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一杯の珈琲

「何かあったのかい?」

優しい香りをまとわせて
心地よい白い湯気が立ち上る

カチャッ
カップの取っ手に手をかけ
そのままそっと口に運ぶ

こくん

「良かったら話してみなよ」
「話を聞くくらいしか出来ないけど」

ふぅ、と突き抜ける薫り
あたたかいものがのどを通っていく

────にがい…


ふふ、と笑みが零れる
あたたかさが、香ばしい薫りが、
胸の中に広がる

程よい苦味が、
辛い気持ちに寄り添うように
染み渡る

心の中のモヤモヤ、
ひと口ずつ、流し込んで

「すこさか」

よし
また明日、頑張ろう

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