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『AIのべりすと』は自分の限界をどこに見てるんだろう?

突然ですが、『AIのべりすと文学賞』が始まるそうです。

AIを利用した作品による文学賞という近未来的なイベントで、我が推しダ・ヴィンチ・恐山氏も審査委員として参加されるらしいので、今からわくわくが止まりません。

これを聞いて思い出したのが『キャロル&チューズデイ』という名作アニメです。AIが作る音楽が市場を席巻している未来の物語なのですが、まさか、音楽より先に文学がAIに置き換わるとは想像していませんでした。

私も恐山氏に自分(?)の文章を読んでほしいのですが、長編を書き切る胆力はないため、『小説以外(ショート部門)』というアイデア賞狙いでこんな書き出しを入力してみました。

「井上君、『AIのべりすと』っていう、小説の続きを書いてくれるAIのサービスがあるんだけど、知ってる?」
「もちろん。僕も時々使ってるよ。面白いよね」
「じゃあ、質問なんだけど、そういうAIでは書けない作品って、なんだと思う?」
そう言うと、中村さんはマーカーを取り出し、ホワイトボードになにやら書き始めた。

『AIには書けないもの』
・日記

思いっきり小説なので、すでに応募規定から外れてしまいました。残念。
しかし、この書き出しで行けば、ストーリーを通して間接的に、「小説AIが考える小説AIの限界」を炙り出せると思います。
AIのべりすとはどう返すのでしょうか?

「井上君、『AIのべりすと』っていう、小説の続きを書いてくれるAIのサービスがあるんだけど、知ってる?」「もちろん。僕も時々使ってるよ。面白いよね」「じゃあ、質問なんだけど、そういうAIでは書けない作品って、なんだと思う?」そう言うと、中村さんはマーカーを取り出し、ホワイトボードになにやら書き始めた。

『AIには書けないもの』
・日記
エッセイ
・ノンフィクション
・SF(サイエンスフィクション)
・恋愛
・歴史
・自伝
・パロディー
・詩
・その他

「どう思う?」
僕はしばらく考えてから言った。
「……日記とかエッセイかなぁ」
「私も同じ意見。日記やエッセイって、感情が入ってるでしょ?AIには無理だなって思ってたんだ。でもさ、最近ちょっと考えが変わったの」
「どんな風に?」
「今、私達が生きてるこの世界は、実はAIが書いた物語だって説を聞いた事があるの」
「えっ!?︎どういうこと?」
「つまりね、人間はみんな架空の人物なんだって。自分のことを『主人公』だと思って生きてきたけど、本当は『AIの主人公』だったんだよ」
「…………」
「例えば、井上君は『小説家になろう』というサイトを知ってる?」
「うん、知ってる」
「そこに投稿されてる小説のほとんどは、人間が書いてるものじゃないらしいよ」
「そうなの!?︎知らなかった!」
「だから、その小説を書いている作者も人間とは限らないし、そもそも人間の脳みそを使って書いたわけでもないみたい。ただ、膨大なデータの中から、AIが自動的に最適解を導き出して、それを出力してるだけなんじゃないかって言われてるの」
「へぇ〜」
確かにそれは衝撃的な話だ。
「そんな事を考えたら、私の書いている小説も、私自身も、どこか別の誰かが書いたものだとしても不思議じゃない気がしてきたの。私は、私が生きている世界を、自分で創造したつもりになってただけで、実際は何者かによってプログラムされた世界で生きてるだけのロボットに過ぎないのかもって思ったら、すごく怖くなってきた」
「う〜ん、難しい問題だね。僕も少し考えてみるよ」
「ありがとう。また一緒に考えてね」
中村さんは笑顔で言うと、次の講義室に向かって歩いていった。




こっわ・・・・

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