは確かです。

きっかけは当時J-WAVEの番組内でやっていた藤田琢己の番組「TOKYO REAL-EYES」。日本のインディーズバンドやメジャーシーンのバンドを紹介したり曲をかけたりライブを主催していた番組で、これも邦ロックにのめりこんでいた自分にとっては良い情報源でした。(余談ですがこの頃にインディーズ時代のマカロニえんぴつの「サウンドオブサイレン」とか、あいみょんの「どうせ死ぬなら」がかかっていて、録音して何度も聴いていたので自分は心の中で密かにこの2組に関しては古参ぶっている)

で、この番組内に3ピースガールズバンドのSHISHAMOがパーソナリティを務めるコーナーがあったのですが、その中で(確か)ボーカルの宮崎さんが「スタジオでかかっていて気に入った曲」としてかけていたのがこのアルバム収録の「Partners In Crime」。

最初は良さが分からなかったけど、録音を何度も聴いていくうちにそのギターのサウンドやフレーズ、気だるげな声にドップリはまってしまって、これまたTSUTAYAに駆けこんでこのアルバムを探しましたね。今でもストロークスは大好きだし、自分の洋楽の原点と言われたらまずこれかな。これ以前にもEchosmithとかMuseとかの曲を聴いて「良いな」とは思っていましたが、どれを一番聴いたかと聞かれたらこれ。


TODAY IS ANOTHER DAY / ZARD

もともと自分はJ-Popから音楽に入った、と書きましたが、実は90年代のJ-Popを特に好んで聴いていたのです。例を挙げるとB'zとGLAY。この2組は特に聴いてました。そしてそれ以上に聴いていたのがZARD。出会いはベスト盤なのですが、選出はオリジナル・アルバムからにしようと思って一番好きなこの1枚を。

そもそも自分が90's J-popに惹かれたのは「メロディーの良さ」が表れていたからなのですが、ZARDはそこから自分が「サウンド主体の聴き方」にシフトしていく土壌を作ってくれたアーティストだと思っています。

このアルバムでも表題曲然り、セルフカバーの「君がいたから」「LOVE~眠れずに君の横顔ずっと見ていた」然り、アルバム曲の「今日も」然り、当時中学生の自分にも「このサウンド、いいな」と思わせてくれる曲が揃っていました。

ZARDって今聴けば戦略通り、海外のサウンドからの影響が如実に表れているし、今自分が好んで聴いているThe Policeやホール&オーツ、Duran Duranといった音楽の趣味に影響が全くないとは言い切れないんじゃないかな。かなり夢中になりましたし、間違いなく自分にとって大事なアーティストの1つです。ですからビーイングさん、はやくサブスク解禁してくれませんか。最近のあなた方の売り方は正直好きじゃないです。



C2 / Base Ball Bear

これはリリースされた割とすぐ後に聴いた一枚なので、中学2年だか3年のときですね。

自分とベボベとの出会いはベスト盤の「バンドBのすべて」で、その独特の歌詞の世界観にとかく魅了されていたのだけれど、このアルバムはそれ以上にサウンドが印象深いですね。ベボベファンの方ならわかると思いますが、これは「爽やかなギター・ロックバンド」のイメージが(今でも)あるベボベの中でも特にシティ・ポップに接近していた1枚。

当時よく読んでいたフリーペーパー「Skream!」(本当にこれにはかなりお世話になりました。金もスマホもなかった自分にとってこれ以上の情報源はなかった。自室で暇さえあれば何度も何度も読んでいました。編集スタッフの皆さん、ライターの皆さんに心から感謝を)のコラムで「今年イチの名盤になる」と太鼓判を押されていた覚えが。実際この後にSuchmosやらの登場で邦ロックシーンにもシティ・ポップの波が押し寄せてきたので、(実際にどれほど影響があったかは知らないが)その表現は当たっていたと密かに睨んでいる。邦ロック沼に落ちていた頃何度も聴いた一枚。


