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ものづくり文化をつくること

筑波大学OpenEsysアドベントカレンダー、2023年もやります。

https://adventar.org/calendars/8987

初日は今年度の代表を務めております、esys20の山名です。2020年入学ですがまだ2年生をやっています。まあそんなこともあります。

OpenEsysとは?

OpenEsysは筑波大学の工学システム学類の公認団体で、ものづくりを楽しむ人たちの交流を目指して活動している団体です。

去年までは構成員を工学システム学類の人のみとしていましたが、今年は後述の通り存続の危機から始まり、さらに他学類の人たちから「OpenEsysに入りたい」との声をいただいたことで、学類不問としています。
いつでも見学や飛び入り参加できます。ご興味あればぜひご連絡ください。Twitter (https://twitter.com/openesys)にご連絡いただくか、私個人にご連絡いただいても構いません。

ものづくりって意外と始めにくいものだと思います。知識も機材も仲間もない状況であれば、何から手をつけるべきかわかりません。授業と実際のものづくりにもかなりのギャップがあります。でも、せっかく筑波大学(の工学システム学類など)に入ったのだから、何か自分で作りたい。そんな人たちが集まって、みんなであれこれと交流しながらものづくりを楽しむ。そんな場です。

現在は工シス、芸専、総合、情科、社工など、様々な学類から人が集まって、現役メンバー15人程度でものづくりを楽しんでいます。

存続の危機だったOpenEsys

2020年、コロナ禍の開始と同時に私は筑波大学に入学しました。入学直後にOpenEsysというものづくり団体を見つけてとりあえず入ってみたのですが、コロナ禍で大学にはしばらく入構禁止で、顔を合わせて活動することはできませんでした。正直当時はあまりOpenEsysに魅力を感じていませんでした。コロナ禍は、OpenEsysに限らずおそらく多くのサークルや団体が、新歓に失敗したり、活動を思うようにできなかったことでしょう。

そういうわけで、2021年の新歓はゼロ人、2022年もゼロ人…という事態でした。そして2022年度の終わり、なんと2019年入学の先輩方は学部を卒業されてしまいました。実質的に残ったのは2020年入学の私のみ…

2023年度、OpenEsysはそんな存続の危機から始まりました。

何か面白いことができる気がした

私自身は中学生時代から、「ものづくりの民主化」という言葉を使いつつ、ものづくりを広めたいと思って活動しています。ものづくりは、やりたいと思ってから実際にやってみるまでいくつかハードルがあります。情報の不足、機材の不足、仲間の不足…。そんな問題を解決したかったのです。

元々私はこれらの問題のうち、特に情報公開という手段で「ものづくりの民主化」を進めてみていました。しかし、情報公開だけでは当然「ものづくりの民主化」をするには足りません。

そんな中、存続の危機にあったOpenEsysは、何か面白いことをする場として活用できる気がしました。コロナ禍でOpenEsysの活動を私自身はそこまで楽しめていなかったものの、改めて存続の危機に直面すると、なくしてしまうのは惜しい気がしました。こんな手のひら返しで先輩には大変申し訳なく思っております…。ただ、なんにせよ、OpenEsysという場所は面白い。そう直感的に思いました。

OpenEsysは筑波大学の3L棟の5階にある、デジタルファブリケーションルーム(3L502)という部屋を拠点に活動しています。この部屋には、3Dプリンタとレーザーカッターをはじめ、いくつかの工作機械があります。そう、ものづくりに必要な機材があります。

OpenEsysは(メンバーの多かった時代は)ものづくりをする人たちの交流の場でありました。しかも、活動部屋の3L502は24時間365日いつでも開いています。ここは、仲間が集まる場所に持ってこいなのです。

さて、ここまでは私個人の都合なのですが、よくよく考えてみれば、そもそもOpenEsys自体、(少なくとも私が知っている2020年から2022年くらいは)こういった「ものづくりの交流場所」としての役割を念頭に活動しているように見えました。実際、OpenEsysの(更新が途絶えている)Webサイトにはこう書いてあります。

学類生の交流の場
OpenEsysは工学システム学類の計算機運営委員会に認められた学生団体で、原則構成員は工学システム学類生のみです。
工学システム学類は人数が多く、クラス活動なども活発とはいえないので、OpenEsysは学年や専攻を超えて学類の人と交流できる数少ない場所です。
数年間実質的な活動がされていませんでしたが、2013年度より構成員十数名を募り活動を再開しました。

What's OpenEsys

OpenEsys自体の理念と私の個人的にずっと持っている信念が偶然にも非常に近かったため、これはやってみよう、多分面白い、と思いました。

今、どんな活動をしているか?

