ニコリ作家デビュー、してみませんか?(実践編)

お久しぶりです。
パズル・謎作家のにょろっぴぃです。

今日は5月24日、ということで、次回のニコリ投稿の締切(5月末)が約1週間と迫ってきました。
同じようなタイミングで3年ぐらい前に書いた「ニコリ作家デビュー、してみませんか?」は好評だったようで、未だに多くのアクセスがあるのですが、多くの作家を悩ませる疑問として「結局、何を投稿すれば載るのか?」という問題が出てきます。本記事に興味を持って下さった方は、投稿はじめたての方はもちろん、筆者のように、5月29日ぐらいになって「まだ何も作ってないけど、今から何か作って本誌に1問載せたい」みたいになる方も多いと思いますので、何かの参考になれば幸いです。

なお、こんな記事を書いといて最初に言うのも何ですが、特に投稿初心者の方は、まずは作りたいパズルを投稿することを強くおススメします。
ニコリに投稿をする動機は人それぞれだと思いますが、特に一番最初って、「自分の好きなパズルを世に出したい」「自分のパズルがニコリに通用するか試してみたい」みたいな動機の人が多いと思うんですよね。「とにかく原稿料が欲しい」「何でもいいのでとにかく載りたい」方であれば、本記事が参考になると思いますが、載りやすいかは別として、まずは好きなジャンルで勝負をした方が、載った時の感動が大きいんじゃないかと思います。


■筆者略歴
前回記事に比べると経験と主観による部分も多いので、最初に略歴を簡単に書いておきます。興味のない方はこの項目は飛ばしてください。
筆者が22歳以上であることがバレてしまいました。

・2001年 オモロパズル「ナンロー」でデビュー
あまり覚えていないのですが、思い付きで送ったら載ってしまったという感じでした。オモパ新作がデビュー作というのは割と珍しいかも。ちなみに、このあとも3回ぐらい新作を送ったことがありますが、全てボツになりました(笑)。最初で最後のオモパです。

・2006年(2007年かも) 依頼が来るように
その後も受験期を除いて2005年まで投稿を続け、依頼が来るようになりました。種類が思い出せないのですが、確か最初は波及効果だった気がします。
当時は典型的な数理系オンリーの作家で、スリザーリンクとカックロ以外は大体投稿歴があったと思います。掲載が多かったのはひとりにしてくれとナンバーリンク。

・~2010年ごろ 数理系投稿のピーク
・2011年ごろ~2018年 nikoli.com作家に
今は無きサイトで、ここからはnikoli.com作家がメインになりました。特に、同サイトにあった定食数理系は、ほとんど本誌には投稿しなくなったと思います。代わりに投稿をするようになったのが言葉系と数独で、今も続いています。

・2018年~
細々と投稿を続けていますが、数独以外はコンスタントに投稿している訳ではなく、大体2回に1回ぐらいでしょうか。割合は数理系と言葉系が大体半分ずつぐらいです。

投稿を続けていると、載りやすいパズルと載りにくいパズルが出てきます。特に、上記のnikoli.comでは本誌よりも掲載率がかなり高かったのですが、それでも特にヤジリンとシャカシャカは掲載率が低く、センスの無さを感じました(笑)あと、本誌ではタめいロが何度投稿しても載らないので、センスが無いようです。ここら辺が分かってくると、載らなそうなパズルはますます送らなくなります。


■公式情報
さて、何を投稿すれば載りやすいのか?を考えるために、まずはニコリ公式が出している情報を見てみましょう。
と言っても、この手の情報は少なく、「ニコリは投稿作品を実はクジ引きで選んでいる」なんて根拠のない噂が流れるような状態です。5分ぐらいで適当に作った問題が案外載ったりするんですよね…。

(も)の雑記 素敵なご案内 | 次ニコ (tsuginiko.com)

