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一条戻橋の軍人 終(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
https://nyarseries.sakura.ne.jp/primadeus/
■混沌の化身
戻橋は、異様な空気に包まれていた。
いや、異次元というべきか。
橋に流れ出た血液が、橋下の川に流れ落ちることなく、血煙となって舞い上がり。空から照らされる月明かりが、夜露に濡れた地面に反射して、そこに赤と青とに明滅する歩行者信号の光が差し込む様は、幻想的ですらあった。
一条戻橋の軍人 5(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
https://nyarseries.sakura.ne.jp/primadeus/
■時計男
雨が降っている。
「手配してやったよ、お前さん方。」
夜露に橋が濡れている。
「お手数おかけいたします、風車刑事。」
赤と青の明滅を繰り返す歩行者信号が、夜の黒を妖しく彩る。
「大したこたぁねえよ、南郷刑事。」
風車刑事の協力を得て、次の夜。
俺と風車刑事と南郷さ
一条戻橋の軍人 4(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
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■刑事
(マズった…。)
それは、スマホに集中していて、周りが見えていなかった状況に近いのかもしれない。
スマホにせよ、霊感にせよ、妄想にせよ、今 自分が置かれている場所とは別のことを考えている時、その意識は別の世界に飛んでいる。
えてして、そのような時、ハッと気づくと、誰かや何か
一条戻橋の軍人 3(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
https://nyarseries.sakura.ne.jp/primadeus/
■追跡
戻橋に舞い戻る。
呼吸を落ち着ける間もなく、視界に入った光景は、赤と青との信号の明滅が繰り返す中で、その人工の面妖な明かりに照らされ、倒れる女性の姿だった。
身体から橋に血が流れ、青と赤の光に照らされた血の匂いが鼻孔に漂い、一層その場の空気を異様とさせる。
「犯人は…!?」
一条戻橋の軍人 2(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
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■南郷
足跡の残らない犬を見かけた。
通り魔事件、そして軍人の幽霊の噂が漂う一条戻橋にて、五芒星のクオリアを見つけた後、それを手掛かりに晴明神社に足を向けた道中で、俺は足跡の残らない犬を見た。
「…なんだあ?」
ピンと耳の立った、スレンダーな体躯の黒い犬。その姿は闇に溶け込むように
一条戻橋の軍人 1(ナイアル×プリマデウス)
ナイアル×プリマデウス
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■一条戻橋の軍人の霊
「きゃぁああああッ…!! ひとごっ… 人殺し!人殺しッ!!!!」
へたり込んでガタガタと震えた後、カギのように曲げて指差し、後ずさりしながら叫び声をあげて、大学生らしき女性は、その場から慌てて逃げ出した。
点々と連なる街の明かりが、旧くは街を覆った宵闇を既に葬り