ニコリ作家デビュー、してみませんか?

(※本記事は2020年2月,最新号が169号のタイミングで書いた記事です。その後,部分的に加筆しています)

こんにちは、にょろっぴぃです。
次の記事で今年の抱負を書こうと言いながら1か月が過ぎ、気づけば2月もあと1週間を切りました。

さて、twitterではこの1週間、「ペンシルパズルデビュー週間」という企画が行われました。初めてペンシルパズルに触れる人を主な対象として、易しいパズルを色々作ろうという企画で、終わってみれば100種類以上のパズルが集まりました。私も何問か問題を作りましたので、良かったら解いてみてください。

ところで、このペンシルパズルデビュー週間で登場したパズルですが、大部分(8割ぐらい?)は「パズル通信ニコリ」というパズル雑誌発祥のパズルです。ただ、今はもう載っていないパズルも多く、最新号に載っているのは大体20~30種類ぐらいです。

このパズル通信ニコリですが、大部分は読者からの投稿作品が掲載されています。この投稿、3か月ごとに締切が設定されているのですが、次回は2月末(※1)(※2)です。つまり、今日も入れてあと6日。ペンシルパズルデビュー週間でパズルを解いたり作ったりすることに興味を持った皆さん、このままニコリ作家デビュー週間もやってみませんか?

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前置きはこれぐらいにして、ニコリ作家デビューのためのガイドを書いてみようというのがこの記事の目的です。とは言っても、実は、総論については既に半袖さんの記事「ニコリ投稿の手引きの手引き」があり、そちらにかなり詳しく書かれています。そのため、本記事では、総論の補足と、各論ということで、各パズルの投稿時に気を付けた方が良いと思うことを中心に取り上げてみようと思います。

■総論

ニコリ作家デビューのために、最低限これぐらいはやった方がいいと思うことと注意点をまとめてみます。原稿の書き方など、具体的部分の手引きについては、上記記事を参照ください。

・パズル通信ニコリを購入し、「投稿の手引き」を読む
まあ、ニコリ本誌を買わずにいきなり投稿する方はまずいないと思いますが…。「投稿の手引き」の情報量は少なめ。
※投稿の手引きはどの号でも載っています。時々,拡大版として詳し目の手引きが載ることもあります。

・投稿したいパズルを何問か解く
いわゆる「傾向と対策」。ヤジリン、ぬりみさきなど、オンラインとニコリでは傾向がかなり異なるパズルもあるので、ニコリに載っている問題の感覚をつかむためにもオススメ。
なお、ニコリは毎号全てのパズルが載っている訳ではなく、定番であっても、例えば169号(※記事公開当時の最新号)ではぬりかべ、へやわけ、四角に切れあたりは載っていないので注意(※2)。必要に応じて,別冊も活用すると良い。特に、「ペンシルパズル選書ぬりかべ1」は最終問に筆者の問題が載っており、難易度の上限を把握するのに最適。(ダイマ)

・ツール類の準備
Pencilbox 主に数理系の定番パズルに対応したエディタ。若干古いため、ぬりめいずなど、最近のパズルには対応していない。nikoli.com作家はこれでパズルを作っていた時期が長いため、筆者含めて今でもPencilboxメインで使っている作家が多い気がする。
ぱずぷれ 言わずもがなのオンラインエディタ。数理系であれば、大抵のパズルはここで作成可能。下記のソルバーにそのまま使えるため、利便性が向上したが、画像の取り込みはPencilboxに比べると若干面倒。
ペンシルパズルソルバー オンラインソルバーで大部分のパズルに対応。原稿は投稿前に解きチェックをした方が良いが、このソルバーにかけるだけで解なし・複数解をチェック可能。ナンバーリンク、スラローム、ダブルチョコあたりは対応していない。また、ぬりかべなど、一部パズルは難問だと判定されないが、そもそもそのような高難度問題はニコリには載らない。
クロスワード用語検索 類似のツールがいくつかある。クロスワードはもちろん、セレクトワーズなどでも重宝する。

数理系の場合、上記ツールで問題・解答画像を保存して、excelでまとめると楽。住所などはコピペでOK。言葉系パズルを投稿したい場合、上記ツールでは問題を作成できないので、手書きまたはexcelなどで作成することになる。

