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見えない上に食物アレルギー

80過ぎのおばが、目の見えない私が一人で年末年始を過ごすのが不憫だと思って、家
に来ないかと誘ってくれた。
叔母は息子家族と二世帯住宅に住んでいて、正月はいつも彼らと信念を過ごしている


気持ちは心からありがたいと思った。
しかし、右も左もわからない、初めての人の家に行くのはかなりの緊張を強いられる

友達とか普段から視覚障碍者に接しなれているボランティアさんの家に始めて行くと
いうのなら、ああだこうだ気軽に聞けるし、トイレの構造なんかも丁寧に教えてもら
えるし、多少の粗相なら謝ってすむ。

おば以外、ほとんど面識のない親戚と卓を囲む苦行に比べれば、正直一人でラジオで
も聞きながらぐだぐだしている方が楽なのである。

その上私は卵と乳製品にアレルギーがある。
食べたら死んでしまうアナフィラキシーな感じではないのだが、食べると確実にアト
ピーが悪化する。

視覚障碍者に接しなれていない、しかも、ほとんど交流のない親戚のうちに行くとい
うのはかなりのハードルな上、目の前に出された食べ物が何かわからないのは厳しい


お正月料理なら、伊達巻、かまぼこ、鳴門巻き、全部卵が入っている。
最近のグルメお節にはバターで調理している焼き物とか、マヨネーズを使ったものな
んかもあったりする。

さすがに他所の家で一口食べて吐き出すわけにはいかない。

せっかく誘ってもらったけど、これはもうダブルでムリゲーなのでお断りした。


それならと、私のためにスーパーでお節セットを買ってきてくれた。

おばさんもどんなものが入っているかなんて厳密には把握していない。

アレルギーで、やたらなものは食べられないから、食べ物は持ってこないでと頼んだ
ら、「見ればいいじゃない」と言われた。

いやいや、私は目が見えないから自分でより分けられないと言ったのだがなんかあま
り理解してくれていないようだった。

以前も、卵パンや食べられないお菓子をくれようとしたのでアレルギーだからと断っ
たことがある。

80歳オーバーで身近に食物アレルギーがいない環境の人に理解を求めるのはやはり厳
しいのだろうか。
だからといって、この時代、食べ物を捨てるなんて言語道断!

私は今後「いねこに餌を与えてはいけない」を徹底するために、持ってきてもらった
ものを引き取りに来てもらおうかとも思ったが、それも意地悪化と思い、友達の所に
持っていくと返事した。

私もかなりきつく言ってしまったので、好意で持ってきてくれたおばはかなり気分を
害してしまったようであった。

でも、本当に死んでしまう人だったらもっと深刻だろう。いや、そういう人はにこや
かにいただいておいて、そのまま捨てるなり誰かにあげるなりするのだろう。

やはり80歳オーバーにアレルギーと言う新しい概念を理解してもらうのは難しいから
、そのまま誰かにあげるというのが賢いやり方なのかな。
私もおばさんを傷つける気はないし、心遣いには大いに感謝しているのである。


所で、世の中、同じ料理でも、卵や乳が入っているものと入っていないものがある。
唐揚げや麺類、ベトナムのフォーも入っているものとそうでないものがある。
日本そばでもそば粉の割合が少ないものはつなぎに卵が入っていたりする。
つなぎで卵を使っていない今川焼に出会ったときはうれしかった。

そんなこんなで、成分表示が読めない私は、一人でコンビニで食べ物を買う事はない

コンビニの店員さんに「卵と乳を使っていない食べ物を全部教えてください」なんて
無体な事はさすがに聞けないからね。


障害もアレルギーも理解してもらうのはなかなか大変な年末であった。

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