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古本との出会い

 京都に来てからせっせと古本を買っている。

 昔の美術書が中心だが内容は本質的で衒いがない。技術技法にとらわれず素朴で素直な記載が多いように思う。

 あえて白黒印刷のものを好んで買っている。今の技法書は美しいが、「教本」という意味では、古い本の方が優れていると思う。

 最近のものは写真が美しいが作者の写真集的な側面が強い。
その作家のファンでなければ買わないかもしれない。
デモ作品が多いため技法に関しては充実しているとは思うが、肝心の中身はサラーっと流れてしまう感じがある。

 昔の本は今の本よりは全然優しくない。「教本」という体裁をとっているせいもあって技法というより、スピリットみたいなものを伝えることに重心が置かれている感じがする。(本にもよるだろうけれど)

まあまあ長めの文章しっかり読まされるし、またほかの有名画家の作例や比較があったりして、枠組みと筋道を決めてガリガリと進む感じがある。このガリガリな感じがクセになるので昔の『アトリエ』とか『みづゑ』なんか見かけると手に取ってしまう。

平安蚤の市で安くしてもらった本、400円。

昔の持ち主の痕跡があって味わいがある。彼、または彼女はどんな気持ちでこの本を手に取ったのだろう。

読書カードに落書きと新聞切り抜きが!
たまらない味わい



先週はこの本を買った。

この本は約30年前同じものを持っていた。大学院生時代にゼミの研修旅行で京都に来た時に参考図書として買ったもの。なかなか便利な本だったのにいつのまにか紛失してしまったものだ。美術史のことも書いているのでわかりやすく、赤線や書き込みをしてボロボロになっていた。

また出会えて良かった。
当時紹介されていた老舗の店は2024年にもまだある。 

タイムマシンのように感じる。

これは今読み直している。

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