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ホームになったサウナ

上京して8年目になる今年、東京都民を卒業した。
今日は、2週間前まで住んでいた浅草にある、大好きなホームサウナについて書こうと思う。

浅草

ちょうどもう3年前になるが、当時一緒に住んでいた彼氏に浮気をされて身も心も絞りカスみたいだったときに、新しくここから東京生活をやり直そう、と決めた場所が浅草だった。
浅草には、昼から競馬中継を観るために居酒屋にたむろするおじさんや、いつも同じポジションでタバコを吸いながら道行く人を眺めているおばちゃんや、自分がこれまでに出会ったことのなかったようないろいろな人がいて、そのことが「ああ、自分も好きに生きていいんだな」と思わせてくれて、心を救われた。
当時同じビルに勤めていたその元彼と同じ電車で鉢合わせたくないという理由だけで浅草に住むことに決めたが、ちょっと地元の京都に似ているところもあって、いまでは大好きな街になった。

アクアプレイス旭

アクアプレイス旭は、東京三大アクアと呼ばれるサウナ付き施設の一つだ。
サウナイキタイでは1500近くの「サ活」と700近くの「イキタイ」を集めるこのサウナ付き銭湯が、2週間前まで住んでいた家から徒歩5分の位置にあった。
サウナの温度は85℃前後で、5〜10分おきに自動ロウリュウがあるので湿度がちょうどよく、水風呂は20℃前後、外気浴はできないけど整い椅子が2つ浴室にある。
サ室もほどよい広さでリラックスできる。
毎日遅くまで働きながらも、脳疲労の解消と自律神経を整えるために、定休日の火曜を除いて平日には2回行くのを目標にしていた。
通ううちに少しずつ女将さんたちや常連さんと顔馴染みになって、挨拶を交わすようになり、「今日はサウナ空いてるわよ」とか「お久しぶり。髪きった?」とか声をかけてもらえるようになって、お互いに名前も知らない常連さん達に会うことも、ここに通う楽しみの一つだった。

卒業

2月、2023年になって初めて訪れたときには、結婚と引っ越しが決まっていた。(1月は帰省や出張続きで一度も行けなかったのだ)
あともう数回しか来られないことはわかっているので、1セット1セットを噛み締めた。
常連さんとの世間話も、いつもよりも長くなった。
ついに「もう今日が最後だな」という日、最後の挨拶をすると女将さんに「ここは何十年もやっているのでまたきてくださいね」とイベントで配布される予定だというタオルを特別に2枚いただいた。
ああ、自分もこういう場所を作れる人になりたいな、と思った。

ホーム

どの場所も、初めからホームなわけではない。
関わっていくうちに、だんだんホームになっていくものなのだということを知った。
そこで出会う人の名前を知らなくても、職業も年齢も知らなくても、その人にとってのホーム=自分にとってのホームという共通点が他人を繋ぐ絆になるし、そのふんわりとしているが確実にそこにある絆が自分の人生を豊かにしてくれるのだ。

(ゆ)(湯?)

#サウナ #ホームサウナ #アクアプレイス旭 #人生

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