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関心こそが文章の魅力をつくる―『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』

ある原稿のためにヴォネガットばかり再読していた。

ヴォネガットは、私は大学時代にけっこう読んでわりと好きな作家なのだが、なんというか「俺が語らなくても熱心なファンたくさんいるし今更おすすめしなくていっか……」という気持ちにさせる大人気アイドルみたいな存在である。実際ファンたくさんいるし、ちょっと業界人ウケする作家のようにも思っている。村上春樹が語っている印象が強いからだろうか。しかし村上春樹のとくに最初期の作品を読むたび「うーむ、ようはヴォネガットやないか」という気持ちになるので、実際ものすごく好きなんだろうな。『風の歌を聴け』とか要はヴォネガットやないか!! ときっとリアルタイムに読んだ人は思ったのではなかろうか。

しかし再読したものも面白かったが、もっとも面白かったのは、最近出版された『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』だった。

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