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鳩ノ巣渓谷探索

先週、近場の自然を求めて奥多摩へ向かった。東京で手頃に自然を感じたい場合は檜原村か奥多摩に行くのがいい。県外移動は憚られるが、たまには自然に囲まれたいとか思っていた私にはちょうど良い場所である。

今回行った鳩ノ巣渓谷は、多摩川の渓流が大地を削って作ったもの。あの神奈川県境を流れるゆったりとした多摩川も、遡ればきちんと渓流なのだった。

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青梅線の鳩ノ巣駅で降りる。青梅線のうち青梅以西(青梅〜奥多摩)には「東京アドベンチャーライン」という愛称がついており、それ用にデザインされた駅名標がある。

鳩ノ巣とはちょっと変わった名前だが、誰かが適当につけた名前ではないようだ。その昔、大火で燃えた江戸の街を復興すべく、奥多摩の木々が材木として多く伐採された。そこで働く人夫のための宿舎と共に、水神社が祀られたのだが、そこに二羽の鳩が巣を作った。その鳩を村人が「霊鳥」として崇めるうち、いつしかこの土地は「鳩ノ巣」と呼ばれるようになったらしい。

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車両は中央線で走っているものと同じE233系0番台だが、10両編成の中央線と違ってこちらは4両しかない。山間を走る都合上カーブも多いため、速度も結構遅めだ。

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駅舎は立派だが、無人駅だから出入口にはICの簡易改札機がぽつんとあるだけ。青梅駅以西はどこもこんな感じだ。民家はもちろん少ないのだが、登山客が多く訪れるため、駅自体は結構整備されていたりする。


駅を出ると山に囲まれた集落だった。

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タイムズマートの跡。ヤマノススメというアニメに出た飯能店が一部界隈で有名なコンビニである。

事業本部の解体に伴い、現在は多くの店舗が閉店しているが、看板を取らずに個人商店として利用されているものもある。この店舗も、看板は色あせているがガラスなどは割と綺麗なので、その類かもしれない。

こういうちょっと古そうな建物もあるが、対照的に新しい建物もあり、静かながらも廃れた街という感じはしない。生きた街だ。

本命の鳩ノ巣渓谷へ向かう。

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電柱に隠れてしまった看板を見つけた。後ろに回ってみても谷の字は隠れたまま。

ここを降りると「雲仙橋」という鳩ノ巣渓谷にかかる橋にアクセスできる。

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これが雲仙橋。年季を感じる両端の大きな橋柱は、かつて吊り橋だった頃の名残らしい。渡って景色を見てみる。

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雲仙橋から望む鳩ノ巣渓流。生憎水が濁ってしまっていたが、それはともかく近くを見ても遠くを見ても緑しかないというのが素晴らしい。

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ちなみに伝わりづらいかもしれないが、結構高い。高所恐怖症である私は、足をすくませながらカメラを構えていた。

さて。

鳩ノ巣渓谷は横に遊歩道があり、川のほど近くを歩くことができるようになっている。今回はそこに行こうと鳩ノ巣までやってきたのだが、調べたところ、どうも今いる雲仙橋方向からはアクセスできないようだった。というわけで、足早に引き返す。

青梅街道に戻って、奥多摩駅方向へ歩く。

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鳩ノ巣トンネル。結構な山奥だが、意外にも交通量は割と多い。

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紫陽花が咲いている。梅雨はまだ明けない。

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青梅街道は辿ると甲府まで続いている。自転車での制覇を計画したこともあったが、まだ実行には至っていない。めちゃ疲れそうなので躊躇っている。

さて、実はこの写真の地点ではもう遊歩道に降りる道を過ぎており、また引き返すことになる。ロスタイムが非常に多い。

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白線をカタツムリが元気に這っていた。最近カタツムリを見かけない感じがするのは、数が減っているのか、それとも私の視野が狭くなっているのか…

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紆余曲折を経てやっと遊歩道に至る道を発見した。ホテルの入り口の脇にひっそりとそれはあった。

道はしっとりと濡れているが、雨はもう止んでいる。滑らないように慎重に降りていく。(転びでもしたらカメラを破壊しかねない)

