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可哀そうなヤンソンさん

主宰している料理教室用に、料理を試作しました。有難いことに、15年も続いているので、継続してくださっている生徒さんには、ひたすら感謝しております。<m(__)m>

寒い時には、寒い国のものがいいと思い、今回はスウェーデン料理。ジャガイモを沢山もらったという生徒さんが、ジャガイモを提供してくださるというので、ジャガイモたっぷりメニューです。

古い料理書で調べて行くと、「小麦粉が入っていればご馳走」と言う時代があったそうです。小麦が育たないから、貴重品なわけですね。肉団子のつなぎが、茹でたジャガイモだったり、グラタンの上に降りかけるパン粉はちょっぴり、牧畜をしているから、乳製品はふんだんに使うというレシピ。

当時の人々の暮らしを思わせるレシピを試作しながら、ジャガイモが普及する前は、何を食べていたのかと思います。

あ、このあたり、バイキングの国だわ。つまり、育たないから、獲ってくるわけですか・・・。

いや、乳製品やライ麦で細々と暮らしていた善良な人々も多かったはず。きっと。宗教家も輩出していますから、善良な人の方が多かったのです。うん、そう信じよう。北国の方々の名誉のためにも。

有名な宗教家エリク・ヤンソンさんは、信徒を率いて新大陸に渡った方です。大変気の毒なことに、偉業ではなく「ヤンソンの誘惑」という料理に名前を残しています。

菜食主義のヤンソンさんですが、あるジャガイモのグラタンの香りに負けてこっそり食べているのを目撃され、信頼を無くしたという話から、このグラタンの名前がヤンソンの誘惑となったのです。

他にも映画にちなんだとか、色々な説はありますが、何故か日本では、グラタンの誘惑に負けたヤンソンさん説が、最初に広まったようです。

ジャガイモグラタンにしては珍しく、アンチョビが入っているのです。ジャガイモ、アンチョビ、炒めた玉ねぎという具に生クリームと牛乳をかけて焼いたもの。塩気はアンチョビから出るので、塩は加えません。

なかなか美味しいので、物資の流通の豊富な現代でも、デンマークの人気メニューです。我が家でも定番になりそうです。

冬場を貯蔵できる食品だけで過ごした北欧の人々は、限りある食材に変化を付けて、飽きないようにしたのでしょうね。昔のレシピを見ると、当時の人々の暮らしぶりがうかがえて、感慨深いものがあります。



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