そんなわけで今年度の頭、Twitterで広報を頑張って新歓をしてみると、興味を持ってくれる1年生が何人も連絡をくれました。さらに、私の個人的なつながりの芸術専門学群の人が作品制作の役に立つからと来てくれて、その友人も来てくれて…と、徐々にメンバーが増えていきました。嬉しい限りです。その結果、今は15人程度で活動しています。卒業した先輩の言うには、コロナ禍前よりも多いとか……?

さて、メンバーが集まると、一気に責任のようなものが感じられてきます。ここからどうやって運営すれば、ものづくりの交流場所として持続的に活動できるのか…?あれこれと考えて、色々な方法を試しながら、今まさに活動中です。

最近は、メンバーに自分の活動について簡単に話してもらったり、何か面白い技術ネタがあればみんなで試してみたり、Arduino講習会、はんだ付け講習会、技術のお悩み相談会、などをやってみたりしています。

活動中にドアに貼るパネルを作ってみたり
Arduino講習会をやってみたり
メンバーが液晶を光らせて遊んでいるのをみんなで応援したり
はんだ付け講習会をやったり
公開されているからくりデータを様々な加工法で出力したり

↑このからくりデータはからくりすとさんによるものです

持続可能なものづくり団体に必要なものとは

さて、メンバーも集まり、OpenEsysは軌道に乗った、ように見えるかもしれません。しかし私は、このような活動を持続可能なものにすることこそが一番難しいと感じています。

OpenEsysに限らず、ものづくり団体は往々にして持続させることが難しいです。OpenEsys自体も2013年度までの数年間は実質的に活動していなかったようですし…。なぜものづくり団体の継続が難しいのか、どうすれば良いのか、私なりに少し考えてみました。

これから解決すべき問題と私が考えている解決策を3つ提示するのですが、この順番は私が考えた解決策の確度が高い順です。

手を動かすことは案外難しい

よく言われることですが、「何かを作りたい!」と思うことと、「とりあえずできる範囲で作ってみた!」ということとの間にはかなり大きなギャップがあります。とりあえず手を動かしてみることは、ものを実際に作る上で一番大事だと思います。だって、ものを「作る」のですから。

ものづくり団体はものを作る人の集まりなのですから、手を動かしやすい環境や雰囲気がなくてはいけないと思います。また、団体に遊びに来た人が、自ずと手が動いてしまうような仕組みを作ることも大切だと思います。

このような課題を直視した上で、OpenEsysではこの秋学期から、毎回の活動で「雑なLT」をメンバーにしてもらう試みをしています。LT (Lightning Talk)と聞くとスライドを使って5分程度全力で話す、と思いがちですが、OpenEsysではスライドなどなくて一向に構いません。ロボットの実物を持ってきてそれを見せながらこだわりを話すのでも、書いたソフトウェアをその場で動かすのでも、Webサイトを見せながら話すのでも、どんな形態でも優劣などありません。話題が定まらなければ微力ながら私が質問したりしてサポートしています。

発表することを日常にしてしまうことは、手を動かすこと自体に非常に良い影響があると考えています。「発表してみたら、意外と話せた」から、「あ、こんなのができた。今度話そう。」になり、最終的に「こんなものを作ったけど、発表をいい感じに見せたいからここにも手を加えてみよう」となれば最高です。

手を動かしていないと、そもそも発表なんてできないと思います。つまり、何らかの形で発表ができるのであれば、何か手を動かしているということです。

実はこのアドカレも、いつもの発表からワンランク上の発表という位置づけと勝手に思っています。さらに、年度末にOpenEsysでメンバーの活動をまとめた冊子を作りたいとも考えています。こういった活動を通して、メンバー全員が、発表と制作を両輪でうまく回せると良いな…と考えています。