中の人による、数少ない投稿情報。要約すると
・数理系は投稿が多い
・言葉系、絵系は大体投稿が少ない
・数理系でもイージーは投稿が少ない

といったところでしょうか。言われればどれも納得です。
ちなみに、私は詳しい投稿の記録をつけていないのですが、天体ショーは確か投稿1回(確か3問ぐらい送りました)で掲載1回なので、掲載率は驚きの100%です。10×10の絵を考えるのが難しい。

かつての私もそうだったのですが、数理系パズルの場合、どうしても最初の頃は、尖った問題、難しい問題を載せたいというのが、作家あるあるだと思っています(私は「中二病期」と勝手に呼んでいます)。ここを超えて何かを悟ると、ベテラン臭が醸し出せるようになります。

最近のツイッターでも、再度「数理系のイージーが少ない」と書かれていました。狙い目のようです。


■掲載枠数を考える

・ニコリ本誌
次に、ニコリ出版物における掲載枠数を考えてみましょう。
現在、ニコリは季刊ですが、毎号載るパズルは少なく、特に数理系は定食系でも大部分は2号に1回以下の掲載です。例えば、最新の182号にぬりかべやましゅは載っていません。
例外はスリザーリンクとカックロで、毎号載っています。後述の数独と合わせて、この3種類は特別扱いがされているようです。
言葉系も多くのジャンルは隔号掲載ですが、クロスワードやスケルトンは毎号載っています。クロスワードは作りにくさに目を瞑れば、掲載数の多さ、投稿数の少なさ共に、載りやすいパズルの有力候補じゃないかと思います(まあ、それでもとにかく作りにくいのですが…)。

・別冊
本誌に向けた投稿作は、本誌以外の冊子に掲載されることがあります。定期的に刊行されている、投稿作が掲載される別冊は以下の2つだと思います。

①ザ・ペンシルパズル
年1回秋に刊行される、数理系の定食8種類と、新ジャンルの有力ジャンル2種類(2019年までは10種類+3種類)が、大量に掲載される本です。
ニコリに掲載される問題の傾向を知るためにもおススメの本ですが、とにかく投稿が多くて載りにくい、数理系の定食ジャンルの掲載枠を大きく増やしてくれる、貴重な本です。本誌に比べると、中サイズとジャイアントの掲載枠が多いのもポイント。

さて、この本に何のパズルが載っているのか、最近5年間の掲載ジャンルと問題数を見てみましょう。

2019年は種類が多かったため、種類ごとの掲載数が若干少なめです。また、新ジャンル枠は投稿枠が基本17問と、定食よりも少なめで、特に中サイズの枠はほとんどありません(投稿的にそれはそう)
別格のスリザーリンク、カックロが必ず載っているのはともかく、注目はそれ以外で皆勤賞となっている、ナンバーリンク、ヤジリン、へやわけです。傾向的にダブルチョコも皆勤枠になるのかもしれません。この3種類は、定食の中でも比較的古めのパズル(特にナンバーリンク)で、根強さがうかがえます。逆にましゅや四角に切れあたりは、作りやすく投稿が多そうなので、この傾向が続くのであれば掲載率は激戦が予想されます。のりのり(作りやすくて掲載枠が少なそう)のように、本誌で突然特集が組まれたりすることもあるのですが…。

②数独系冊子(+推理パズル)
定期的に刊行されているのは
・数独通信(年2回)
・難関数独/超激辛数独(年2回)
・てごろな数独(年2回?かつては「とびっきり数独」)
・おうちで数独・推理パズル(今後は年2回ぐらい?)
あたりでしょうか。

数独は扱いが特殊で、年2回刊行される数独通信向けの投稿が基本となり、ニコリ本誌の問題も、数独通信向けの投稿から選ばれる形だったと思います(筆者はこの形で1回載ったことがあります)。
専門誌が大量にあるぐらいなので、おそらく投稿数は最多なものの、掲載数も別格を誇ります。難関数独/超激辛数独は依頼枠の掲載が多いので、どちらかというと低難度の方が掲載枠が多いと思います。

