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見えなくても音声対応してあれば問題ないなんてことはない問題

以前「電車男」というのが話題になった。
、匿名の人がウェブ上のテキストでやり取りできる2ちゃんねるというサイトから出
てきたエピソードがもとになっていたらしい。

テキストだけなら見えなくてもできるんじゃないのか?

見える友達に聞いたらスピードが早すぎるから音声ソフトで出力していたら全然つい
ていけないと言われた。ちなみに私たちが使っている音声ソフトの出力スピードはあ
る程度訓練した人でなければ聞き取れない速さだ。

それでも以前晴眼の友達が私のパソコンで文章を入力してくれた時には、もう音声ソ
フトなんか全然ついていけないハイスピードだった。私たちはいくらスピードを上げ
ても、音声のフィードバックなしにテキストを書くのは難しい。
世のOL(今は死語か?)がこのスピードで仕事を処理しているなら、いくらパソコンで
きますアピールをしても音声ソフトが必要な視覚障碍者は会社では戦力にはならんな
と改めて認識させられた。

私は実際の2ちゃんねるにはアクセスしたことはないけれど、アニメの2次創作でそれ
っぽい形式で書かれている文章を読んだことがある。
音声だと初めから終わりまでご丁寧に読んでくれるのでまず発言者の「名無しのなに
がし」みたいなのから全部読む。内容だけ読めればいいけれど、うまくそこだけ探し
出すのはもっと手間。WW・・みたいなのも全部読むからとにかくやっぱりストレスフ
ルすぎてダメだった。

結局テキストだけと言っても飛ばし読みというのができないから時間がかかる。ちゃ
んと内容を把握して読もうとすると速さをゆっくりにする。うじゃじゃけた読み方を
する漢字を確認するときはカーソルで一文字ずつなぞっていく。
こんなことをしていると一瞬で日が暮れてしまう。


Twitterを始めた時も、見える友達が何百人もフォローしていたのを見て、こんなに
読めるのだろうかと思った。私もSNSでもっとたくさんの人をフォローしたいとは思
っているが読み切れないので断念した。


会社でも申請書をウェブ上で提出するときは同じような事が起こる。「○○というフ
ォルダーの中にリストがあるからその中から選んで記入してください。」と言われて
フォルダーを確認する。するととにかくファイルがたくさんある。見えている人は風
の速さでスクロールして目的の項目を見つけられるが、音声で確認しようとすると下
向き矢印で延々たどっていくことになる。はじめだけ聞いて「これじゃない」とスル
ーしてしまうと、後半で目的のファイルだと判明することもあるので、前文聞かなけ
ればならない。そうすると見えれば5秒くらいで終わるところが、目的にたどり着く
までに5分以上かかったりする事もざら。
そのうえ記入して送信となると、テキストボックスを探し出すにも選択肢を選ぶにも
大変時間がかかる。特に会社のシステムはアクセシビリティーに配慮しているわけで
はないので、2023年を選んだとしても2022年が選択されていたりすることもあるので
その都度音声で確認する。
大丈夫だと思って「送信」でエンターすると、うまく送れなくてまた初めから記入を
やり直すという事もある。休暇申請をするのに小一時間かかるのはもうデフォルトだ


以前、私は上司の選択を間違えて全然違う部署のところに送ってしまい、後で本当の
上司が間違えた部署の人に誤りに行って事情を話したそうだ。
めちゃくちゃ時間をかけたのに、結局「見える人にお願いしてください」という結果
になった。

当時同じ部屋にいた晴眼の派遣の女性は私ができないのはスキルが低いからだと思い
込んでおり、「画面が今どうなっているか見てほしい」と頼んでも嫌な顔をされた。
画面を見て音声を聞けば、状況がわかりそうなものだと思うけれど、思い込みは恐ろ
しい。要するに彼女の理解力がその程度だったという事だが、どんなに低スキルだろ
うが、あらゆる場面で見えている人の方が上位になる。


技術の発達がユニバーサルにつながるかと思いきや、見えない人にとっては最近は逆
傾向のように思われるケースもしばしば。人員削減はいいけれど、セルフレジを始め
、対応できない事が確実に増えている。。

QRコードで読み込んだメニューから注文するシステムも、これはコードの位置さえわ
かれば音声で読んでくれるだろうと期待していたが、そうは問屋が卸さない。
読めるは読めるが、全部音声出力していたら、メニューを読み終わるまでに1時間は
かかりそうで実用とはほど遠い。項目別に飛ぶとか斜め読み機能とかがないので、結
局ギブアップして店員さんに教えてもらった。


見えなくてもできることはそこそこある。しかし日常生活はともかく、晴眼者と同じ
ペースで仕事となると別問題。
流れている時間が違うのだ。

これは他の障碍者とも共通する。車椅子の人がうまくエレベーターに乗れなかったり
駅員さんが捕まらなくて会社に遅刻して怒られたなんて言う話も聞いたことがある。
そう考えると視覚障碍者は移動も文字処理も全部バリアだ。

合理的配慮だとかインクルーシブだとか耳障りのいい言葉が横行しているけれど、現
実はなかなかシビアである。

もちろん問題のあるふざけた障碍者もいるのでその辺に温情をかける必要はないけれ
ど、「共生」を考えるなら、ちゃんと当事者とコミュニケーションを取って認識のギ
ャップを埋めてほしいものです。


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