
悟りの境地
ニューヨークでメディテーション、瞑想がトレンドになって数年が経つ。
『瞑想』と『トレンド』という二つの言葉は相容れないようにも感じるけれど、『瞑想』はまさに今最も『トレンディ』なアクティビティの一つである。
最近では、瞑想専用のスタジオも続々と登場しているんだけれど、その中にはソーシャライズを目的にしたものも多いらしい。
以前であれば、バーでミングルしていた若い世代が、今は瞑想スタジオに行っているのだ。
プライベートな出会いだけでなく、ビジネスがまとまることも少なくないそうで、特にそこそこ会費が高い会員制のスタジオでは、スタートアップが投資家をみつけて話をまとめる...なんてこともあるそうだ。
そもそも、瞑想、というのは心を無にするものではないのだろうか。そんな場で、ビジネスの商談相手探しに血眼になる、というのは、オリジナルのコンセプトからかけ離れている気がするが、現代人が求める『悟り』というのは、その程度のものなのかもしれない。
先日、ジムのサウナで会った知人が
「母が突然亡くなってから、仏教にはまってて。先日もアップステートにリトリートに瞑想三昧だったわ...」
と言う。
仏教の教えに影響されて、週に5日は動物性の食品を取らないそうだ。
「食事を変えて、朝晩瞑想するようになったら、毒素が抜けて、穏やかになった気がするの....」
そう言ってシャワーを浴びるためサウナを出ていった。
しばらくしてサウナに戻ってきた彼女は、自分がバスタオルをひいて陣取っていたスポットに、別の女性がそのタオルをどけて寝そべっているのを見て、顔色を変えて、その場に突っ立っていた。
そして、その女性が出て行った後
「わざわざ人がタオルでキープしている場所を横取りするなんてありえないわ!他にもこんなに場所があいているのに!!!一体どういう神経!?!?」
と5分くらい文句を言っていた。
他にも空いてるところいっぱいあるんだから、あなたがそこに座ったらいいんじゃないの.....?
しかし、血相を変えて憤慨している彼女に、そんなことはもちろん言わなかった。
悟りの境地
それは、完全なる自己満足。
その満足が欲しいがために、皆必死で瞑想するのかもしれない。
・・・・・・・・・・
☆ブログも更新中: NYでデトックス
☆Facebookに「いいね」して頂くと、ブログやウェブマガジン連載の更新状況が届きます。
・・・・・・・・・・
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!