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おはよう、おやすみ。

 朝、目が覚めたら、まず自分の身体におはようっていうの。
ベッドから出て、寝室のカーテンと窓を開けて、お日様に向かっておはよう世界って言うの。
玄関と家中の窓を全て開けて、おうちの中の空気を入れ替える。時々カーテンが開いてしまうほど大きな風が吹き抜ける。龍でも通ったのかななんて思ったりする。見えないけれど。

 歯を磨いて顔を洗ってコップ一杯の水を飲んで、それから着替えて、脱いだパジャマは洗濯機に入れる。そうしたら花瓶の水を変える。家にいる観葉植物の子達みんなに、おはようって言って回るの。「新芽が出てるすごいね」とか「今日も綺麗な緑だね」とかそんなこと言ってみたりもして。

 天気予報を確認して、雨じゃなければ洗濯機を回す。少しお湯を沸かして、朝は一杯のチャイラテから始めるの。牛乳は苦手だから、豆乳で。ぐつぐつ煮出すのは面倒くさいから、マグカップにテーバッグの茶葉と粉末タイプのスパイスと蜂蜜を入れて、そこに少しお湯を注ぐ。寒い時はお湯多め。後はそこに豆乳を入注ぐだけ。そんな風に少し横着をしながら、一息ついて、ホッとする安心感から1日を始めるの。

 出かける予定があればメイクをする。家から出る予定がなければ、寝癖を直して終了。音楽をかけながら、玄関掃除をして、家の床を水拭きして、トイレ掃除をする。そうこうしてるうちに洗濯が終わるから洗濯物を干す。風に揺れる洗濯物を見て、なんて自由なんだろうと思うのだから不思議だ。

 後は大体適当。さっさと仕事に取り掛かる日もあれば、うだうだとアニメを見始めてしまう日もある。もういつ買ったか分からなくなった積まれたままの本を一冊手に取ることもある。

 お腹がすいたらご飯を食べる。何時にお腹が空くかなんていつも分からない。何回お腹が空くかも分からない。だから食事の回数も分からない。
 日が暮れてきたら、洗濯物を取り込んで畳んで引き出しにしまう。
 本日これにて営業終了。(仮)
 YouTubeを見たり、アニメを見たり、漫画を読んだり。何もせずにゴロゴロしていることもある。

 湯船に入るとなぜか死ぬほど疲れるので、シャワーで済ませてしまうことがほとんどだ。そもそも1日の終わりで体力も気力も大して残っていないのに、お風呂なんて一言で片付くようなタスク量じゃないのが納得いかない。メイクを落として、髪を洗ってたまにヘアパックして、体を洗って。スキンケアをして髪を乾かす。湯船に浸かった日には、お風呂掃除もある訳で、ここまでが「お風呂」なのだ。疲れを取るはずのお風呂で疲れ果て、そのまま床に転がり落ちる。

 ストレッチをする気力が残っていればまだいい方で、SNSを徘徊してアホほど時間を溶かすこともある。目が半開きになってきた頃、いい加減にしようと思い、歯を磨く。そしてなぜか時々ここで目が覚める。さっきまで眠たかったはずなのに。

 おしまいにしたはずの一日が、ここへ来て再始動することもしばしば。真夜中ほど没頭しやすい時間はない。しかしこの時間帯に何かに夢中になるのはとても危険なのだ。ほんの少し仕事を片付けてから寝ようと思っていたはずなのに、アニメを一話だけ見ようと思っていたはずなのに、気づけば外で鳥が鳴いている。日はまだ昇っていない。しかし鳥が朝を告げている。完全に寝るタイミングを見失ったなぁ……などと思いながら、しぶしぶ寝床に向かう。

 こうして世界が起きる頃、私の世界はようやく眠りに入る。ベッドに入って寝入るまでの僅かな時間、私は世界で独りぼっちにならないように、ぬいぐるみを抱きしめながら瞼を閉じて大きくゆっくり息をするの。今日の嫌な気持ちは全部息に乗せて体の外に吐き出してしまう。明日の私が寂しくならないように、頭の中で嬉しい楽しい日記もとい報告書を書くのだけれど、「今日もなんもしてないや」と思っては筆が止まる。明日の私が素敵な続きを書いてくれるだろうと信じながら、今日を半ば諦めながら、意識と思考の電源を切る。

 少しの後悔とたくさんの希望を持って、私はお家に帰っていくの。

おやすみ。
また明日。

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