見出し画像

『離婚しようよ』に見るNetflixのターゲット戦略

Netflix配信ドラマ『離婚しようよ』が面白かった。

宮藤官九郎×大石静の合作、という箇所に惹かれて観始めたのだが、俳優さんがみんな良くて、設定も面白く、毎日ちょっとずつ観ていくのにちょうどいいドラマだった。仲里依紗演じる女優ゆいの服やジュエリーがすごく可愛い。

前半が離婚騒動モノ、後半が選挙モノ(松坂桃李が演じている夫が二世議員なのだ)になっていくのだが、どちらのパートの方が好きか、かなり好みが分かれるらしい。私は前半のほうが好みだったが、これは人によって感想が異なるところだろう。

で、個人的に面白いなあと思ったのが、「このドラマをNetflixが作った狙い」である。

私が『離婚しようよ』を見ながら考えたのが、今期地上波ドラマとの差異だ。


まずは今期ドラマの主なラインナップを見てほしい。

……ってここで『ViVi』のツイートだけ貼り付けてもいまいち分からないかもしれないが、まあ、画像貼り付けてもいろいろ権利が難しいので気になった方はちょっとググってくださいな。

何が言いたいのかといえば、私はこのラインナップを見ながら「うーん、若者向け!!!」と思うのだ。

正直、地上波のバラエティ番組は今もダウンタウンや有吉さんといった「10年前からずっと活躍している芸人」がMCをしていることが多い。その是非は置いておいて、同世代の芸能人がMCを務めるからこそアラフォー以上の世代も見やすいものになっている。若い世代に人気の芸人さんですら、明確にZ世代向けだろうなと思う番組は少ない。

しかしドラマは違う。基本的に主人公は若く、ターゲットは10代~30代前半なんだなあと思う番組のほうがずっと多い。今期も、『ラフな生活のススメ』や『ハヤブサ消防団』は大人でも見やすそうだなあと思うし、『VIVANT』は明確に大人向けに作ってある。しかしそれ以外のドラマは、基本的に「若い」世代がターゲットになっている……ような印象を受ける。

それを批判したいわけではない。若い世代にテレビドラマを見てもらう習慣をつくってもらわないと、テレビドラマの未来はないだろう。だから戦略として間違っていると言いたいわけではない。

が、一方で、やっぱり「うーん、アラサー以降の見るドラマがあんまりない」という印象を受けるのもまた事実なのであった。


しかしそこに、Netflixという黒船が現れる。

Netflixのここ最近のヒットドラマ。それは『First Love 初恋』、『サンクチュアリ』、そして『離婚しようよ』。そして極めつけはドラマではなくリアリティーショー、『あいの里』である。

これらの作品の意図するところ。それは、「地上波テレビドラマのターゲットにならなくなった40代~50代を獲得するぞ!!!!」という野心ではないだろうか。

ここから先は

1,168字

¥ 500

いつもありがとうございます。たくさん本を読んでたくさんいい文章をお届けできるよう精進します!