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京都のイノダコーヒが好きだ。

アラビアの真珠。

それは、
京都にある『イノダコーヒ』のドリップコーヒーの名前だ。

かつては、友人と、
青春18キップを使い、
鈍行と快速の電車を乗り継いで、
毎年のように、
京都や大阪を訪れていた。

時には、
錦市場で、煎りたての番茶を。

時には、
昭和にタイムスリップしたかのような、
路地裏の喫茶店で、
ただただ時間を忘れて、
香り高いコーヒーを。

イノダコーヒ
(コーヒーではなくて、コーヒが正しいらしい)
の本店にも、
何度か足を運んだ。

瀟洒な(しょうしゃな)店構え。
その独特な雰囲気。
高い天井。
洗練された空間。

かつては、
文豪たちが、
議論をたたかわせたと言う、
京都の一角。

真偽のほどは確かでないが、
こんな話を聞いたことがある。

コーヒーに、
ミルクや砂糖を入れずに提供した場合、
議論している間にコーヒーが冷めて、
ミルクや砂糖が溶けなくなってしまう。

そのため、今でも、
イノダコーヒの店舗では、
ミルクや砂糖を入れた状態で提供するのが
スタンダードだと言う。

もちろん、
オーダーの際には、
その有無について尋ねてくれるのだが。

また近いうちに訪れたい。
歴史が息づく、
あの京都の路地を。

あの暖簾をくぐりたい。
足を一歩踏み入れた途端、
その全身を
優雅で洗練された空間へといざなう、
あの暖簾を。


そして、
時を忘れて、
ミルクと砂糖が入ったアラビアの真珠を
心行くまで、
ゆっくり楽しみたい。


イノダコーヒを
こよなく愛す。





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