見えなくても勉強2

大学を卒業してから盲学校に入ってはり灸の免許を取るために勉強をしたが、とにか
くビジュアルな助けが全くない状態で勉強しなければならない事がいかに大変か前回
書いてみた。

それじゃ小さいころから見えない人はどうやって勉強してきているのだろうか。

私は数学ができないから私立文系に行くしかなかった典型な理数音痴である。

算数は2桁の引き算の所で十の位から借りてくる云々でドロップアウトした。

これは目が悪い事とは全く関係ないただのバカである。

それにその頃はまだ見えていた。

それでも中学の頃は連立方程式とかどうにかやっていた。

目で見れば二つの士気が二列に並んでいて、空いたスペースに途中式を書いたりでき
る。

そして数字を忘れてしまってもすぐに目で見直すことができる。

でも点字は指で読むので基本1文字しか触れられない。

鶴と亀の絵を描いて脚を数えることもできない。

幾何に至ってはどうやっているのか想像もつかない。

中学のころいくつかの図形を適当に組み合わせたような図画書いてあって、その中の
わけわからん所の角度を求める問題があった。

私にとってはわけわからんが、賢い人はうまく補助線を引いて、学校で習った三角形
の角度とかのお約束を当てはめて回答していた。

あんなのはどうやって勉強しているのだろうか。

チリは解剖学と同じで地図がないとわからない。

日本史は漢字が多くて東洋医学と同じようにわけわからんお経みたいなのを暗記する
感じになるだろう。

英語や国語に至っては長文読解。

点字のエキスパートでも何度も読み返すのは大変だと思う。

傍線の部分がAからDくらいあって周りの文章を読みつつ回答しなければならない。

正誤問題でも微妙な所をつかれると、やはり読み直したりしなければならない。


いろいろな試験で点字受験は1.5倍の時間をくれるようだがそれでも大変だし、長時
間集中して試験に挑むのも辛い。


盲学校育ちで途中で視力が落ちて、中学から拡大時から点字に転向した友人がいる。

彼女は私の朗読仲間でゴリゴリの文系である。

でも点字がネックになって一番点数が取れるはずの現代国語の点数が一番悪かったと
言っていた。

切ない話である。


以上の学習の困難さもあり、一部のチートを除いて盲学校のレベルは全体的にあまり
高くないように思われる。

頭のいい人はたくさんいるけれど、勉強に困難がある上、健常者が学力で学校のレベ
ルわけがなされているのに対して視覚障碍者は目が見えないという同類項で同じ学校
に入れられてしまう。

学校は真ん中くらいのレベルに合わせるだろうから伸びしろのある生徒を伸ばしてあ
げられない。

はり灸の勉強をしていた時も、クラスメイトは専門科目は私よりはるかに優秀なのに
英文法とかはあまりわかっていなかったようである。

彼らのほとんどは地方の盲学校のトップクラスで私なんぞが一緒に勉強していただく
には申し訳ないような賢い人たちだった。

見えないと勉強が大変だという愚痴をぐだぐだ書いてきてしまったが、だからと言っ
て私は盲学校がよくないとは思わない。

その事についてはまた別に私見を書こうと思う。

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