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降りていくと「鳩ノ巣小橋」という吊橋が現れる。

この橋を渡って対岸にある遊歩道へ向かうのだが、これがなかなかに怖い。

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この看板に妙にリアルな恐怖を感じる。

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橋からはこんな景色が見える。下流ではゆったりと流れている多摩川も、上流まで辿ると結構激しいものである……って、冒頭でも同じようなことを行った気がする。

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見渡す限り緑。

実は奥多摩の木々は、自然に生えたものの多くが江戸時代に伐採されてしまっていて、今は植えられた杉ばかりである。そのため、もし「人為を加えないこと」を自然とするなら、これは自然ではない。まあでも、緑のでかい山があれば人は幸せになれるので、そんなことはどうだって良い。

先ほどまでは割と道らしい道だったが、川辺に降りるとほとんど岩を歩いている感覚になる。

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振り返ると渡った吊り橋がみえた。秋になると鮮やかな紅葉と吊り橋の景色が見事らしい。しかし、新緑もなかなか。

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手作り感のある看板。

この付近は見た目では道と自然の区別が付きにくく、一瞬どこを歩けば良いのか迷うが、明らかに歩きやすいところがある。

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素晴らしい新緑に囲まれて道を行く。見事な苔具合。苔具合なんて日本語あるのか?知らない。

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突然階段が現れた。取ってつけたような感じだが、これのおかげで容易に岩を降ることができる。

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無数の橋。石階段もあり、一見ただの岩に見えてもその実きちんと整備された遊歩道なのだった。

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道中に茶屋がある。なんだか良い写真が撮れそうな雰囲気だが、久々の運動でくたばってしまい、この一枚しか撮っていない。なんと愚かな。

感染症のせいか、雨が降っているせいか、私の他に利用者はいなかった。

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アシナガバチの一種だろうか。自然が豊かであるから当然虫も多い。蚊などは注意が必要だろう。ちなみに私はよくわからない虫に複数箇所刺されました。

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休憩所を出て、白丸ダムの横を過ぎたところで通行止めにぶち当たった。

昨年の台風19号で土砂が流入し通行できなくなっているようだ。本来は数馬峡橋まで歩くことができるようだが、流石にこうなっては遊歩道を出るしかない。

ダムを渡って青梅街道へ。

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白丸ダムは東京都交通局が管理している。最近魚道ができ、ダムの前後を魚が往来できるようになったらしい。地下には水力発電所もある。

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赤いスピーカー。放水を知らせるものだろうか。

鳩ノ巣渓谷遊歩道は、白丸ダムの下流にあるため、放水時には突然水かさが増す。その際、川辺にいると危険であるため、放水前にはサイレンが鳴るらしい。

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タテハチョウの一種と思わしき虫。

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階段を登ると鳩ノ巣駅と白丸駅のちょうど間に出た。白丸ダムとはいうが、白丸駅の至近というわけではないのだった。

今回は鳩ノ巣駅へ戻ることにした。鳩ノ巣駅を出てからだいぶ進んだような気がしていたが、そんなことはなく、距離にしてたった500mほどしか進んでいなかった。

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青梅街道から歩いてきた遊歩道が見える。真ん中にある階段は、先ほど写真を載せた階段である。ここから見てもすごい取ってつけた感。

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白丸ダム。遠くから見ると山間に突然現れる巨大な人工物という感じである。

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青梅線。ピカピカの車両と対照的に、橋はなかなか時代を感じる色合い。

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シロチョウ科っぽい虫。スジグロシロチョウだろうか。

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午後のティータイムといった感じの優雅さで花の蜜を吸う。

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そんなこんなで鳩ノ巣駅に戻ってきた。ちょっとした散策ではあったが、久々ということもあってか満足度が高い。

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さっき見えたやつが奥多摩で折り返してきたっぽい。

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東京アドベンチャーラインラッピング車だ。青梅〜奥多摩間専属の車両ということか。

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シートの色も中央線とは全く違って、まるで別の路線に乗っているかのよう。


と、いった感じで、まずまずの写真成果と反省点を得て今回の散策は終了した。この付近まで来ると流石に市街地よりは幾ばくか星が見やすいようなので、夜に来てみるのもアリかもしれない。山は熊が怖いけど…

ではまた!

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