感想:私のIDは江南美人【ネタバレあり】
出てる人全然知らなくて全く興味なかったんですが、abemaで顔面国宝級のイケメンというCMの刷り込みが気になり、見始めたら止まらなかったです。
王道の韓流ラブコメ風ストーリーだけど軸が社会問題
大枠は王道の少女漫画風で、ラブコメとしてのTHE韓流て感じです。
むしろ最近のNシリーズの韓流に見慣れると、ちょっと一昔前のベタ感あるかも( ̄∀ ̄)
ギョンソクが追いかける感じになるんですけど、それがまた良き。
意地悪役がわかりやすいのもいいですね。
容姿至上主義とか性差別みたいな問題定義がナチュラルにストーリーの中に組み込まれるので、そっちについて考えるには余計なことに頭使わなくて済むというか。
ギョンソクがめちゃくちゃど正論
ギョンソクは1匹狼で、ギャグでしょって思うくらい喋らない。
見ていくと無理ある無口具合が気になってくる時もあるんだけど、そんな中でボソッというセリフが全て確信をつくというか、いつも正直でいつも正しい。
無口すぎる感じにイラッときつつも、だからこそこの正しさが嫌味なく成立するのかなぁとも思ったり。
ドラマでも実生活でも、正論て伝え方間違えるとウザかったりしますが、ギョンソクに託すことでいい感じに処理されている気がしました。
整形したところで培われたネガティブさはなかなか治らない
ミレは大学デビューするために高校卒業とともに整形し、地元から離れた大学に通います。
もう別人なんだ、容姿でいじめられない生活を送るんだって意気込んでいるんですが、これまでの長い暗黒時代のせいでミレ自身も人を容姿で判断するようになってるんですよね。これリアルだなぁって思います。
それに顔は完全に変わっているはずなのに、周りからの賞賛などが素直に受け入れられないとか、生活変えるために整形したのに行動自体はなかなか積極的になれないところとか。
ミレは口癖で私なんて、私なんかってよく言うんですけど、そういう思考から抜け出すための整形だったのに、なかなかそこが変えられない。
見た目を変えるのは簡単でも、環境によって培った性格を変えるのってめちゃくちゃむずいよなぁって、共感なのかなんなのかよくわからない感情が渦巻きました。
韓国でもはびこる容姿至上主義、性差別、世代間ギャップ
整形大国と言われていたり、日本よりもカジュアルに日常に整形が溶け込んでいると思っていたので、少なくとも整形への理解は日本より高いのかなぁと勝手に思っていました。
でもこのドラマを見ると、
・ミレの父親が整形に対して嫌悪強く、整形がバレたミレを一度突き放す
・ドラマの中ではミレは整形美人として整形がバレバレだという描写
・意地悪役でノー整形のスアが天然美人で持て囃されるという描写
があり、韓国でもまだまだ偏見があるんだなあと思いました。
理解力のない親の愛はただの愛の押し付けでキツい
ミレの父親が整形反対で、ミレと和解するまでに時間がかかってて、その感じが愛の押し付けでしかないなと思いました。
ミレ父は、学校では容姿のせいでバケモノと虐められ、勇気を持って告白しても気持ち悪がられて馬鹿にされてしまうという本当に酷い扱いを受けてきたミレを、親ゆえ真っ直ぐに可愛い可愛いと育てます。
学校での扱いにも、親特有の誰がなんと言おうとミレは可愛い、あんな奴らは気にしなければいい的スタンスなんですよね。
これがコンプレックスや闇を抱える子供にとっては本当に地獄。
実社会にもあるあるですよね。
だって、嫌だ辛いって思ってるのって親じゃなくて本人なんですよ。
その本人がそう思うってことはそれ以下でも以上でもないはずで。
誰かが認めてくれているって事実を受け入れられてるくらいなら整形だってしないはずだし。
親が愛してくれていることはわかってるけど、それでも辛いんだの部分を受けとめてくれてからじゃないと前進まないですよね。
ミレ父は最初整形したことを打ち明けたミレを突き放して縁切りしようとしてて、最終的に許すんですけど、その時に自分の仕事道具であるタクシー(個人タクシーの運転手)に飾ってた整形前のミレの写真を新しい今のミレの写真に変えるシーンで、「昔のミレの顔にお別れくらい言いたかったよ」って言うんですけど、ミレの痛みを理解しようともせず整形したことに腹立てて縁切ろうとしてたやつがどの口で言ってんだよって思っちゃいました。
女はこう、男はこうという呪い
日本もこの思想は根強いですよね。
このドラマだと、大学の先輩たちがこういうことを後輩たちに押し付けているシーンが何度も出てきます。
文化祭のシーンが特にひどくて、
・先輩が料理を出すのは若くて美人な女がやらないと客が来ないと言って、1年の容姿が綺麗なミレたちに押し付ける
・ピタピタミニスカ衣装を無理やり着させる
・ちょっとふくよかな太ってる女の先輩を女のクズ扱い
やってることが日本のバブル時代のおじさんの発想っていうかw
日本だと、若い世代の方がジェンダー思想が柔軟に見えるので、韓国でも流石にここまではないんでは?とか思ってしまったけどどうなんだろ。
ただこのドラマだけでなく、日本でもこの性役割の問題が話題になるたびにたまに思うのが、明らかに作りが違うという事実を無視して平等を叫ぶのはなんか違和感あるんですよね。
例えば、体の作りが違うから筋肉の着き方が違う、ゆえに持てる荷物の限界値が変わって来るはずで、こういう時に特性を活かして性別で役割を分けることは差別ではないと思うんだけど、中途半端なジェンダー論が蔓延るとこういうのも差別だと線引きされちゃいかねないよなと。
(これも重いものは男性が持てって話ではなくて、重いもの持てる特性の人がそういう役割を担えば良いよねって話であって、一般的に見て男性が多くなるのではって話です。)
問題定義しているのにその展開にしちゃって大丈夫?
