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<エセエッセイ>おもいでちらほら

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どうでもいい青春時代の思い出をちらほらと語っていきます。忘れなければ…
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おもいでちらほら その3「怪獣になった青年」

…いつのことだったろうか。
私が仕事を終え、線路沿いにある、
深夜の駐輪場にヘトヘトになりながらたどり着いた頃。

「うおー!!!」近くから唸り声が聞こえた。

こんな夜中に、誰だろう。

「うおー!!!」なんてかけ声を放つのは、
往年のトレンディ俳優・吉田栄作ぐらいではないだろうか。

そう思って脇をみると…
「おぎやはぎ」の矢作に似た、スーツ姿の眼鏡の線の細い青年が…
酔いつぶれて、自転車の下

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おもいでちらほら その2「修学旅行の悪魔」

おもいでちらほら その2「修学旅行の悪魔」

中学校の、修学旅行での事だった。
大広間で、夕食を終えた時の事。

男性教師の声が、大広間に広がった。

「おぉーい、このパンツ、誰のだ?」

紺色のジャージ姿に無精髭の、
キツネ目の男性教師の手につままれていたのは
透明なビニール袋に包まれた
男子ものの、ブリーフタイプのパンツだった。

・・どうやら、食事前の入浴時間に
誰か脱衣場に忘れて行ったらしい。

遠目から見ると、そこに
深緑のロゴが入

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おもいでちらほら その1机上の理想郷(ユートピア)

おもいでちらほら その1机上の理想郷(ユートピア)

…小学校の頃の事をふと思い出した。
確か、二年生の頃だったろうか。

給食を食べ終わり、
五時間目にさしかかろうとする休み時間。
残りあと五分くらいだったと思う。

ふと見ると、となりの席の女子が
夢中で机の上に、なにか描きこんでいるではないか。

ノートや紙にではなく、じかに机に鉛筆で。

…遠目から見ても、かなり黒ずんでいる。カオスだ。

ふとその子がこちらを振り向いた。

「ねえ、ドラえもん

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