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2019年の抱負 パズルの「ハコ」を作る

あけましておめでとうございます。

新年の最初なので、今年の抱負について。
思ってた以上に長文となってしまったが、前半で去年までを振り返り、後半で振り返りを踏まえ、パズル作家としての今年の具体的な抱負と、考えていることを書いている。

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今年の抱負、あるいは具体的にやりたい目標について、年末ぐらいから考えていたのだが、なかなか整理が出来なかった。
「整理が出来なかった」と書いたが、正確に言えば、やりたい目標自体はいくつか浮かんでいた。でも、それをなぜやりたいのか、思考を整理しようと思うと、色々考えてしまって、はたしてそれは本当にやりたいことなのだろうか、本当にやりたいことは何なのかが、よく分からなくなってたのだ。

具体的にやりたい目標について、2019年は、まずは「自分がやりたいと思うことをやる」と決めていた。
そこで、ひとまず、今までを振り返ってみることにしてみた(2018年の振り返りについても、まずはこの1年を振り返ってみようと思ってまとめてみたものである)。

○今までを振り返ってみる

本格的にパズルに関わりだしたのは2006~7年。かれこれ12~3年はパズルに関わり続けていることになる。
飽きっぽい性格もあってか、具体的にやってることは大分変化しているが、ほとんどの期間で、何らかの形でパズルに関わり続けている。それも、かなり。ライフワークと言ってよいレベルだと思う。具体的な理由を言葉にするのは意外と難しいのだが、「パズルが好き」なことと、「パズルが好きなので、パズルをもっと広めたいと思っている」ことについては間違いない。

その上で、具体的に何をしているときに楽しいと感じたり、もっとやりたいと思ったりするかを、今までを振り返りながら考えてみた。

①「作る」と「解く」
パズルには作り手と解き手がいる。僕は普段、パズルを「作る」パズル作家と、パズルを早く「解く」能力を競う「競技パズル」を両方やっていて、特にここ5年ほどは競技パズルに寄りつつある。

でも、どちらが好きかと考えると、基本的には今でも「作る」ことの方が好きだし、自分はクリエイターでいたいと思っている。ここはぶれそうもない。「競技パズル」にハマったのは「真剣勝負」の楽しさと、世界大会の魅力に取りつかれた点が大きく、パズルを解くこと自体は、(競技パズラーにしては)そこまで好きではない。作家として解く場合を除くと、多くはトレーニングとして解いているだけである。競技パズラーの中には「目の前に問題があると解いてしまう」「解いてて面白いと思えるような問題に出会いたい」といった方がいるのだが、どうも、自分はそのような感覚は持っていない。

②何を「作る」か
パズルを「作る」といっても、色々ある。
今まで、特に去年の出来事を振り返ってみると、今の僕はどうやら、個々のパズルを「作る」ことそのものよりも、パズルが入った「ハコ」を「作る」方が好きらしい。もう少し言うと、作ったハコを何かすることで、パズルを広めることが好きなようだ。同人誌だったりオフラインイベントだったり、大分前に戻れば、ペンシルパズル同好会だったり。
作家なので、作ってて気づいたら何時間も経っていたとか、作った問題への反応が欲しいとかは今でもあるんだけど、以前に比べると大分減ってると思うし、長年やっているからか、パズルそのものとして、作りたいと思うネタは減っている。

○2019年の具体的抱負

前置きが長くなったが、振り返りを踏まえた上で、2019年の具体的抱負としては、以下のことをやりたいと思っている。一人で出来るものではなかったり、労力がかかりそうなものが多く、すべて実現できるとは思っていないので、実現のための土壌ぐらいを作れたら達成とすると思う。

①競技パズルサイトの作成
インドのサイトLogic Masters India(LMI)や、分野は変わるが競技プログラミングにおけるAtCoderのように、オンラインの大会サイトを作りたいと思っている。

ここ半年ぐらいで、Google フォームを使った小規模なオンライン大会が増えたり、市民のための競技パズル入門など、とても有用と思われる情報サイトが出てきたりはしているのだが、アクセスのしやすさと情報の集約に優れた、ポータルサイト的なサイトを作ることが、今後の競技パズルの発展のために重要ではないかと思う。実は去年にも一度話が出たのだが、現時点で、具体的なところまでは(おそらく)行っていない。

技術的にも労力的にも、とても自分一人で出来るものではないが、幸い、同じことを考えていたり、賛同してくれる方はいそうな状況なので、何とか動き出せるのではないかと思う。自分がメインになるかはともかく、内容理解のためには、ある程度分かるHTMLとCSS以外に、最低限のプログラミングとデータベースの知識が欲しいので、これらの勉強が準備段階になりそう。

②パズル同人誌活動の拡大と、アプリ作成
以前の記事で書いたように、現在、大体10~15人ぐらいのメンバーで、年1冊のペースでパズル同人誌「トケタ?」を作っている。同人誌と言っても、かなりボリュームのある本なので、実際にはパズルの本を作っている、と言った方が近い。

一口に「(ペンシル)パズル」と言っても、実際の範囲はかなり広いし、ジャンルによって、そのパズルに興味を持ちやすい層や、親和性の強い分野は大分変ってくると思う。例えば「トケタ?」の場合、内容的には大半は「理詰めで解ける、日本ではマイナーな数理系パズル」なので、パズル外の分野で言えば数学とかが好きな人と親和性が強い。例えば、コミケで買ってくれる人は、数学系か、既にパズルをやっている人のどちらかが大半だと思う。他の分野だと、言葉系、特にひらめき系であれば謎解き勢だろうし、競技パズルであれば競技プログラミング勢といった具合だ。