・サイズ、難易度
サイズはパズルごとに決まっており、数理系なら10×10と17×17が多い。言葉系は主なサイズはあるものの,明確に決まっていない物が多い。サイズを間違えると載らない。
一方の難易度は明確な基準はないが、大体のパズルは上限の目安がある。どちらも作り方が特殊で作りにくいのだが、難易度を気にしなくて良いという意味では、ナンバーリンクと数独(こちらは、上限はあるのだが基準が明確)がオススメ。

・ジャンル
非定番でも、今号(169号)のLITSのようにまれに載ることがある。最近だと、黒どこ、お家へ帰ろうなどが載ったことがあるがめったに載らないので、初心者の投稿としてはお勧めしない。


■各論

ここから各論です。本誌や投稿の手引きには載っていない、投稿時に気を付けた方が良い暗黙のルールを中心に取り上げます。

〇カックロ
・サイズは外周除き11×11と15×15
・1マスのみのつながりは不可。数字を入れないつながりも不可。
・サムクロスにあるような、縦横の数字の合計の差分を取る解き筋は非推奨(たぶん載らない)。サムクロスに比べると、計算をさせない問題が好まれるらしいが、筆者も掲載率がとても悪いので考察はこれ位で…

〇スリザーリンク
・点対称配置
・中サイズは15×25
・0同士がタテヨコナナメに隣接する問題は不可。169号の3番のように、隣接しなければ、0が固まった地帯は可
・線が通らない、広い領域は非推奨。これはヤジリン、ましゅなども同様

〇数独
・投稿はニコリではなく、数独通信が優先。ニコリ本誌の問題も、数独通信への投稿作から流れてくる(たぶん)。詳細は数独通信の投稿の手引きを参照。
・点対称配置のみ。線対称配置は不可。
・使用できる手筋は予約と井桁まで。仮定を要する問題のほか、Chain、Y-Wing、浜田ロジックなども不可。逆に予約と井桁に限れば、難易度の上限はないものと思われる。
(2022/3/11追記)超激辛数独の依頼で,枠に収まる程度という上限のガイドラインが記載。予約と井桁などの合計で7~8回程度が上限と思われる。なお,このレベルの問題は,数独通信にはほぼ掲載されないため,投稿としてはそもそも非推奨。
・詳細は割愛するが、難易度に明確な基準があり、例えばマスミなら6以上、予約なら7以上、井桁なら10以上(まれに9+もあり)になる。

〇ぬりかべ
・このマスにはこの数字しか届かない、は非推奨だった気がする。オンラインとニコリだと傾向がかなり異なる。

〇へやわけ
・ちょっとした単純仮定(このマスを黒マスにすると3連禁に反する、みたいなやつ)は初期は多かったのだが、最近の問題ではほとんど見ない。

〇フィルオミノ、四角に切れ
・点対称配置

〇美術館
・点対称配置
・アルファベットのP型など、黒マスで完全に分断された部分がある問題は非推奨。とりあえず、筆者は掲載は見たことがない。

〇シャカシャカ
・美術館同様、黒マスで完全に分断された部分がある問題は非推奨。同様に、掲載は見たことがない。
※(2021/10/9追記)その後、公式の「投稿の手引き」に言及がありました。おそらく美術館も同様で、どちらも出題不可です。

〇ひとりにしてくれ
・小サイズは8×8
・使用数字はサイズの数までを推奨。以前は8×8で9が入る問題もあったが、最近は見ない。そして、この数字埋めがなかなか面倒。数字埋めをする際に、白マスが多い列から埋めていくことと、仕掛けに使う数字の種類を絞る(17×17なら、1ケタに絞るなど)と多少は埋めやすくなるが、それでも特に8×8は調整が必要になることも少なくない。
・ルール上は探索系も可だが、特に17×17では非推奨で、仕掛け以外の部分ではなるべく考えさせない問題が好まれる。8×8だと逆に、探索系のらくらくが時々出題される。

〇ナンバーリンク
・中サイズは15×15なので注意。筆者は当初、間違えて17×17の問題を送ったことがある。
・全マス通過、ショートカット解なし
・点対称、非対称どちらでも可だが、点対称の場合、10×10では数字は偶数個(事実上、ほとんどの問題は1~8)、15×15では奇数個になるので注意。
・とにかく別解が出やすいのでソルバー推奨。逆に唯一解でさえあれば、難易度はあまり気にしなくて良い(掲載不可となるほど難しい問題が作れない)。筆者は10年ぐらい、これを使っています。

