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川島テキスタイルスクール組織実習(2)

今回は5日間にわたる実習。


テーマは「組織がわかる5日間 」。 (以下川島テキスタイルのサイトより引用)
“経糸と緯糸が交差する織物の構造を組織といいます。綜絖の通し方やタイアップを変えたり、単に足踏み順をアレンジするだけでもその交差は変化し、様々な表情の布を織ることができます。組織の基礎を理解するため、4枚綜絖による基本的な変化組織・特別組織の綜絖通しとタイアップで、8パターン4枚(頑張れば9パターンで5枚!)の布を織ります。

使用織機:天秤式4枚綜絖”

講師は吉田桂子先生 



 結論から言うと
「受けて良かった!!!!」


 5日間で5種類の織り方をまなび、ドラフト図やタイアップなどについての知識を深めることができるというものだったのだけれども、理解が深まった。
(知らない人のために言うと、「ドラフト図」というのは織物の設計図のようなもので、糸の開閉や踏み足の指示が書かれてあるものをいう。

 ドラフト図はむかし集中講義か何かで習ったのだけれど、パターン織りには興味がなく、また自分が織る場合は平織りが多いのであまり必要も感じていなかったが非常に面白かった。ドラフト図に関しては 「生活の技術」として織りの技法が口伝的に受け継がれてきた側面もあるため、表記に関しては本や地方によって書き方が違っていたりする。
 これまで
「この本にはこう、でもこの本にはこう書かれているけれど、実際はどう言うこと?!」と言う疑問があった。作業しづらいと思っていたところの疑問が一気に晴れた感じで心地よい。仕組みと構造がわかると急に解像度が上がるのは良くあることだ。



 今回大変だったのが通学だった。
 スクールのある市原駅はバスを使うとおおよそ1時間くらいかかる。ラッシュの時間でもあるので混雑が嫌だったので自転車で出町柳まで行き、叡電に乗る。自分としては朝も早かったし、帰りも遅かったけれど、非常に充実した5日間だった。

 課題の負荷はちょうどいい強度だった。
 毎日綜絖通しと筬通しとタイアップがあるので「課題の数」はそれなりに多くてしんどいけど、ちゃんと理解できてまあまあ体も動く感じ。これが「全然訳がわからなくて、作業そのものが難しくて手も足も出ない」となると辛いのだけれど、絶妙にちょうどよかった。

ストイックかつ充実感があってたいへんによろしい。

1枚目はシンプルなタイアップ。



だんだん複雑なものを作っていく。


オーバーショット、あまり好きじゃなかったけど、やってみようかなと言う気持ちになった。
サマーアンドウィンター、これはとても面白かった。リバーシブルの織り地になる。



尻が痛いのでラグを持ってきた



 それにしても設備がすごい。

 織り機の数、正確には何台あったのだろう。こんなに大量な織り機を目にするのは生まれて初めてだった。
(気になる方はぜひワークショップに行ってみてほしい)

タペストリー用の織り機、横幅2・5メートルくらいのラグが織れるような大きなものもあった。

 ろくろ式で慣れているので天秤式が初めてで苦労した。
 中央から糸通しをしたせいなのか、筬の目数が混んでいたせいか自分の目が節穴なのかは知らないが、糸通しを間違えてしまって何度もやり直した。


今回の課題、「4枚綜絖による基本的な変化組織・特別組織の綜絖通しとタイアップで、8パターン4枚(頑張れば9パターンで5枚!)の布を織ります。」

とあった。わたしも「頑張って9パターンで5枚」を織る事を目標とした。4日目の夜、無理やり綜絖を通して帰宅したので着いたのが夜10時ごろになってしまったが、寝ても覚めても課題に追われる生活を体験できるということは大変に貴重だと思った。

食堂もあって、事前に依頼すれば寮生と同じメニューの食事を取ることもできる(1食660円 2024年9月現在)。私はここで昼食と夕食をお願いした。通学に時間がかかるのでランチの心配をしなくていいのは大変に助かった。受講期間、「寝ても覚めても」織りのことに集中することができたのは食堂のおかげだといってよい。


 
 



 先月の関西美術院でも思ったけれど京都には「大人が全力で学べる場所」がたくさんあって頼もしい。参加者の人たちもさまざまで、それぞれの染め織りとの関わり合い方を知ることが出来た。趣味の人、仕事の人、さまざまだったけれど気持ちの良い人たちだった。 
 趣味でも仕事でも、創作に関わり続けるひとたちを学び場が繋いでいるのだなと感じる。

 参加者からも良い刺激をもらえたし、技法の習得という以上に、人生にとって大切なものを学んだように思う。
 それは、つまり「誠実な態度で素材と向き合い、集中して作る」ということに尽きる。シンプルだけど、現代では難しくなっていることだと思う。雑念がおおい毎日だけれど、この期間に感じたことは繰りし思い出さなければ、と思う次第である。


(多分続く)

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