パパ活嫌いの「銀座 大石」口コミ/レビュー/感想 〜量が多いのは企業努力〜
フランス料理の名店「北島亭」で16年に渡りスーシェフとして、活躍してきた大石義一氏が独立。3年のうちに「The Tabelog Award silver」やらなんやらも受賞し、都内の予約困難店として知られるそんな「銀座 大石」で食事をする機会があったので、レビューを書かせていただきます。
「高級フレンチ」「やたら量が多い」という2点を手持ちの前情報として銀座 大石に訪れてみると、高級フレンチというよりは高級寿司屋と呼ぶ方がしっくりくるカウンターの奥でガタイの良いシェフ(シェフというよりはもう大将って感じ)が届いたばかりのトウモロコシをミキサーにぶち込む様子が飛び込んでくる。
曰く「産地直送の採れたて野菜が今来た」とのこと。
カウンターの上にはコースの材料となる新鮮な野菜とフルーツ、塊肉や巨大な太刀魚が鎮座して睨みを効かせる。
カウンターは大体12席くらいかな。フレンチということで、不慣れながらドレスコードを多少意識した服装で訪れた我々でしたが、銀座 大石には特にドレスコードも無いようで、男性客はわりかしカジュアルな服装。
それこそ、高級フレンチに興味はあるものの、ドレスコードやマナーに怯えて二の足踏んでいる方にはおすすめしやすい雰囲気。
さてさて、12時に予約したものの、店主のトークととうもろこしをミキサーする音で大体20~30分経過したところでようやくコースがスタート。
1品目はバター茶。ハーブの香りが非常に強く、バターの甘みで胃を活性化している気がした。その瞬間はそこまで危機を感じていなかったけれど、結論だけ言うと、このバター茶がなければゴールに辿り着けなかったと思う。
2品目に移る前に大将から声がかかる。
「兄さんたちは結構食べる方?」
普段の俺は大体ラーメン屋に行けば大盛を食うし、CoCo壱のカレーだってライスは400g。調子のいい時は500gだってペロリよ。しかしながら持ち前の謙虚さ。
「まぁ、そこそこですね」
と答える。ここで本日のコース序盤の皿の量が決まるみたい。
さてさて、料理の量が大将の脳にインプットされたところで、2品目が到着。こちらはカツオ、ガーリックチップ、キャビアのフィンガーフード。大将曰く「カツオのたたきをフレンチ風にしてみた」とのこと。ガーリック強め = うまい わけだが、キャビア自体の旨味をぶち壊すわけでもなく、絶妙にカツオ。一言で言うと「海」を感じた。
渡される前に
こんなものを見せられておったので、期待値高まりすぎて写真を撮る前に口に放り込んでしもうた。よって奥さんの写真を拝借。
3品目はカリフラワーのムースにバフンウニ、コンソメのジェル、花穂紫蘇添え。まずは上澄をいただき、うにの素材を楽しむ。個人的な話で申し訳ないが、雲丹が大好物でございまして、北海道産バフンウニ様をそのままいただくだけでも大満足。
これだけ食べてもべらぼうにうまいのだが、そこは大将
「少し食べたら下のムースとかき混ぜて。そこからがフレンチ」
ほーう。どれ、かき混ぜてみるかと。なるほど。混ぜた後が本番。うまい「うに」特有のいい感じに磯っぽさと甘みに梅穂紫蘇がめちゃくちゃワークして酸味が「わあああああ」っとくる感じ。たまんねぇわ。
ねえ聞いて。まだ3品目。既にこの時点で文字数は1500超。
4品目は野菜嫌いな大将の作る揚げ野菜。野菜嫌いな大将がうまいと感じるように仕上げてきたとのこと。ちなみにこの下りはこの後何回かある。
福島県郡山の野菜で、タネから栽培している農家のもの。野菜って苗から育てるので、タネから育てるのってすごい珍しいらしい。長瀞ナス、ズッキーニ、ゆきした人参、モロッコインゲン、アオリイカのゲソ、鹿島の蛤、パプリカのムース、ミックスリーフ、トマト。
俺も自他とも認める野菜嫌いで、それこそナス・人参・ズッキーニなんてのは普段から好んで食べるようなものではない。とはいえ流石にコース料理に好き嫌いは御法度よ。
みんな大好きサイゼリヤ。必ず頼む「マイカのパプリカソース」。
トマト、パプリカ、イカ(蛤)。やはり相性の良さは高級イタリアンでも実証済み。野菜嫌いでも美味しくいただける素揚げのお野菜でした。
5品目はとうもろこしの冷製スープ。岐阜県高山市の流れコーン。9月に旬が来るコーン。入店時にミキサーされていたコーンが満を持して登場よ。
白い冷気が目に見えるほどキンキンに冷えた皿に注がれるコーンスープ。味付けは塩と自家製の菜種油(?)のみとのこと。コーン本来の甘味がすごい。砂糖ぶち込んだ甘味とは違うものの、甘いという感覚は同じで、味って同じベクトルにあっても違う甘みがあるんだよなと再認識。
てか、フレンチのスープ皿ってかわいいよね。機能美を感じる。