〇波及効果
・具体的なルールはないが、とにかく作りにくいので、ニコリデビュー時の投稿にはオススメしない。
・10以上の数字は非推奨(依頼時にそんな文章を読んだ気がするのだが、うろ覚え。特定の部屋割りをしなければ、8ぐらいまでで通常は足りる)

〇ヘルゴルフ
・池がない問題もOK(割合としては少ない)

〇クロスワード
・11×11,15×25が標準
・黒マスの位置は点対称
・四隅は白マス推奨と思われる(本誌では四隅に黒マスがある問題は長らく見たことがないが、別冊では時々出題されている。公式の言及はない)
(2022/3/11追記)
その後,二コリの記事にて言及あり。これによると,禁止ではない模様。変種だが最新号の178号には四隅に黒マスがある問題が掲載されている。
https://tsuginiko.com/20220119/7481/

・黒マスのタテヨコ隣接、黒マスによる盤面分断は不可(ジグソークロス、推理クロスなども同様。こちらはルールに明記されている)
・数字を入れる方向が、一般誌と異なり下方向なので注意
・1マスの袋小路はなるべく少ない方が良い
・言葉系全般に共通だが、言葉は何らかの辞書に載っていればOKらしい。スケルトンなどは不明。

〇スケルトン
・一般誌同様、四隅は文字が入っていることを推奨(たぶん)

〇推理クロス
・ヒントを使わず、辞書的知識によって推理させる問題は不可。言葉系だが、完全理詰めで解ける必要がある。
・ルールに記載があるが,「ン」で始まる言葉は使用不可(クロスワードのルールには記載がないため,「ンジャメナ」が使用できるかは不明)

〇ダブルチョコ
・中サイズは16×16(17×17では作れません)


(以下2022/3/11加筆)
最初にも書いたように,数理系パズルと異なり,言葉系パズルはサイズは明確には決まっていないものが多い。もっとも,主なサイズが決まっているパズルも多いので,掲載を目指すなら,最初は標準サイズに沿って作った方が無難か。

〇セレクトワーズ
・単語は共通テーマあり,なしどちらも自由
・一部を灰マスにし,共通する文字を入れるタイプの問題もOK。2文字のカタマリになっている問題も見たことがあるが,2種類の文字で伏字となっている問題は見たことがない
・サイズの決まりはないが,スペースの関係で,単語数は5つまでがほとんど(6つの問題も掲載があった気がする)。文字数の最長は筆者の記憶では10文字(→俳句問などは見たことがない)
・作りやすさからか,言葉系の中では投稿が圧倒的に多いらしい

〇タめいロ
・標準は6×6だが,8×8なども掲載されたことがある。5×5以下は記憶にない

〇よみどおり
・標準は5×5,7×7。配置は対称,非対称いずれも可

〇おれひとりシークワーズ
・余る文字がある問題の方が多いが,全ての文字を使っても良い
・標準は4×4~6×6程度(最近巨大な問題が掲載されていた)

〇ジグソークロス
・ルール3より,隠す文字の一部表出は不可
・推理クロスと共に,長い間,パズル・ザ・ジャイアントを除き,7×7以外の出題は見た記憶がない


こんなところでしょうか。

実際、掲載の倍率はかなり高く、特にましゅやヤジリンのように作りやすい定番パズルでは、なかなか載りません。一方で、形式面さえ満たせば、初投稿でもベテランでも対等です。
ニコリなどに掲載されると、掲載紙が送られ、原稿料ももらえます。1回でも載れば、ニコリ作家を名乗ることが出来ます(※3)。この機会に、ニコリ作家デビューも目指してみませんか?

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※1)オモパ、特集は4月5日ごろ、数独は4月末締切

※2)通常は6月10日発売の171号に掲載されるが、169号のぬりかべなどと同様、171号に載らないパズルは172号以降や別冊に掲載されることもある。カックロ、スリザーリンク、数独以外の定番数理系は、2号に1回掲載のパズルが多いので、例えば171号デビューを狙うなら、169号に載っている種類を投稿した方が良いかも。

※3)ある程度掲載が続くと、ニコリから依頼が来たり、新年会に呼ばれたりするようになる。高校までは来ない。本誌は初投稿もベテランも変わらないのだが、作家としては、この状態をもって、一人前になったと感じる作家も少なくないように思われる。目安としては1~2年程度か(コロナ禍のため,2021年,2022年は新年会が開催されていない)。

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