なんちゃって書評第2弾 「『具体⇄抽象トレーニング』」

『具体⇄抽象トレーニング』は細谷 功さんという、ビジネスコンサルタントの方の書籍だ。
この書籍を手に取ったきっかけとしては、就職活動時にコンサルティングファームからも内々定をいただいており、私自身はコンサルタントへの道を選ばなかったもののその道の方々の思考法が気になったからだ。
コンサルティングファームを選択していた世界線があったとするならどんなことを学んでいたのか、少し首を突っ込んでみたくなったのだ。

感想
「本質的な理解はまだ難しいが、具体と抽象の視点を持とうという意識転換を促してくれる」一冊だった。
具体と抽象を理解すると、情報から発想する思考の幅が広がるのだ。
例えば、言葉の定義が曖昧であることに気付いたり、発生した事象がどのような構造のもと発生したのかに思考を巡らせ、それを全く別の事象を考察する時にも使えないか転換したりといった具合だ。
関心がある人は是非読んでもらいたい。

学びの一例
著者曰く、抽象が見えている人と見えていない人の間では見えている世界が違っており、コミュニケーションギャップが生じてしまうという。最初は「なんだか偉そうだな」と違和感があったが、私の経験則に基づいて事例を考えると驚くほど理解ができた。以下に記す。

「投資が怖い」といって避ける人は、「FXで大損した、友人Aが損をしたと言っていた」という具体に着目して恐怖心を抱いている。しかし投資というものを抽象化して捉えることができれば、「そもそもなぜ投資をするのか?FXは数ある投資の中の一つだが、他の商品はどうなのか?」と論理的に考えることができる。
「FXは損をする」という具体の思考→「なぜ投資が必要なのか」という抽象化→「投資にはどんな手法があるのかな?なるほど投資信託のインデックスはリスクが少ないのか!」という具体化、、、といったように具体→抽象→具体に意識転換することで学びが加速し、世界の捉え方が変化する。

上の投資事例は一つの具体的な事例のみをもって投資という大枠を否定してしまうというパターンだが、これは至る所で起こりがちではないだろうか?
・あまり馴染みのない知人のダメなところを一つ知っただけで、その人自身を知った気になって関わり合いを避けてないだろうか?
・SNSで流れてくる「オワコン政策」をチラ見して憤慨し、政権そのものを分かった気になって批判していないだろうか?
・暴れているヴィーガンの数人を見て、ヴィーガン全員へマイナスのレッテル付けを行っていないだろうか?

このように、ある構造を一度理解すると世の中で同じ構造で起こっている現象が多いことに気づく。著者曰く、これが抽象化のパワーらしい。
私はまだ触れたことがないので無視してほしいのだが、フランスの社会人類学者レヴィ=ストロースの構造主義もこれと同じようなことを謳っているのだろうか?近いうちに手をつけられると良いが。。

、、とまあ、まだまだ未熟者の私には一度読んだだけでは血肉とすることはできなかったが、本当に成長につながる学びとは往々にしてそういうものだ。ふと思い出した時に読み返し、「一を見て十学ぶ人間」を目指したい。



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