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抜歯後の処置はどれが最適?入れ歯・ブリッジ・インプラントのメリットとデメリット

「歯を抜いた後の処置はどうしますか?」と聞かれて迷った経験はありませんか?
抜歯後の処置は、主に入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つの中から選ぶことができます。
ライフスタイルにも影響する大切な処置ですが、はっきりと決められない方が実は少なくありません。
「こうなると思わなかった」と後悔することのないよう、各メリットとデメリットを正しく理解し、ご自身で納得のいく選択をしましょう。

どれが最適かは「重視・妥協点」と「歯や骨の状態」によって決まる

抜歯後の処置を選択するうえで1番大切なことは、後悔しない処置がどれなのかを患者様自身が見極めることです。
入れ歯やブリッジ、インプラントには各メリットとデメリットがあり、費用や使い心地、審美性などに差があります。
納得のいく治療をするためにも、「何を重視し、何を妥協するか」をしっかりと決めておきましょう。
残っている歯や骨の状態によっては、選択できない処置もあります。
その点も含めてドクターとじっくり話し合い、納得のいく選択をすることが大切です。

入れ歯を選択するメリット

入れ歯は、レジンというプラスチックのような素材でできた着脱可能な装置です。
保険適用と保険適用外(自費)から選べます。

1.対象が幅広い

入れ歯は、1歯用からすべての歯を対象とした総入れ歯まで、幅広く作ることができます。
残った歯やあご骨の状態にも、あまり制限がありません。
対象が広く、選択しやすい処置といえます。

2.取り外して洗うことができる

入れ歯は、3つの選択肢のなかで唯一取り外しが可能です。
汚れを直接みながら落とせるため、衛生的で、管理がしやすい特徴があります。

3.比較的安価

保険を使って作成する入れ歯は、約5,000円~15,000円前後が相場です。
作成する歯の本数によって差はありますが、自費の入れ歯と比べると200分の1程度の金額になります。
まずは保険で作成して、様子をみるという方も少なくありません。

入れ歯を選択するデメリット

では次に、入れ歯を選択するデメリットをみていきましょう。
保険の入れ歯と自費の入れ歯では、見た目や使い心地が大きく異なります。
ご検討中の方は、その点もふまえてお考えください。

1.違和感が大きい

3つの選択肢のなかで、もっとも違和感が大きいのが入れ歯です。
サイズが大きくなればなるほど違和感を抱きやすく、慣れるまでに時間がかかります。
違和感に耐えられず、使わなくなる方も少なくありません。
自費の入れ歯は、保険の入れ歯よりも薄く作ることができるため、違和感は少ないといえます。
嘔吐反射(おうとはんしゃ)が強い方や、どうしても慣れないという方は、自費の入れ歯がおすすめです。

2.見た目が目立つ

保険の入れ歯は、ご自身の歯や歯ぐきとの境目がはっきり分かります。
部分入れ歯では、金属のバネがついているため、目立つことも珍しくありません。
一方で自費の入れ歯は、部分入れ歯であっても金属のバネを付けずに作ることが可能です。
笑ったときにみえても、ほとんど目立ちません。

3.変色・臭いの付着

入れ歯の素材であるレジンは、劣化が起こりやすく、長年使っていると変色がおこります。
また、口の中の独特な臭いがつくこともあり、一度ついてしまうと洗ってもなかなか落とすことができません。
自費の入れ歯では、金属を使ってレジンの範囲を最小限にできるため、そのぶん着色や臭いがつきにくくなります。

4.何度も調整が必要

調整をせずに気持ちよく使える入れ歯は、基本的にはありません。
長年使っていると、入れ歯が強くあたって痛いところが出てきたり、バネの締めつけが弱くて安定しないなど、さまざまな不調がおこってきます。
入れ歯の調整は、少しずつ削ったりバネを動かしたりする地道な作業です。
雑に扱うと、余計に使い心地を悪くしてしまうため、どうしても数回はかかります。

自費の入れ歯は調整が難しい
自費の入れ歯は、使用する素材が保険の入れ歯とはちがうため、院内での調整ができない場合があります。
削ることはできても、素材を盛り足すことができないケースがほとんどです。
大幅な調整が必要になった場合は、製作所に入れ歯をおくります。

5.毎日のお手入れが必要

入れ歯は毎日取り外して、汚れをしっかり落とす必要があります。
今では入れ歯用洗浄剤の種類も豊富ですが、すべて流水下で汚れを落としてから使用しなくてはいけません。
汚れがついたまま使用すると、洗浄剤の効果が半減します。

6.硬いものを思いっきり噛み切れない

入れ歯のすぐ下には歯ぐきがあります。
噛んだときの圧がダイレクトに歯ぐきにかかるため、硬い食材を入れ歯で噛むのはおすすめしません。
継続して強い圧をかけすぎると、徐々にあごの骨が吸収されて、入れ歯の安定性が悪くなります。

ブリッジを選択するメリット

ブリッジは、欠損部(歯を失った部分)の両端にある歯を削って、橋渡しのように被せ物をする処置です。
保険適用と保険適用外(自費)から選べます。

1.違和感が少ない

歯に直接固定するブリッジは、入れ歯にくらべて違和感がなく、食材の硬さにもほとんど影響を受けません。
自分の歯のように何でも噛むことができます。

2.顎骨への負担がほとんどない

橋渡しのように被せ物をつなげて作るブリッジは、歯ぐきに触れる部分がないため、あごの骨への負担はほとんどありません。

3.条件によっては保険が適用される

前歯から犬歯(糸切り歯)までは保険を使って白い被せ物をすることができます。
奥歯のブリッジの場合は、基本的に銀歯です。
2018年4月から高強度硬質レジンブリッジという白いプラスチックのブリッジが保険適用となりましたが、条件が厳しく、あまり普及していないのが現状です。