こんな感じで、ミレとギョンソクがどうくっつくかの本筋に、結構ガッツリ社会問題エピソードが取り巻いてて、わかるわぁと考えさせられることも多いストーリーなんですが、だからこそ引っかかる部分もちょいちょいありました。
学生お酒飲みすぎ問題
ドラマでは初っ端からサークルでお酒を振る舞われるシーンや、ギョンソクが酒豪として描かれていたりと、学生がお酒を飲むシーンがほぼ毎回出てきます。
韓国では19歳から飲酒が法的に認められているらしいので、違法ではないのでしょうが、一気を煽ったり、ギョンソクは焼酎4、5本は当たり前みたいな描写に違和感が拭えなかったです。
これはこれでアルハラになるのでは。。。
ドンウォンとギョンソク、やってることは同じじゃん?
ギョンソクはかなり初期からミレのことを好きでずっと気にかけて近づいたり、ミレと行動を共にしようとします。
ただ一匹狼でコミュ障気味で無言でやるんですよね。
ただそのおかげでミレのピンチを何度も救って、周りからはヒーロー扱いだしミレも頼もしいと感じていたりします。
一方、同じ化学科のドンウォンというこれまた無口な男の子がいてスアに好意を寄せています。
この子もコミュ障でなかなか自分からは動けないのですが、スアにちょっと優しくされたことに勘違いしてSNSでスアと自分の恋物語を発信し始めます。
スアはギョンソクとミレを陥れるためまわりから印象操作するために、ドンウォンにちょっかいを出し続けているだけで、ドンウォンは無言でスアのことを見続けてるだけなのに勝手に付き合ってると思っています。
最終的にスアの化けの皮が剥がれて、ドンウォンはスアが自分のことを好きではないと知り、スアに刃物を向けてしまうんですが、、、
まあ、最後の方のストーカー行為は別としても、基本無言で好きな人を追い回しているってのはあまり変わらないと思うんですよね。
なのに完全に
ギョンソク=カッコよくて強い頼もしいヒーロー
ドンウォン=冴えないストーカー
として描かれてしまってて、見た目や憶測で人を判断することへの問題定義をしているはずなのに、それを浮き彫りにするエピソードにしてどうすんだよって思いました。
そのほかちょっと気になったところ
結ばれるまでが長い
これ26話くらいあってずっとギョンソクとミレの話なのに結ばれるの20話以降ですからねw 流石に引っ張りすぎかとw
ミレがモジモジしてるシーンとかが無駄に長い
ミレがTシャツ汚しちゃって着替えるっつってギョンソクと部室行って、見てないから早く着替えろってギョンソクがいうんだけど、そこのモジモジシーンがマジ長いwだるいw
冬という季節がある国に生まれし者、脱がずに着替える術持ってるはずだろw
まとめ
ラブコメとして楽しみたい方は、10秒スキップ必須かもしれませんw
でもミレの葛藤とかは、コンプレックスを少しでも抱えている、抱えたことがある人には共感できる部分多めで、割と考えさせられる部分も多く良いドラマだと思いました。(気になる部分もあるけど)
私も小学生の時の友人(今思えば完全にマウンティング女&フレネミー)にずっと見下され続けてて、小学高学年の時と中学時代にやっと見下されていることに気づいて、そこから自分の容姿がコンプレックスになりました。
ただ整形するお金も勇気もないまま&社会人になってからの友人に恵まれたのもあり、自分で葛藤しながらもなんとか折り合いつけて生きて来れています。
やっぱり周りの環境(人の影響)ってめちゃくちゃデカいですよね。
それによって思考や性格が決まってくるし。
ミレのように(私もですが)捻くれてしまったことも、それを本人が間違っていたときちんと認めることも大事ですが、その上で受け入れてもらえたり受け止めてもらえたりすると救われるんじゃないかなぁ。
実際ドラマではそれがギョンソクだったっていう羨ましいことこの上なし!以上!
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