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マドレーヌの水分

昨日、仕事が休みだったので、プルーストの「失われた時を求めて」を読んでいました。 あの有名なマドレーヌを紅茶に浸して食べるくだり、出できましたよ。(*^▽^*) 

そうか、こういう状況だったのか、と納得することしきり。ガトーボワイヤージュ(旅のお菓子)という区分の、日持ちする焼き菓子であるマドレーヌ。真空パックや鮮度保持剤のない当時、焼き上げてから日が経てば、どうしても乾燥してしまっていたのでしょう。フランスは、日本のように湿度の高い国ではないから、良く焼いた菓子にカビが生えることはなかったのでしょうが。合理的と名高い(ケチとも言われていますね( ̄ー ̄)ニヤリ)フランス人気質として、乾燥して固くなったから捨てるわけがありません。(個人の意見ですが(*´σー`)エヘヘ)そこで、紅茶に浸して食べたのでしょうね。

日持ちのためか、フランスのマドレーヌは日本でよく見かけるものより、しっかり焼きこんであります。元々水分少な目なのです。湿度の高い日本で、何故しっとりめのマドレーヌが主流になったのかと考えると、岡本太郎さんの文章を思い出しました。あの、大阪万博の「太陽の塔」の作者である岡本さんは、第二次世界大戦直前まで、パリで生活していたのです。

岡本さんは「フランスの女性は、唾液の量が日本人よりずっと多いから、キスをすると、こちらがべとべとになる。だから、フランスパンは日本のパンよりずっと水分が少なくとも、食べる人の唾液の量が多いから、問題はない。」というようなことを書いておられました。

日本人向けのマドレーヌが、しっとりめなのは、日本人の唾液の量が少ないからではないかしら。きっとフランスそのままのレシピでは、あまり評判が良くないから、しっとりレシピに変えたのでしょうね。日本は湿気っぽい国だから、カビやすいのに。一昔前のお菓子屋さんで、マドレーヌは1個づつビニール袋に入って売られていました。まあ、洋菓子が高級品というイメージだったのもあるけれど、個包装なら食べきりですから、カビも乾燥も心配ないでしょう。フランス風に大袋にいれての販売が普及しなかったのは、こうした事情でしょうか。

色々な情報を自分の中に蓄積してきて、ある時突然ジグソーパズルのようにつながると、とても楽しいです。だからと言って、何かの役に立つわけではないけれど、暮らしの色どりになりますよ。


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