ブリッジを選択するデメリット

では次に、ブリッジを選択するデメリットをみていきましょう。

1.両端の歯を削る必要がある

橋渡しをするブリッジは、欠損部の両端の歯を削る必要があります。
もともと虫歯がある歯であれば、そこまで気にはなりません。
しかし、虫歯一つない健康な歯であれば、躊躇する方もいるでしょう。
どうしても削りたくない場合は、他の選択肢をお選びいただく必要があります。

2.歯ぐきとの隙間に汚れがたまりやすい

欠損部の歯ぐきとブリッジとの間には、多少のすき間が存在します。
すき間には食べかすや汚れがたまりやすいのですが、歯ブラシのみでは完全に取り除くことはできません。
歯ブラシに加え、歯間ブラシが必要です。
ブリッジ専用のフロスも存在しますが、通常のフロスとは使い方が異なるため、難しいと諦めてしまう方も少なくありません。
汚れを放置すると、歯ぐきの腫れや出血、口臭に繋がるため、注意が必要です。

3.保険適用のブリッジは目立つ

奥歯のブリッジは、主に銀歯の被せ物が使用されます。
白い歯が多ければそれだけ銀歯は目にとまりやすく、とくに下顎の場合は口を開けるとすぐに分かってしまいます。
上顎のブリッジは保険で作り、下顎のブリッジは自費で作るという方も珍しくありません。

4.トラブル時は全て外さなければならない

ブリッジは複数の被せ物をつなげて作ります。
そのため、仮に1本の歯だけにトラブルがおこったとしても、一度すべて外さなくてはなりません。
外すときの響く感じが苦手な方は多く、それだけでドッと疲れるという意見もあります。
ブリッジが長ければ、そのぶん患者様の身体にかかる負担は大きくなるため、注意が必要です。
欠損歯が多くて、かつ体力的に厳しい方は、別の選択肢もご検討ください。

インプラントを選択するメリット

インプラントは、あごの骨に生体親和性のあるチタン製(チタンまたはチタン合金)の土台を打ち込み、その上に人工歯を被せる処置です。
保険は適用されません。

1.審美性が高い

インプラントは、入れ歯のバネやブリッジの銀歯のように、とくべつ目立つ要素がありません。
天然歯とほとんど変わらない見た目が特徴です。

2.天然歯のような使い心地

歯ぐきに接しないブリッジとは違い、インプラントは歯ぐきやあごの骨に「噛む感覚」がしっかりと伝わります。
そのため、使い心地は天然歯とほぼ変わりません。

3.他の歯や骨にほぼ影響がない

インプラントは、入れ歯やブリッジのように、ほかの歯に負担がかかったり、あごの骨が吸収したりするリスクがほとんどありません。
トラブルがおこっても、単体で修復することが可能です。

インプラントを選択するデメリット

では次に、インプラントを選択するデメリットをみていきましょう。

1.手術が必要

あごの骨にチタン製の土台を埋め込むため、手術が必要です。
通常の虫歯治療と同じユニット(治療イス)で手術をする歯科医院もあれば、インプラント専用の個室を用意し、手術はそこでしかやらないと決めている歯科医院もあります。
インプラントは、ドクターの技量によって仕上がりに差がでやすいため、歯科医院選びは慎重に行いましょう。

2.費用がかかる

インプラントは、保険適用ではありません。
そのため、歯科医院によって費用に差があり、相場としては1本あたり約200,000円~400,000円前後といわれています。
決して安い金額ではありませんが、費用だけで歯科医院を決めるのはおすすめしません。
症例数やオペ環境の安全性、術後のサポート体制を事前に確認し、できるだけリスクのない選択を心がけましょう。

3.メンテナンスが欠かせない

インプラントは、一生もつものではありません。
メンテナンスを怠れば、そのぶんトラブルが起こる可能性は高くなり、使用できる期間は短くなります。

4.必ずできる処置ではない

インプラントは、インプラント体を打ち込めるだけのあごの骨の厚みが必要です。
そのため、歯周病や根尖病巣(根っこの先に膿がたまる病気)などで、骨を広範囲に失っている状態では、処置ができない可能性があります。
どうしても受けたい場合は、骨造成(骨を増やす手術)が別で必要となり、そのぶん費用や時間がかかります。

まとめ:「どれが選べるか」を知ることから始めよう

後悔のない選択をするには、対象のメリットとデメリットを正しく把握することが大切です。
安さを重視するのであれば入れ歯がおすすめですが、審美性や使い心地を妥協しなくてはなりません。
反対に、審美性や使い心地を重視するのであればインプラントがおすすめですが、費用が高いだけでなく、ドクターの技量で仕上がりに差がうまれやすい処置でもあります。
お口の中の状況によっては、対象外となる可能性もゼロではありません。
費用だけでなく、お口の中の環境や処置後の管理方法も含めて、しっかりドクターと話しあいましょう。
得られる情報が多ければ、それだけ納得のいく選択ができるはずです。

※この記事はポートフォリオ用に作成したものです。
※記事内容の無断転載を禁じます。

NYUiii


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