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平成私生児


私は私生児で産まれた
その瞬間は愛されていた
母は母になれない人間として産まれて
3人とも父親が違う子供を産んだ

母の全てになりたくて
望み通り優しい子を演じたり 
反抗的な娘に手を焼く母親にしてあげたくて
そう振舞った事もある
母の箸の持ち方を義母があざ笑う
可哀想だから母の持ち方を真似して庇ったつもりだった
そしたら母に殴られた

孤立していくのを感じた
愛されてない事を日に日に理解していく
脳の奥が冷えていく
同級生が羨ましい
あの子になりたい あの子になりたい

死にたいと母が言う時
その時は決まってお金が無いか
旦那とうまくいっていないとき
私じゃなにもできない
変えてあげられない
支えになれない

母の冷たい態度は母の孤独
そのものだった
でもその孤独を癒せるのは私じゃない
旦那の愛とお金だけ

本当の父に会いたいと何度も思ってきた
すごくいい人で、愛情をくれるんじゃないかって期待する事で自分を保つ時期もあった。
結局、名前すら教えてくれず
最低な人だった、カタギじゃないかもね、ただの嘘つき、犯罪者。
そんなワードでしか父を表さなかった
それでも良かった
母の記憶の中に父が生きている事を
何度も確認したかったけど
これ以上嫌われたくなくてもう聞けないや


愛される為の条件を教えてください。

あの子を見て学べる事は何も無かった
甘えたら気持ち悪いと言われるし
頑張っても褒めて貰えない
習い事や部活に
行きたくてもさせてくれないし
それを我慢して家事をしたら
母の機嫌は少し良くなるくらい
もっともっと欲しい
最上級の機嫌のいい母に会いたい

弟の面倒を見るために私が必要だと
母は言う
そして弟を嫌いになり、その父である母の旦那も嫌いになった。
そもそもその男も私を愛していなかった。
嫌で嫌でたまらないという態度を常に感じていた。
無関心と憎悪の狭間から私を見ているこの男の愛情を母と取り合いつもりはさらさらない。

私は母の愛と虚像で完璧つくりあげた
父と生きていきたかった
もし父が歴史の名を残す犯罪者だとしても
空っぽの愛情ボックスを満たそうと
求めてしまうだろう
どんな最低な母でも愛してしまうように

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