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~覚醒遺伝子~ 空を継ぐもの

イラスト/refeia様(株式会社KADOKAWA 刊)
https://www.kadokawa.co.jp/product/201004000485/

2010年05月刊。記念すべきデビュー作。
電撃小説大賞の応募原稿が核となり生まれた作品。

選考そのものは、二次だか三次だか忘れたが、最終選考一歩手前で落ちてしまった。その前は一次選考落選が二年ほど続いていたので、大躍進だった。が、その分、最終選考に残れなかったことのショックも大きかった。

心は焼け野原。やがて来年の投稿に向けた創作意欲が芽吹き始める頃、編集部から一本の電話があった。いわゆる”拾い上げ”の連絡。

「物語の美しさ、情景描写や雰囲気に惹かれた」と言ってくれた編集氏とは、この後10冊の小説を一緒に作っていくことになる。

初めて尽くしの思い出深い作品。イラストレーターのrefeia様が描いてくれたキャラデザが送られてきたときは、夢のような気持ちだった。

口絵の一枚目、寝台に腰掛ける”眠り姫”ツェツェのイラストを見たときに
「ずっと自分の頭のなかにだけあった情景が可視化される」という衝撃的な体験をして、思わず涙ぐんだ。それくらい、すごい一枚だった。

投稿前のボツバージョンも存在する。
キャラクターや基本設定は同じだが、ストーリーにまとまりがなく、細切れのシーンを切り貼りしたような代物。

あの頃は、試行錯誤の連続だった。書きたいシーン、情景、雰囲気ばかりが溢れ出して、手が追いつかない。(これは今も変わらない)

構成力も未熟で、まともにプロットを立てることもできなかった。アウトプットのスピードが遅くて、原稿に向かっていても、ずっともどかしさばかり感じていた。とにかく頭にあるシーンをアウトプットしたい、という欲求に突き動かされていた。それくらい、執筆に新鮮な面白さを感じていた。

悩んで、悩んで、ようやく良い構成が姿を現したときに、なにかひとつ、大きな山を越えたような気持ちになったことを覚えている。
「あ、なんだかこの先、やっていけるかも」という淡い予感のような。

「エンジェリック・シンフォニー」というキャッチコピーは、編集氏が考えてくれた。これも大事な宝物。

章タイトルにも思い入れがある。
今、目次を見返してみた。
好きなのは、第一章、「夢と眠りと天使の骨と」。
そして第三章、「眠り姫の白」。

その後の創作で行き詰まったとき、「もうこれ以上、書けない」という気持ちになったとき、何度もこの本を手に取った。原点を見つめ直すために。

創作の原点。自分にしか分からない熱量が確かに文中に閉じ込められていて、ページをめくると、そのときの気持ちをいつでも思い出せる。

個人的な略称は『そらつぐ』。

#小説 #本 #創作 #ライトノベル #電撃文庫 #覚醒遺伝子

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