そろそろ腹が膨れてきたぞ。まぁ、まだまだいけるが。
6品目は前菜の盛り合わせ。八種の野菜のゼリー寄せ(しいたけ、おくら、キャベツ、ヤングコーン、人参、パプリカ、ズッキーニ、後一品なんだろう)、岐阜県の鮎をジャガイモの細切りで巻いて揚げたもの、キュウリのたて酢、トマトドレッシング、うさぎ。
うさぎ。
大将、先程の野菜と同様ジビエが苦手な模様。ジビエが苦手な大将が作ったジビエが苦手な人でも食べれるうさぎ。
余談だが俺はジビエが好きで、自分で狩って食いたいと思い今年の8月に狩猟免許を取得した。
こちら、涙ぐましい企業努力による料理の量がすごいことで有名な 銀座 大石 における第一関門。嬉しいけれどもしんどいお知らせ。
「まだ半分行ってません」
うわあああああああああああああああああああああああ。モリモリ食える人と言わなくてよかった。味はめちゃくちゃうまいものの、量が多くてこの時点で結構腹が膨れてきている。第一関門とはよく言ったものよ。
八寸をパクつきながら、大将のトークタイム。どうやら食べログにレビューを書くユーザーに物申したいことがあるとのこと。
銀座 大石。食べログの点数は4.33(2022/09/15現在)。100名店にも選ばれているし「The Tabelog Award silver」も受賞している。しかしながら大将、点数が低いと悩んでいるようだ。
俺としても楽しく美味しく満足度の高い銀座大石。食べログの評価が下がる理由は三つあるらしい。
量が多すぎる
大将がうるさい
トリュフが高い
なるほど。確かに量は多い。間違いない。
なるほど。確かに大将がうるさい。間違いない。
なるほど。確かにトリュフが高い。間違いない。(俺のコースにはトリュフは使われてなかった気がする)
「味がまずいとか、店が汚いで評価が下がるのはええけど、上記の3点で点数を下げるのは勘弁してくれ」と大将。
間違いねーなとほくそ笑みながら6品目完食。
まだ半分いってません。
7品目はガーリックパセリバター、椎茸、ホタテ、サザエを壺焼きに。エスカルゴをサザエの壺焼きで仕立てた感じ。先程のカツオのたたきをフィンガーフードにしたみたいな発想が楽しい。
それぞれサザエ2個、椎茸2個、ホタテ2個がサザエに詰め込まれており、結構奥まで入っているので掘り出すのに一苦労。
強制的にちびちび食わされるものの、やはり旨味の塊である貝の具と椎茸がたまんねぇ。
8品目は太刀魚のパイ包。冒頭に見せた2.4キロの太刀魚をパイ包にしたもので、ソースはハーブとタイのすり身のムース。決め手になっているのは上下に挟まったきゅうりとのこと。
どでかい太刀魚を使うと味も大ぶりになるというが、小降りの太刀魚を使ってパイ包を作ると身がパサつくようで、この料理を仕上げるにはあの巨大太刀魚が必須らしい。
日常的に魚をパイで包む技法の料理と触れ合う機会など、魔女の宅急便に出てくるニシンのパイくらいしかないので、食べる前からワックワク。
いざ口に入れてみると、シンプルに脂がしっかりした白身魚旨味の汁が「じゅわあああああ」って溢れてくる感じ。優しさに包まれた。
この辺りから、1皿の量を自分で調節できる。切り分ける前に大将が普通の量を見せてくれて、客が「普通」「半分」「二倍」「四倍」などと指定する。
半分にしてもっと食べたかったら「おかわり」も可能なので、安心して頼める。
ちなみに最初はヒヨってハーフサイズにしたが、おかわりをしてなんやかんや一人前いただいた。大将にはめっちゃ煽られた。
9品目は豚とカボナス。こちら、大将の厳選してきたそこまでうまくない豚。何を言っているんだと思いながら、うまくない豚に関する説明を聞いてみると、どうやらメインの皿に至る前に舌を整える役目というか、なんか、味が濃くてうまいものをひたすら食い続けることはできないみたいな。
この量の料理食ってて、このタイミングでうまい豚食うとメインの皿が食えなくなるとのこと。
メインにうまい豚を出せばいいんじゃないかとも思ったが、それは素人考えなのかもしれない。
うまいだけの豚を見つけるのは誰でもできるが、うまくないものの組み立てに必要な豚を見つけられるのは一流の料理人にしかできないという大将。
まぁ、大将の言う通り、とてつもなくうまい豚ではなかったが、特に不味い豚ってわけでもなかった。
10品目は口直し。高知県のスイカにミントを回してモヒートのように仕上げたスイカとライムのシャーベット。
結構腹一杯の状態にしたやすめ、口直しのシャーベットはありがたい。これでメインディッシュに進める。
モヒートって飲んだことなかったけど、モヒートってこんな感じなんだな。今度飲んでみよう。
