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『虎に翼』を観ていると、私はいつも山岸凉子の傑作バレエ漫画『テレプシコーラ』のことを思い出す

朝ドラ『虎に翼』が相変わらずずっと素晴らしいのだが、『虎に翼』の法学部編を見ていると思い出す物語がある。

山岸凉子の『舞姫 テレプシコーラ』である。

バレエ教室の実家で育った千花と六花は、どちらも昔からバレエを習っていた。千花は小学生の時点で完璧主義でバレエの実力も高く、バレリーナになることに対して覚悟があるのに対し、六花はどこかおっとりとした性格で、バレリーナになるということに対しても及び腰だった。そんななかで。小学五年生の六花のクラスに、空美という女の子が転校してくる。彼女は貧困家庭に育ち、アルコール依存症の父から虐待され、クラスでもいじめに遭っている。しかし六花はどうやらバレエの動きを身につけている転校生が、気になってしまうのだった。

本作は、小中学生を主人公に据え、バレエという題材を描いた傑作である。

なぜ私が『虎に翼』の法学部編を見ていて『テレプシコーラ』を思い出したのかと言えばーーこの作品が、バレエという「強くないと生きていけない」世界を舞台に、貧困やメンタルやいじめやさまざまな「環境」ゆえに、いくら強くてもバレエを続けていけない女の子たちを描いていたからだ。

『テレプシコーラ』は2000年から2006年の漫画である。そう考えると、山岸凉子はなんでこんなに誰よりもはやいのだろう、と驚いてしまうのだけど。

※ここから『テレプシコーラ』のネタバレします!!!!

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