World Atlas / fhana

これは自分が聴いた中でアニソンに分類されるアルバムの中では一番のやつですね。という訳で「アニソン代表」としての一枚。中学生の頃、CDTVのアルバム・チャートで一瞬流れた「Outside Of Melancholy」が出会いで、その曲収録の1stも、いろいろと進歩した2ndも好きだけど、このバンドの良さが如実に表れているのは現状最新作のこれだと思うのでこちらを選出。

Lantis所属で、シングル曲はことごとくアニメのタイアップ…となると、ありきたりなアニソンバンドという印象になるでしょうが、fhanaの強みは内包するジャンルの幅広さと、それをポップに昇華する音楽センス。スマッシュ・ヒットした「青空のラプソディ」は王道ポップだし、ミドル・テンポの表題曲、ドラムにthe HIATUSやtoeの柏倉隆史を迎えたエモ・ロックな「Do you realize?」、脱力系ラップの「reaching for the cities」、街角で演奏しているような生バンドの編成が冴える「アネモネの花」とジャンルレス。

あまり多くはないんですが、自分のアニソン体験といったらハルヒとけいおん!とアイマス、アーティストで言えばLiSAとこのfhanaくらいなので、その中での代表、というわけでこの1枚。

ちなみにこのバンドで一番良い曲は個人的にはこの「ムーンリバー」だと思うということは声を大にして言っておきたい。和の雰囲気をシンセ・サウンドで表現しつつ、もろRadioheadの「Creep」なエモーショナルなギター。もっと聴かれて良いと思う。



Fool on the planet / the pillows

まさに今、「音楽的に多感だった時期の当時の自分がこのアルバムを聴いていた」ことの価値を感じている一枚。the pillows、初のベスト盤。きっかけは

彼らのトリビュート盤に収録されている、UNISON SQUARE GARDENによるこのアルバム表題曲のカバー。これもラジオでかかってたやつがかなり気に入って、「原曲を聴こう」とTSUTAYAに駆けこんだのが出会いですね(書いてて思ったけど、本当にあの頃の自分はTSUTAYAに助けられていた)。

そういうわけで聴いたこれ。原曲の他にも「I think I can」「インスタントミュージック」「カーニバル」「ハイブリッド レインボウ」「ストレンジ カメレオン」「Ride on shooting star」「Funny Bunny」「LITTLE BUSTERS」と、今思えば代表曲ばかりで、時に優しく、時に激しいバンドサウンドに乗る歌のメロディーと、真っすぐな歌詞に自分はすっかりやられましたね。失礼かもしれないけど、「選ばれなかった僕ら」が鳴らすロック、という考えを確立した、というか。サウンド的にも、オルタナに分類されるギター・サウンドも初めて聴いたのはこれかもしれない。

そして

窓の外は今日も戦闘機が
青い鳥の歌を消して 不自由な翼で飛ぶ    —「Fool on the planet」

この曲を初めて聴いてから5,6年。今も、このフレーズは今まで聴いた曲の中でずっと一番です。戦争への皮肉や反戦・自由のメッセージを歌に込めつつ、ダサいガキだった自分たちにも優しく説く。自分の中でのそんなロック・ヒーロー像、そして理想のロックが確立された一節と言っても過言ではない。ピロウズ入門にこのアルバムを選んだのは本当に正解でしたね。


The King Of Limbs / Radiohead

僕は「好きな洋楽アーティストは?」と聞かれたら、真っ先に挙げるのはRadioheadの名前、という人間なのですが、これそれを作った1枚です。出会いは前述のfhanaのインタビューで名前が挙がっていた当時最新作の「A Moon Shaped Pool」。

でもそれを聴いた時、「なんか難しいな」と、ピンとこなくて。でもちょっとしてから近所で安く売られてたこれを聴いて、「めちゃくちゃいいじゃん」となりましたね。後になって「In Rainbows」もかなり好きな1枚になったことを考えると、自分はRadioheadの中でもこのあたりの、ミニマムなビートとバンド・サウンドの融合を図った時期が好きなのかな。なんだか世間一般では「Radioheadの好きなアルバムランキング」作ったらだいたい最下位にいる立ち位置だけど、決して悪い1枚ではないと思うし、このアルバムで彼らの魅力を知った自分からしたら一言言いたくなる、そんな感想を抱いています。