11皿目は鹿のステーキ。狩猟解禁は11月15日からなので、大体我々が食っている鹿は冬の鹿だが、どこで獲ってきたのかこの鹿は夏草をいっぱい食べてさっぱりとした夏シカ。骨と油で出汁をとったソースフォアブラード、桃のキャラメリゼ、万願寺とうがらし。
腹8分目くらいの状態で満を持して登場した鹿肉。カウンターの奥でチラチラと焼かれる姿を見せつけられていた鹿肉。ジビエが苦手な大将が作ったジビエが苦手な人でも美味しく食べられる鹿肉。
ナイフを入れるとスッと切れる。めちゃくちゃ柔らかくてめちゃくちゃ赤い赤身肉。レッドというよりクリムゾンレッドという感じ。
まずはソースをつけずに一口。
うわー、こいつまじで夏草いっぱい食ってきたんだなーって感じで野生臭さの中にも平和な一面が見えてくる感じの肉汁が口に入れると「わしゃー」と出てくる。うんま。
そしてソースをつけて一口。
うわー、こいつ夏草を食って平和に生きてきたシカだけど、やっぱり野生を生き抜いてきたんだな。って感じの苦労が滲み出てくる。ジビエはやっぱりこのこれだよな。うまい。
シカはもちろんうまいのだけど、添えてある桃のキャラメリゼが爆うま。
そろそろ限界の腹に「うまい」というだけで入り込んでくるシカを横目に、別腹をしっかりと開きにくる感じの桃。もっと食べたいけど、桃のおかわりはなかった。
夏草をいっぱい食べた鹿。美味しかった。
12皿目はあわびごはん。そろそろお腹いっぱいもいいところだし、書くのも疲れてきたところ。鮑の肝を混ぜたご飯に鮑の身、紅たでを添えて鮑のスープをかけたもの。
高級食材というイメージがあるものの、たまに居酒屋でメニューにあるから鮑頼んでみるんだけど「磯臭くてあんま美味くないなぁ」で終わる感じの鮑。
あぁ、鮑って美味しいんだな。ウニとかレバーもそうだけど、アワビも美味しい鮑と美味しくない鮑の差が激しい食材だったんだね。
子供を連れて食事に行くときは美味しくないウニとレバーと鮑の店にまずはいこう。この旨味を知るのは大人になってからでいい。
鮑の肝を混ぜ込んだご飯は磯臭くやや苦い大人の味。うまい磯臭さと不味い磯臭さってあるけど、あれなんなんだろうね。
スープで雑炊みたいになっているので、お腹いっぱいながらもスッと入ってきてくれた。
13皿目は〆のカレー。バターも粉も使っていない、〆のカレー。さっきの豚と一緒で、めちゃくちゃうまいわけじゃない。
ここまで全部めっちゃ美味かったけど、このカレーに関しては俺が作ったカレーの方がうまい気がする。
ただ、〆のカレーとしてはこのくらいがいいとのことで、意図的に優しい味にしているようだ。
ってか、フレンチ食いにきてカレー食うことになるとは思わなかったな。
14皿目はココナッツのババロア、メロンのスープ、葡萄の蒸留酒のシャーベット、イエナブエナを添えて。
完全に疲労コンバイの腹にめちゃくちゃ嬉しい口直し。
葡萄の蒸留酒のシャーベット、口に入れるまでは「普通に葡萄のシャーベットでええやんけ」と思ってたけど、口に入れたら「これは葡萄の蒸留酒のシャーベットだわ」となった。
結構酒っぽさが残っている状態で、濃厚なババロアとマスクメロンに対してさっぱりとしたシャーベットがしつこくならないようにしてくれるのがいいよね。イエナブエナは香りがすごい。
15皿目チョコレートのムース。ラストのデザートは胡桃のキャラメリゼを混ぜ込んだチョコレートのムース。
これ腹に入るのかな?と思っていたものの、食ってみれば案外いける。
結構冷やして固めてたって、ムースというより生チョコって感じがした。とはいえ甘すぎず、混ぜ込まれたくるみが食感としても味としてもアクセントとして大活躍。
生チョコ大好きおじさんとしてはこの量の生チョコを一人で食べていいといわれるとテンションあがる。
デザート。ペロリでした。
銀座 大石 レビュー/感想 まとめ
お値段 :4万弱(ドリンク込み)
コスパ :高いけど払う価値あり!
パパ活注意報:俺が行った時はいなかったけど、怪しいっちゃ怪しい。ただ、パパ活に挟まれても気分が悪くなるような雰囲気の店でもなかったのでヨシっ!
銀座 大石。評判通りの量でした。お味はもちろん大将の喋りも俺は好き。フレンチの大人な雰囲気っていうよりも賑やかな雰囲気が好きな人は合ってると思う。
ドレスコードやマナーを気にせず、フレンチを楽しみたいと思うフレンチ初心者がフレンチの美味しさ、楽しさを知るにはまず紹介したいお店。
大石でフレンチ好きになって、他のレストランにも足を運ぶようになると楽しいんじゃないかな。
入門というには高級すぎるけど、たくさんの人が銀座 大石に訪れることで、フレンチを好きになるきっかけになりそうなそんなお店だなと。
ベストディッシュは…コーンスープ!(鹿と悩んだ!)
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