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【ゲ謎感想】失った代償を引き継ぐキャラクターの強さとヲタクの狂い※ネタバレ有

これは人生でDVDを待たずに複数回同じ映画を見る人間の気が知れなかった僕が計4回も映画館に足を運ぶことになってしまった理由の記録である。

※この記事は映画鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎とそのネタバレを一部含んでいます。

ご了承の上ご覧下さい。




ヲタクをしてウン十年、あ!推しだ……と一回目で確信出来たキャラクターは10年振りだった。

僕は正直キャラクターのビジュアルが好きというだけで推しが出来るタイプではない。ただ、好きな世界観や概念は存在している為、そこに適合する人間の特徴を上げていくと結果としてビジュアルが似通る、ということは割とあるタイプの雑食だ。(目が死んでるとか三白眼とかね)

今回のゲ謎に関しても鬼太郎は昔アニメを見たことがある程度。キービジュアルの水木とゲゲ郎がこう、言っては難だが所謂腐女子向け!みたいな見た目をしており「見てみたいけどどうせ腐女子が騒いでる感じの映画なんだろうな……」みたいな最低な偏見の下映画を見に行った。

しかも↑映像の冒頭二分半辺り、つまり映画の最序盤のカメラフラッシュで頭痛を起こし、一回目の入村は殺人事件が起きる直前〜禁域の島脱出迄をトイレで過ごすことになるという惨敗を期すのだが、それはまた別の話。

一応事前に墓場鬼太郎の1話を履修しておくと良い、と聞いてはいたので1話だけ鑑賞。この鬼太郎めちゃくちゃ性格歪んでる……と思っていた程度の視聴感想だった。(今思えば今回の大ネタバレであるがミリもわかってなかった)

元々解ける訳では無いが推理物の雰囲気が好き(※解けはしない)なのでクローズドサークルで起こる理不尽殺人の様子も面白かったし、少しずつ仲良くなっていく二人の様も良かった。ペラペラ沢庵からの水木の食わなかった蕎麦ゲットみたいな細かい描写、何より人外アクションシーンと妻への愛、四肢欠損チャンスと魑魅魍魎大合戦も楽しかったが、自分的に1番良かったのは

ゲゲ郎をイケメンビジュアルのまま終わらせずにちゃんとぐちゃぐちゃにしてくれた事

だと思う。説明しよう。

不可逆性の先にある希望

一纏めにしてしまうと失礼かもしれないが、よくある展開として"大怪我をしても主人公補正で怪我が跡形もなく治る"ことや"なんやかんやあって大ボスも倒せて皆そろって元気で綺麗に終わる"というご都合主義がまかり通ることがよくあるのでエンディングがちゃんと「失った先に続く物語」であったことがとても好感触だった。

勿論失わないアニメ漫画が面白くない訳では無いし、修行の末成長していることは分かるのだが、失ったからこその成長や展開を描く作品は「失ったその痕も含めてその人である」という説得力がとてもあり、”失ったことに対する悔やみ”ではなく”残された物事に対するポジティブな希望”を映し出すことがとても上手く感じるのだ。

例えばもののけ姫のアシタカは痣が完全に消えることは無かったが「私に生きろと言ってくれた」と言った。君はどう生きるかの眞人は自分でつけた傷のことを「他人を貶める為に作った傷」と認め成長した。メイドインアビスのリコは途中片腕が親指しか動かなくなっても「まだ動く」と言った。

「何かを得る為にはそれ相応の代償が必要である」というみんな大好き等価交換の法則を愛しているのにハッピーエンドが好きな身としては、今回のダブル主人公両者が何かの代償を持ってあの村を出て、その後の影響を持って物語を締めているのが、堪らなくスマートな演出だったと思った。

妻から受け取った人間讃歌

結局水木は記憶を失うし、ゲゲ郎は身体と妻を失う事になる。でも自分自身の事で手一杯所か自分すらも愛せなくなっていた水木は一緒に過ごしたたった4日間の間でも確かにゲゲ郎から「何か」を受け取りそれに応えるように妻を守ったし、「何か」があった感覚だけは心から消えず鬼太郎を殺すことはしなかった。

元の生まれから人嫌いなゲゲ郎はそれでも人間を慈しみ愛した妻が居たからこそ人間に慈悲をかけているのに、結果として妻が人間にいい様に使われ裏切られた事実は、人間という種族全体を怨み見放したとしても、誰も文句は言えない事項だった様に思う。

それでも「何か」を受け取った水木は戻ってきたし、沙代さんと最後にはちゃんと向き合って泣いた。その事実は戻ってきた"相棒"を信じるに相応しい理由になったと思う。

妻子以外の水木という人間が生きている未来を見たくなった、と守るべき家族の中に加えたのは水木が「何か」に応えたからだろう。結果、彼ら自身の心身はボロボロではあるが母子を守ることが出来たし、妻から受け継がれた愛のリレーは記憶を無くした未来でも鬼太郎に受け継がれていく。

それは「失った先にある未来」を描く物として最高のハッピーエンドだったと僕は思うのだ。


おまけ

では、ここからは……主題は喋ったのでおまけで自分的な特殊癖に素直になった版面白かったゲ謎シーンの話をします。CP要素はないですが腐的な内容が含まれるため素敵な気持ちだけで帰りたかったら僕が抑えてる内に逃げて!さぁ早く!ここからは公式を引用するのも申し訳ないからシンプル気持ち悪ヲタク文だ!!!早く!早く!!!