とりあえず何か載せたいという方には、正直数独一択なのですが「作り方がやや特殊で他の数理系パズルと異なる」「数理系パズル作家にあまり人気が無い」「投稿時期が異なる」という難所もあります。特に、最後の投稿時期ですが、次回締め切りは10月末なので、今送っても恐らく掲載は来年です…(ニコリ本誌であれば、9月10日発売の秋号に載ります)

おうちで数独・推理パズルはいつまで続くのかが分かりませんが、推理パズルは何と15問も載っています。作者が偏っていることからしても、投稿はかなり少なそうで、作れるのであれば狙い目といって良いでしょう。

③その他、不定期刊行物
不定期で刊行されるものには、大量の種類のパズルが掲載される「パズルBOX」、1種類の数理系パズルが大量に掲載される「ペンシルパズル三昧シリーズ」などがあります。
ここら辺は不定期なので、載ったらラッキー、ぐらいに見ておくのが無難化と思います。


■パズルの作りにくさを考える

最初のニコリ公式の投稿内容にも書かれていますが、基本的には、作りやすいパズルほど投稿が多いのだろうと思います。
四角に切れやましゅはその気になれば1問3分で作れますが、クロスワードはどう頑張っても1問1時間はかかると思うので、控えめに見ても、クロスワードの方が10倍作りにくい訳です。

あとは、大まかな傾向として数理系>言葉系・絵系という傾向があって、実際その通りだと思うのですが、背景として、言葉系の方が全体的に原稿が作りにくい、量産しにくいというのがあるのではと思います。筆者の体感ですが、掲載数/投稿数で言えば、上記の別冊込みで見ても、数理系に比べ、言葉系の方が3倍ぐらいは載りやすい気がします。
エディターが発達したおかげで、定番数理パズルは画像のコピペでできるのに対し、言葉系はエクセルなどへの手入力が必要で、特に漢字系はパーツを手書きで書く必要があったりするので、原稿を作るのが面倒です。

結局、投稿が少ない(=載りやすい)パズルは、以下のどちらかを満たすパズルが多いのではないかと思います(人気が無いジャンルは投稿数は少なそうですが、掲載数も少ないので除外)
①そもそもパズルが作りにくい
②原稿を作りにくい

①そもそもパズルが作りにくい
波及効果のようにハタンさせやすいパズル、ナンバーリンクのように他のパズルと作り方が大きく異なるパズルなどが該当します。クロスワードや推理パズルも、特殊な作問能力が必要なのでこの枠です。

②原稿を作りにくい
ネットワーズのようにそもそも絵が描けないと作れないジャンルや、漢字抜け熟語・漢字見え隠れシークワーズのように基本的なサイズが大きく、物理的な労力が高いジャンルなどが該当します。作れなくはないが面倒というジャンルが多く、要は言葉系・絵系が多いです(笑)
数理系だと、最後の数字埋めが面倒なひとりにしてくれあたりが該当しそうです。あれ面倒で、へやわけでいいやってなりがち…


■厳選!載りやすそうなパズル

上記の内容を踏まえた上で、考察と経験を元に、掲載率を高めるのにおススメのパズルをいくつか紹介します。
大体は何らかのハードルがあるパズルなのですが、裏返せばハードルを乗り越えるスキルを身に着ければ、他のパズル作家と差別化を図れるということも意味します。その意味では、初心者向けというよりは、初心者を卒業して次に何か作ってみたい方向けの内容かもしれません。

・数独
上記のように、投稿時期などの関係で特殊な枠なのですが、掲載枠の多さが別格なので、数理系では第一候補でしょう。半年で最大20問ですが、10問送れば全ボツはまず無いだろうと思います。
数理系ながら作り方が特殊なパズルで、1つ数字を入れることによる影響が強く、作意が崩れやすいのが特徴です。特にHardは慣れないと作りにくいので、最初はMedium以下を狙って、Hardが作れたらラッキー、ぐらいの気持ちで作った方が良いでしょう。
また、使用できる手筋の範囲の関係で、MediumよりもEasyの方が作りにくいパズルです。全体的にEasyの投稿数が少ないようなので、数独について言えば、特にEasyの価値が高いのではと思います。表出数字の多くないEasyを作るのはとても難しく、慣れが必要です。

