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言葉についてこだわってみようか~メニューとプログラム~

普段から好きなことを好きなようにつぶやいているTwitter。もともとの成り立ちが「つぶやき」なので、誰かのために!とか有益な情報を!とか考えない自分勝手なアカウントなのですが、誰かがつぶやいたことについて、改めて考えるきっかけとなることはたくさんあります。だから楽しい。そしてきっかけはこのツイートから。

そうなんですよ。ワタシもトレーニング指導をする上でプログラムという言葉にはこだわりがあるのですが、いろんな方からリアクションをいただいて「なるほど~!」と思ったのでnoteにまとめておこうと思います。

メニューとプログラム

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スポーツ現場で指導するとき、選手たちから「今日のランメニューなんですか」って聞かれたりしますよね。この時ワタシの頭の中ではわりとオートマティックに「メニュー」→「プログラム」に言葉が変換されています。メニューとはいわばお品書き。定食屋に掲げられているものを想像してもらえればわかりやすいと思います。

一方であまり聞き慣れないかもしれないプログラムという言葉。プログラミングという言葉もあるようにメニューというお品書きの中から、いろいろとチョイスして出来上がったものを指します。定食屋で出てくる焼き魚定食(ご飯、メインの魚、味噌汁、小鉢など)みたいなものを想像していただければ。あとしゃれたレストランで出てくるコース料理などはスープ→サラダ→メイン→デザートみたいな感じで構成されていますよね。これはどの順番で、どのぐらいの量で、どのタイミングで…といったことが考えられて提供されています。これがプログラムなのです。

トレーニングプログラムを考える

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こう考えると選手やクライアント、チームに提供するプログラムというのは実は非常に綿密に考えられたものなんですよね。あまり表にでない部分ではありますが、いろんな変数を考慮し、今のその人にあったものを考えて構成されています。トレーニングプログラムには「できればこの内容をこの順番でやってほしい」という意図があり、トレーニングメニューには「この中から好きなもの、今できるものを選んでやったらいいよ」というニュアンスが含まれる、といったらわかりやすいかな〜。なのでワタシの場合は「できればこの順番で、できなければできるものから。でも順番には意味がある」という話はします。トレーニングをある程度の人数で同時に行うとバーベルやダンベル、シャフトが足りなくなって「こっちから先にやります〜」なんていうのもしょっちゅうですし。

ちなみにチームトレーナーとして年間のトレーニングプログラムを作っていた時、一時期は選手一人ひとりに個別のプログラムを提供していました。その数、100人越え。今考えるとヘンタイとしか言いようがないぐらいですが(笑)、100人のプログラムを期分け(ピリオダイゼーション:試合から逆算して筋肥大、筋力強化、パワー養成など時期を分けること)をして、個別にアンケートとったり面談したりして、今の自分に必要なものやこうなりたいという選手像、強みを活かすためのトレーニングについて「あーでもない、こーでもない」と考えてつくっていました。だからプログラムという言葉には余計にこだわっているのかも。でも、今、同じことをやれと言われたらやれる自信はないなぁ…。

エクササイズとドリル

ワタシもプログラムという言葉にこだわってますーと自分のTwitterアカウントでもつぶやいたところ、いつも仲良くしていただいているライターさんから質問をいただきました。

ドリルという言葉もよく使われますが、これはどの立ち位置になります??

確かに!!!スクワットとかベンチプレスという種目そのものはエクササイズと呼んでいますが、ウォームアップドリルってよく言いますし、ウォームアップエクササイズと言えないこともなく。ということでググってみましたw

英単語から考えてみると「drill=繰り返し行われる訓練」は反復練習とも言えそうですね。ウォームアップで行う腿上げなどはドリルって言ったほうがしっくりきます。そう思ってさらに深掘りしていくと、トレーニングコーチとして第一線で活躍されている弘田さんの記事にたどりつきました。

なるほどドリルには改善につながる「コレクティブ」という概念が含まれているのですね。動作の改善などを行うときはやはり一定の反復練習が必要なわけで、あーあー、と納得しながら言葉の定義がより明確になったように思います。

メニューにめくじらを立てない

一般的にはトレーニングプログラムという言葉より、トレーニングメニュー、練習メニューなど、メニューという言葉の方がより多く使われていると思います。選手たちや指導者の方がメニューという言葉で表現されるものが「実はそれ、プログラムですよ!」って思ってもあまり気にはしていません。そもそもトレーニング指導の場面で言葉の定義を知っている方がすごいな!って思うくらいで、「今日のランメニューは?」って聞かれたら「そう、今日のランメニューはね…」って返答しています(ザ・おうむ返し)。

あとリハビリの領域で活躍されている理学療法士の方や、治療をメインに活動するトレーナーさんも、厳密にメニューとプログラムを使い分けているという人の方は少ないかもしれません。でもそれは資格取得や勉強の過程で教わったことがあるか、その機会があったかなかったにすぎないと思っています。トレーニング指導者は言葉にこだわってるなーと思ってもらえればいいですし、なんなら明日からはちょっとこだわってみようかなーと思ってもらえれば嬉しいです。

こんな感じでnoteに書いておこうと思ったら、旧知の友人で(このnoteには旧知の友人が数多く登場しますw)、日本代表を支えるトレーニングコーチが、

選手が「メニュー」と言っていても返答は「プログラム」。優しさが皆無

と嘆いていましたが、いいじゃないですか(笑)。選手たちに言葉のこだわりや、その言葉が持つ意味を教えていくというのは。立派な教育啓蒙活動だと思います。このツイートを見て声だして笑ってしまいました。根っからまじめで、トレーニング指導に真摯に向き合っている姿が目に浮かびますよ。

ツイートに対していろんな人がリアクションしてくれて、皆さんそれぞれの現場で活躍されていて、なんだか嬉しくなったので書き残しておこうと思います。noteのネタをありがとうございます〜。

【今日のオマケ】
本当はいくはずだったトレーニング指導が、緊急事態宣言の延長により学年分かれての分散登校にかわってしまってリスケに。対象都道府県のチーム活動は多かれ少なかれ影響を受けていて、ワタシもしっかりその影響を受けています。なんだっけ、一時支援金、ちゃんとチェックして申請しなきゃ〜。


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