書店に行けば、大体はパズル本のコーナーだけで1コーナーを占めているように、パズル本自体はかなり多く、雑誌だけで100種類以上ある。ところが、主要なターゲットは主婦と高齢者であることもあり、数独(ナンプレ)以外の理詰めで解ける、数理パズルをメインに扱ったパズル雑誌は非常に少ない、というかおそらく「パズル通信ニコリ」と学研の「頭脳全開数理パズル」系統の2つしかない(「厳選推理パズル」という雑誌があったが、2018年12月に休刊)。

古くは「パズラー」休刊に始まり、出版ビジネスとしては、理詰めの数理パズルは厳しいと言わざるを得ない。一方で、理詰めの数理パズルに興味がある層は、潜在的にはまだかなりいるのではないかと思う。出版ビジネスとしては難しいのであれば、出版ビジネス以外の形で、隙間を埋めていけばいい。「トケタ?」に関わりだした当初は、それこそニコリの読者などに、海外パズルを紹介する本と思っていたのだが、実際の需要と役割は、おそらく、もっと広い。

話が長くなったが、メンバーも大分増えてきたこともあり、「トケタ?」制作メンバーの力を使って、もう少し色々な本を作ったら面白いのではないかと思う。その先駆けがコミケ向けに作った易しめの本であるし、逆に、分野を絞ったマニアックな本や、難問集も、最低限赤字にならない程度の需要さえあればもっと出しても良いのではないかと思う。あとは、スマホ向けアプリ。ジャンルが絞られるのと、競技パズルサイト以上に技術面の問題があるが、それこそブロックメイズあたりはどうだろう。

③謎解き分野への進出
これは純粋な興味なのだが、ここ数年、オンライン・オフラインを問わず、謎解き分野の流行は著しい。また、パズルをやってる人で謎解きにも強い人や、逆に、謎解き分野からパズルの大会などに興味をもってくれる人も増えつつあって、パズルとの親和性はかなり強い分野だと思う。
パズルが謎解きに吸収されてしまうのでは、という危機感と、あまのじゃく精神がないわけではないのだが、せっかく近い分野がこれだけ盛り上がっているのであれば、乗っかってみた方が面白いことが出来るのではと思う。他分野と同様、境界線を取り払っていくイメージ。

具体的なことは考えていないけど、パズル同様、「解く」「作る」は両方やったら楽しそう。さらに、パズル畑から入っていく以上、パズル成分の強い謎を作る形で、イベントなどに関わる形に出来れば面白いんじゃないだろうか。まずは「なげっぱ」をもう少し見るべきだろうか。

④世界パズル・数独選手権の日本開催準備
これは具体的な抱負と言うよりは夢に近いし、具体的なことは何も進んでいない。というか、そもそも議題にもなっていない。でも、今の大きな夢なので、この際宣言してしまおうと思う。

日本は実力的には世界最強国の1つで、世界パズル選手権は2017年には個人・団体共に優勝、世界数独選手権は2018年に個人・団体共に優勝している。しかし、選手以外の条件(立地も含む)から、日本で世界選手権は開催されたことはないし、開催が検討されたこともおそらくない。

「競技パズル」の中で、世界大会の影響はかなり大きく、僕自身はまさに、世界大会に行って(初参加は2014年)、パズルの世界が変わった一人である。上記の通り、パズルを解くこと自体はそこまで好きではないので、世界大会がなければ「競技パズル」はもうやめていたかもしれない。

その上で、やりたいことを考えると、世界大会を日本で開催したい、という点に行きつくし、考えるたびにその想いが強くなっている。

最速であれば、今年秋の世界選手権で立候補をすれば、来年開催の可能性はあるが、現状ではまず不可能。しかも、来年の世界選手権はアジア開催の可能性が高く、来年がアジアとなると再来年もまず難しい。現実的には早くても、2022年以降の開催で、2021年の秋がタイムリミットだろう。
去年ぐらいから考えていることなので、日本開催を遠い目標として既にやっていることもあるのだが、果たして3年弱で何ができるだろうか。

⑤一般雑誌への進出
これも去年から考えていることなのだが、特にnikoli.comの終了を契機に真剣に考えるようになっている。他に比べるとビジネス的な意味合いが強いし、内容的にも公開しにくい。
上記の通り、言葉系などに比べると、数理パズルの雑誌は非常に少なく、アピールできる媒体が少ないというのはあるのだが、それにしても、一般雑誌の作家の状況はあまりにもブラックボックスであるという印象。公募している雑誌は数えるほどしかなく、また、積極的にSNS等で情報発信をしている作家も、僕のアンテナが届く範囲を考慮しても、ニコリ系の作家に比べると、その数はとても少ない。数理系はもちろん、言葉系も大体の種類は作れると思うけど、ここからどうしようかな、と言ったところ。


長文になったけど、今年はこんなイメージで、新しいものを色々作る1年にしたいと思う。今年中の目標は①②、④はかなり長期的な話、③⑤は少しずつ進められればと言ったところ。個別の項目にはしなかったけど、日本数独協会でも面白いことがしたいと思うし、従前の競技パズルと作家業もある程度は続けると思う。数独作りとか。
あとは、仕事などとの兼ね合いで、パズルにどれぐらい時間が取れるかにかかっていそう…。





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