・推理パズル
同様に、現時点での掲載枠が多く、また、数独に比べるとごく少数の作家が枠を独占していると言っても過言ではない状況なので、新規参入を狙うなら最大の狙い目だと思います。
筆者も作ろうと思ったことはあるのですが、まず、設定を作るのが難しいんですよね…。定番ジャンルでは数少ない、投稿したことが無いパズルです。逆に言えば、大体のパズルを作ったことがある人でも作らないぐらい作りにくいジャンルということで、狙い目なのは間違いないです。

・ナンバーリンク
上記のように定食数理パズルの中でも掲載枠数が多く、一方で作り方が特殊で投稿者が限られるので、定食数理パズル最大の狙い目です。筆者自身、投稿数も掲載数も多めで、体感載りやすいパズルだと思っています。
多くのパズルが「解くように作る」のに対し、このパズルは「盤面を埋めるように〇を配置して線でつなぐ」ように作るのが基本です。特に、点対称配置で作る場合には、最後の方は作るのも試行錯誤の運ゲーになります。最初のうちは、非対称の方が作りやすいでしょう。
とにかく別解が出やすいのですが、別解が出るようなパターンを掴めると、別解を防ぎやすくなります。このパズルの作り方だけで1記事作れる気がしますが、ここではこれ位にしておきます。

・ドッキング漢字
正確に調べていないですが、体感では言葉系で掲載率ナンバーワンです。そこまで作りにくい訳ではないのですが、原稿を作るのが面倒なパズルです。
特に四字熟語の場合、このパズルで使える熟語がかなり少なく、使用ワードにテーマを持たせようとすると、作問難易度が大きく上がります。筆者は漢字ジグザグの本(ニコリには載っていません)を使って、候補リストを作ったことがあります。

・セレクトワーズ
言葉系では圧倒的な投稿数らしいですが、圧倒的な作りやすさがそれを上回ります。言葉系デビューにおススメ。筆者の推しパズルで、投稿数もかなり多いです。体感ではそれでも数理系定食よりは掲載率が高い気がします。
最近の号で10問ぐらい載った号がありましたが、投稿数がもっと増えて、毎号10問ぐらい載ったり、単行本が出るようにニコリに圧力をかけて行きましょう。ペンシルパズル三昧シリーズはまだですか。

・おれひとりシークワーズ/ボンバーワーズ
クロスワードのようなカギを使いながら、盤面サイズが小さく、クロスワードよりも大分作りやすいです。カギにテーマを持たせる方向でも、盤面の文字にテーマを持たせる方向でもOK。
ボンバーワーズが定食化したので、おれひとりシークワーズの掲載枠が減りそうなのが懸念点。割と似ているので…

・カックロ
定食数理パズルではナンバーリンクの次におススメ。掲載枠が多く(ただし、サイズの関係で問題数は他よりも少なめ)、作者も比較的少ない印象です。基本サイズが15×15と大きく、手を出しにくいのもポイント。
盤面の形に細かい制約があったりしますが、意外と作りやすいです。尖ったギミックなどは入れにくいパズルなので、やりたいことを表現したいタイプの作家には向かないのが難点。

・カタカナ抜け文
新年会か何かで、「載りたいならカタカナ抜け文がおススメ」みたいなことを社員の方に言われた記憶があります。
何とここ1年以上、新規投稿が載っていません。おそらく、人気が無いのではなく、投稿が無いからだと思うので、絶好の狙い目だと思います。作れるなら。


それでは、良きパズルライフを。
…筆者ですか?そうですね、このままだと投稿しなそうですが、やるなら次号はセレクトワーズに力を入れようと思います。セレクトワーズ楽しいですよ。セレクトワーズ。



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