拝啓、エンドレス様 / THE BOYS&GIRLS

ここまではRadioheadにThe Strokes、日本でもユニゾンやKEYTALKという名の知れたアーティストが登場する中、次はこれ。「誰だよ」と思う方も多いと思います。

これは高校生の頃にリリースされたアルバムですね。札幌発のバンド、THE BOYS&GIRLS(通称ボイガル)の2枚目のアルバム。もともと中2の時に彼らの1stを聴いてからファンではあったし、その点ではそっちを「ルーツ」とするべきかもしれないけど今回はこちらを。理由は後述。なんというかこのアルバムというかボイガルは日常臭い、リアルなロックを教えてくれましたね(今でもです)。下の曲は1st収録の、自分が彼らを知った曲なのだけれど、難しいことなんか何もしてない、でもほっこりする青春パンク。

で、1stの方をめっぽう気に入っていたのですが、そのあとリリースがパタリと止んで、「大丈夫かな、活動できてるのかな…」なんて心配していたんですが、数年越しにドロップされた2ndからの先行曲をやっと聴いた当時の感想は

「え?どうした?前の方がええやん」実は最初ピンとこなくて、「どうした?」と思ったんです。彼らの持ち味は札幌の日常を最高のメロディーとコーラスに乗せて歌うことじゃないの?と。アルバム全体を初めて聴いた時も「1stの方が…」と一瞬思ってしまった。でも聴いていくうちにそもそもこの2枚は全然違うことに気付いたんです。

状況は変わってく けれど ここにいるよ ここにいるよ        —「一炊の夢」

この空白の数年の間にも彼らにはいろんなことが起こっていて、それでも歌うことはやめなかった。そんな意思表示の1枚なんだ、と。そして、変わらず聴く人の感情を揺さぶる曲を演奏してくれている。

このアルバムを出して2年後くらいにボーカルのワタナベシンゴさん以外のメンバーは脱退してしまうのですが、なんだかそうしたところも含めて、どこまでも自分にとって「リアル」を突き付けてくれる大事なアーティストです。


90'S TOKYO BOYS / OKAMOTO'S

これは最近で数年前、高校生だった頃。組んでいたバンドのメンバーに薦められて聴いた一枚。そのバンドで表題曲のコピーもしていたので、高校3年間から1枚と言われたらまあこれです。

洋楽のグルーブ感やサウンドを卓越した技術で奏でる。「Cold Summer」や「NEKO」のように引き算を徹底したバンド・サウンドのカッコよさを教えてくれたバンドでもあります。このあたりはRadioheadからも学んだことではあるけれど、OKAMOTO'Sはそれよりはとっつきやすい、日本人にも馴染める方面からのアプローチがあって、そのスタンスはとても勉強になりました。今でもすごくカッコいい。あと、タイトルにも見られるような皮肉なメッセージ。こういうスタンスも好きです。ニューアルバムが楽しみ。



終わりに

久々の音楽記事が、だいぶ長くなりましたね。

この「自分のルーツ10枚」というのはこれからも更新されていくのだろうし、自分でもそうなることを願っています。僕は今20歳で、あと60年くらい(上手くいけば)生きるはずなのだけれど、この10枚が何十年後かにどうなっているか、楽しみですね。5,60代のオッサンになったときに「30のとき聴いたアレの影響はデカかったなぁ…」なんて後輩に語る老害になっているかもしれない。この記事は20代の頃の暫定的な記録として残しておこう。

そして僕のこの駄文から「この曲良くないか?」「〇年前に読んだあのクッソ生意気な記事で知ったあのアルバム、アレがなかったら今これ聴いてないなあ…」となる変わり者が1人でもいてくれたらとても嬉しいです。皆様も素敵な音楽体験を。










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