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「ぼくとアールと彼女のさよなら」映画感想

製作 2015年 米
監督 アルフォンソ・ゴメス=レフォン
出演 オリビア・クック
   トーマス・マン

あらすじ
男子高校生のグレッグは友達と呼べる相手もおらず、なぜか気が合うアールと共に名作のパロディー映画を作る冴えない日々を送っていた。そんなある日、幼馴染みだが疎遠になっていた女の子のレイチェルが白血病になり、グレッグの母親は彼にレイチェルの話し相手になるよう強制する。最初は無理やり付き合っていたグレッグとレイチェルだったが、次第に打ち解けていく。しかし、レイチェルの病状は次第に悪化していき、グレッグは彼女を励ますためにアールとオリジナルの映画を作ろうとするが……。
(アマゾン商品紹介より)

母親に言われ、疎遠になっていた幼馴染に嫌々会いに行くグレッグ。
レイチェルも、たいした友達でもないグレッグの突然の来訪に

「病気の事を聞いたのね。同情ならいらないわ、帰って」

とまあ、そりゃそうだな~という反応をします。
そこでのグレッグの返しの言葉が最高です。

「母さんに言われて仕方なく来たんだ。しばらく君といないと母さんにドヤされる。今回の件はマジでウザイ。君のために来たんじゃない。僕のために頼むよ。1日だけ一緒に過ごそう。それで母さんが納得したらもう来ない」

これ、優しさで計算して言ってるわけではなく
どうやら裏表なく本気で言っているもようです。
しかしレイチェルは、他の親友などから感じられる、
優しい言葉や励ましの言葉の裏にある同情や哀れみの気配が、
グレッグにはないと感じたようで・・・、
まあ、直観的に、彼を部屋に招き入れます。
グレッグはどうやら中二病?
中二病の定義、オッサンの僕にはよくわかりませんが。
極端に偏った自分の世界に閉じこもりつつも、周りの目が過敏に気になるとか
そういうことでしょうか?
この作品を評価する人のレビューでは、
この主人公の人物像に共感したというものが多いようでしたが、
僕はまったく共感はできませんけど・・・。
しかし、その中二病ぶりが、計らずもがな、病気のレイチェルにとっては救いになっていくのです。
彼女の部屋に入ったグレッグは、クッションのフランチェスカでオナニーする話とか、
自分の事ばかり、自分のオタクな世界の話でマシンガントーク炸裂。
レイチェルは意外にも嬉々としてグレッグの話に聞き入ります。
この時のレイチェル(オリビア・クック)の表情がなんともかわいいんです。

僕とアール2

病気に対して、というか他人のことに一切、気を使わない、グレッグの自己中トークが
本当に心の安らぎになっているという様子なのです。
結局、それから二人は、交流を続け、親友になっていくのですが、
親友になってくるとグレッグはレイチェルの病気の事が心配になるようになり、
闘病方針に口を出すようになり、喧嘩になり・・・
気持ちがが近づけば近づくほどに関係はギクシャクとしてしまい・・・
ここの描き方が、うまいんだな~。
こういうことは、病気じゃなくても、普通の恋愛や、人間関係でも
よくあることで。
なんとも切ないですね~。
その他にも
落ち込むグレッグを励ます、先生。
酔っ払いながら、ポツリとこぼすレイチェルのお母さんの言葉。
学校のみんなが撮った励ましのビデオレターを見て
「何だこれ」とつぶやくアール。
など、魅力的なシーンたくさんあり・・
最後はどんでん返しもなく予想どうりの展開で・・・
なんというのかなあ・・
大きな感動とか、泣くとかいう作品じゃないんですけど、静かに心にしみるような秀作でした。

2018・12