さらに言えば、団体を持続させるため、このような取り組みをOpenEsysの活動として定着させることを目指しています。これは次に述べる人員の入れ替わりにも関係してくる話です。

ちなみに、こういった考えを整理するのにOpenEsysの先輩方との会話がありました。ありがとうございます。社会人はすごい。

人の入れ替わりが激しい

大学は、基本的に4年間で人員が入れ替わります(私が言っても説得力に欠けますが)。さらに運営主体については、毎年次の学年に替わっていくことも多いでしょう。

こうやって入れ替わりが激しいと、技術力の高い人や運営力の高い人がいたとしても、その人が団体に関われる時間は限られてきます。さらに、引き継ぎに失敗すると失敗を受けた代は運営の難度がぐんと上がります。こういった人員の入れ替わりに関する問題に柔軟に対応できるようにするには、

  • 運営の属人性をなくし、運営手順を簡略化する

  • メンバー同士が活発に交流できる雰囲気を作る

あたりが大事な気がしています。

OpenEsysについては今年度存続の危機からスタートしたため、とりあえず属人性を気にせずに運営してきました。しかし、それはそろそろやめるべきだと思っています。また、運営手順についても、今は私が仕入れたネタをやりがちなので、活動ネタの収集などをいかに楽に行えるようにするかを悩んでいます(最近はメンバーからアイデアをもらうこともあり、非常に助かっています)。

2つ目、メンバー同士の交流についてについて話すため、ここで、仮に運営が何もしなくてもメンバー同士で勝手に活動できる状況ができたとしましょう。例えば、メンバー同士で勝手にコラボして何かを作ったり、勝手に部屋に集まって何かを作ったり…。こうなれば、団体自体が自分の力で動くことができるようになったと言えます。私はこれを非常に良い状態だと考えていて、これを目指しています。
この状態を達成するため、絶対に必要なことはメンバー同士の深い交流です。技術に関連する話以外に、他愛ない話をするなど、そういった何気ない交流が下地に必要だと考えています。ちなみに私は他愛ない話には食事を共にすることが一つの手段として良い気がしていますが、コロナ禍で会食を禁止されていた関係で私自身まだうまく活動に組み込めていません。今後の課題です。

大学生は忙しい

今の筑波大生であれば多くの方が共感すると思うのですが、純粋に大学生(とりあえず筑波大生を念頭に置きます)は忙しすぎる気がしています。いや、休学の身で言うのも変な話ですが…

ものを作るという行為は、当然ながらそれなりの時間がかかります。特に未知の領域に足を踏み入れれば、試行錯誤や勉強の時間が多く必要です。こういった活動に捻出できる時間が、最近は、おそらく多くの人が想像するよりも少なくなっている気がします。授業と課題、そしてテストと、あとはバイト…。自由な時間が思うように取れない人が多いように思います。というか、私自身、大学に入ってから学業が忙しすぎることは個人的に不満の一つでした(まあ、学業が一番大事ではあるのですが…)。

ただ、大学生が忙しいということに不満を持ってもあまり意味がありません。そこでOpenEsysとして私ができることは何かと考えてみると…、私は技術のお悩み相談を受け付けることしか思いつきませんでした…。
前述の通り、新しいことをしようとすれば、試行錯誤や勉強に非常に多くの時間がかかります。その時間が有意義であることは大いに認めつつも、使えるツールは全部使って、なるべく時間を使わずに問題を解決すると良いことは確かだと思っています。

これについては、もっと根本的な解決法を探っています。

OpenEsys、面白くなってきました。

さて、初日から長くなってしまいました(え、5500字?!)が、そんなわけで、OpenEsysは最近面白いことになっています。ぜひご注目ください!

メンバーの色々な活動が、このアドベントカレンダーで垣間見えると思います。

とりあえず明日は私が率先して何か記事を書きます。何を書くかはまだ決めていません(というか、この記事も11/30の夜中にこうやって書いています)。私の記事に対して、あまりクオリティは期待しないでください…

とにかく、ものづくりを、楽しみましょう。

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