ゲゲ郎縛られ過ぎじゃね

いや必要なことではあったとは思うんだが、思うんだがゲゲ郎結局1回の映画で4回も縛られてて緊縛を見せられている???みたいになるシーンが割とあった。鬼太郎のアニメを最後に見たのは5期でかなり子供ナイズされていたイメージがあり、そこまでのバトル要素を期待していなかったのだが、バリバリに強いなこの男ちゃんとアクションが人外だ……となった点もあり全体的には大変花丸。

なんだが、如何せん事ある事に縛られてるし“怨ッッ💀”がもはやネットヲタクの玩具だったのも相まって「応援上映皆怨って言うんだろうな…」という所まで想像出来た。長田の二次創作が流れてきても読み仮名が思い出せずナガタって読んだり怨の人、石田の人としか初手呼べなくて申し訳なかったと今では思っている。

そして割と捕まった直後容赦なく袋叩きにされるのに顔に傷はつけられないゲゲ郎は俳優かDVされてるかなんかなのか?と思ったり叩かれた時って普通反射で腹を守ったり丸まろうとするとかあるだろうに次々に攻撃が入るせいでずっと水上げされたマグロか?位棒状にピチピチしてるのが段々面白く見えてしまいそんなシーンじゃないのにあと一歩で笑う所だった。

挙句ホットリミットなのか?くらい太い固定器具で首まで縛られそのまま放置されてるな……と思って戦闘が終わるといつの間にかベッドの位置が移動してて「ゲゲ郎オンザステージ」みたいに中央においてあるせいで水木がめちゃくちゃ泣いてる真剣なシーンなのにオンザステージが気になり過ぎて全く集中出来なかった。ごめん水木。全部ゲゲ郎が悪い。

あとゲゲ郎の着崩れしない最強の着物どうなってんのほんと。どう考えなくてもぱっかぱかになりそうな運動してるのに伸縮性が強すぎる。幽霊族は服も操れるのかもしれない。すんげぇ。

夫婦がやっと会えたシーンの水木見た瞬間夫婦のあれそれもめっちゃ気になるけどそれ以上に「ゲゲ郎ーーー!!ゲゲ郎ーーー!!感動の再会のとこ悪いけど死んでる!相棒死んでるよ!!」と思ったし本当に死んでると思ってた。(人間か弱いから死ぬかなって)(生きてて何より)

水木が単体でBLの特性を持ち過ぎていて幻覚を見た話

実は水木に関しては最初から最後まであの人1人で楽しそうだったな……という今まで必死に話してた物は何だったのかくらい最低最悪の感想を抱くのだが楽しそうなのは僕である。過去の事から今に至るまでのストーリーと精神と顔立ちがフルコンボで「それ全部BL先生でやった!」のオンパレード過ぎて端的に言うとモブレが似合い過ぎている。待ってモブレってCP要素ですか?(困惑)

正直二次創作見なくても「この人きっと豊富だろうな……」と思えるレベルである。801チャレンジである。一応心が汚れてるだけかなと一緒に行ったNL界隈の友人にそれとなく振ってみたら思ってたのはどうやら僕だけではなかったことが判明した。天才的なBL適正……()

そんな彼があまりに「社長にはいつも可愛がってもらっています」的なセリフを甘い声()で話しまくるせいで何をどう間違えたのか記憶の中で色々混じって

「1本いただけませんか……?」とタバコの強請り方をゲゲ郎に教えた水木がいたシーンが

本 気 で あ っ た と 錯 覚 (狂い)

あまつさえ「あんな声を出してはいけない!一本の意味が変わる!!」となんなら声まで捏造して幻聴を聞いた体にしており、友人に散々説明した後3回目に行ってようやく

ん…?

「……無かったな?!」


と自分が正気に戻り、友人は「そこまで言うならあったのかも……あったか???」となっていたらしかったので戯言に巻き込んでこの度は誠に申し訳なく思う所存です。

映画特典の話(余談)※第3弾までのネタバレ有

正直冒頭の水木がもらったゲゲ郎からの「何か」は「愛」なのだが、「何か」と言い続けるのは「愛」という言葉だけで安易にBLとして見てると思われたくないからでもある。

素敵な物語を見てその情緒と風情で一杯やる時と山も落ちも意味も無い素敵なハッピーエロ漫画を読みたい時は感覚が違うだろうが!!!(錯乱)

ただ消費される陳腐なものとして見ていると伝わって欲しくないという気持ちが先行して愛は地球を救う!の愛が全部性欲を含む愛憎劇であってたまるかみたいな気持ちまで出てきた。抜きゲーと泣きゲーは違うんですよ

その為、その部分の言語化も出来てない段階で第2段までの3枚ある入場者特典ネタバレを偶然見てしまった時の感想が「公式が代償と不可逆を帳消しにしてifなんて描くから腐女子が餌貰ってこんな暴れてるんだぞ……後妻は????公式がこんなもの出してくるなんて興醒め」みたいになっていた。自分もBL食べる癖に。厄介。

しかし第3弾が妻であったことと、第3弾までがそもそも同じタイミングで描いた絵であったと公表された事、そもそも鬼太郎シリーズは割とマルチバースやりたい放題というのを踏まえようやく「妻がいるならこのifも有り!」と納得がいった民であった。厄介。

一般人だと「ifでも鬼太郎抱けてよかったね……」となるんだろうけど、ゲ謎があまりに綺麗に終わったので余韻を濁さないで欲しかったんだと思う。後自分の解釈的にはゲゲ郎が親父の姿になったらもう滅多なことでない限り元には戻れないし記憶だって完全に戻るのか怪しいという不可逆性が曖昧に残されるのが最高だと思っていたのである意味第2弾までを劇場でもらわなくて良かった。(解釈を飲み込むまでシワシワのピカチュウするところだった)

皆は応援上映に行くんだろうか。僕は行きたいけど体調が完全回復するかわからないのでお預けかな…この内容は38度の熱に浮かされてた時に書いたのでまとめるのが大変でした。皆も風邪には気を付けてよいゲ謎ライフを。

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