曲とズレてるあなたへ
どうやったらいいんだ
長年スタジオレッスンに通っていると
この人、ずれているのがわからないのかな…
と思う人に出会う。
まぁ明らかに初心者ならまだわかる。
普段出てこないレッスンに出たとしても…まぁギリわかることにしておこう。
でも、毎回毎回熱心に通っていて、レスミルズのようにプレコリオプログラムであってもなおずーっとずれっぱなしという方がいるのである。
どのプログラムやっても、同じようにずれるのだ。
「どうやったら、合わせられるんですか」
長年やっているとたまーにそのように聞かれる。
正直最初にこの質問をもらったときに、答えに窮した。
『曲とイントラのキューに合わせればできるんじゃない?』
と言えば簡単なのだが、それじゃ回答になってないと思われたからだ。
これらのことから、私は長年「ずれる理由」と「ずれやすい人」とは何かを研究してきた。その成果をここで発表してみようと思う。
大前提として自分がずれているとすれば問題があるのでここでは私はずれてないことにする。実際、エンセイも数多く経験しているし、何回かスポクラも渡り歩いていたきたなかで、イントラや他者からの評価も受けてきている。よって、そこまで自己評価が不適当とは思わない。
また、ずれる理由と特徴だけ上げて終わりとするなら、吊るし上げるだけになってしまうので、これまで私がアドバイスして改善した処方箋のいくつかを紹介したいと思う。
ずれるのには理由がある
「あったりまえじゃん」
と言われそうだが、案外このことに気がつけない。
簡単なことで、だれかずれている人をイメージしながら「なぜずれるのか」を表現できるか自問してみるといい。
「音感ないんじゃない」
「そもそもできないんだよ」
そんなのは理由とは言えないと考える。
例えて言うなら「あの人は国立大学いったんだって」「頭いいんだねー」ぐらいの薄っぺらい話にしかなってない。
正直言おう。
この質問をそこらのイントラにしても、明解な回答を返せるイントラは10%もいないんじゃなかろうか。少なくとも私の体験からは数字をとったわけでもないが、数少ない。
上記のとおりで私が「どうしたら合わせられるんですか」という初めて受けたときからこの問いに対する探求を始めた。その時に私は当時懇意にしていたイントラの何人かに聞いてみた。
そして、一番腑に落ちたのは
「あーxxさんの場合は音をひろえないんですねー」
後半の部分はさておき、前半である。
人によって違うってことなんだ
というのが気づきだった。
それから私はずれる人に合う度になぜずれるのかをその人ごとに分析してきた。なるほど十人十色なのだな、とわかるようになってきた一方、いくつかの傾向が分かってきた。つまり、理由は各人バラバラだが、概ね以下にあげるいくつかの要素が1つ以上絡み合っているということだ。
理由1 そもそも気がついていない
自分は音と動きがシンクロしている(ずれてない)と思っているのだ。
会話をしていても「yyさんって、ずれているよね」と他人のことばかり指摘するがそもそも本人もあってないのだ。
レスミルズプログラムのように、「謎の予習ツール」を手に入れられると新曲発表前にしっかり予習してきちゃう。なるほどコリオの順番はあっているのだが、曲とあっているかというとあってない。
処方箋1:はっきり「あんたがずれている」って言う
初めから荒いw
ただ本当に本人が気がついてないだけで、関係性も悪くないなら
「あれ?ずれてまっせ?」
ぐらいなことをはっきりと言うとあっさり直す人も案外多い。
処方箋2:わざと近くでやってみる
定位置制度のスタジオじゃなければw
一度わざと近くに行って違いを示す。
イントラと自分と指摘対象者の3者のどれとどれがシンクロしているかを示せば気づきがあるはず。
この手は本当に気がついていない天然タイプなら、すぐ治る。
上記処方箋でも治らないなら、「まぁ楽しくやってね…」としか言えない。
私は処方箋2をやりつづけます。まぁある意味イントラさんも処方箋2をやりつづけるしかないですよね。
理由2 まわりについていけない
初心者に多いのはワンテンポ遅れるパターン。
これはわかりやすい。送れるのはイントラの動きを見て、動くためである。
イントラがキューを出してもその意味がわからないのだから、動き出してから見て真似るしかない。そりゃ遅れる。
処方箋:音とキューを聞きましょう
私にも経験があるが、当初私は自分よりベテランの人は「見て反応が早い人」だと思っていた。だって、動きにすぐついていくのだから。
しかし、ある時気がついた。
イントラはキューをだしている。
そして音に合わせて動いている。
このことに気がついて、キューの意味が分かるようになればだんだん治る。
理由3 まわりが遅いとおもっている(ハヤドリ)
遅いのはまぁ治るし、正直そこまで迷惑ではない。
それより問題なのはワンテンポ早く動くパターン。いわゆるハヤドリさんである。
初心者があるとき、初心者じゃなくなるのである。
すると「あ!いま動けた!」という快感を得る。
その快感を得ると、ますます進化して
いつしか標準テンポを追い越してしまうのだ…
ハヤドリさんはなかなか自分でハヤドリであることが気がつかない。
上記のとおりで「上手くなった証」ぐらいに考えている人すらいる。
「ははーん、こいつら上手くなったオレさまの動きについてこれてないなぁ?」
ぐらいに考えている人種なのである。ホント。
3倍早くのがいいのはシャアだけよ。
結果、曲が動きに合わずw ずれていくというパターン
ハヤドリのたちがわるいのは、目につくことである。
ちょい早い動きだしされると、まぁストレスがたまるのだ。
ハヤドリする人もそれは思っているらしく、ハヤドリさんよりさらにハヤドリする人がいると、マウントをとるがごとく早くなっていくことすらある。
処方箋1:テングにガツンとストレートパンチ
「みんな動けてないなーって思う」なんて発言が出たときに一言
「アンタひとりはやいだけよ?」
…まぁこれも荒い対処法だが、テングになってきたなら一度鼻っ柱を折っておくのもありかなと
処方箋2:「私は音に合わせてるんだ」という
「あんた遅いよねー」なんてハヤドリさんに言われたら一言
「私は音に合わせているからね」
処方箋1よりは穏やか。こちらは相手のことを何も行ってないからね。
逆にこれでトゲがないと思うのもおかしいけどね。
たまーにこのセリフを乱発して嫌われるという人もいるので注意する。
処方箋3:音に合っているとはどういうことかを動きで示す
ハヤドリさんはどこかで絶対音とずれる。そんなときに
私はあってますけど?
と動きで示す。示しつづける。
まぁこれが一番穏やかだが、どこまでも気がつかない可能性もある。
理由4 曲のテンポが違うと思っている(ハヤドリ)
ハヤドリって理由が1つじゃないんですね。
「(今日は)曲が遅く感じられる」
っていうパターンもある。
(ちなみにこういうことを言う人って自分のテンポに関する自信ってすげぇなと思う。)
こう活字にすると当人ですらビックリするのではないかと思うが、これもまた案外聞くことが多い。
今日は遅く感じるなんてのは、もはやゾーンに入ったかのような感覚なんでしょうかね。
まぁエアロのクラスだとイントラがその日の調子などでピッチアップしたりすることがあるので、例外的に「本当に今日は遅い」という可能性があるが、まぁ一般的にはまぁないだろう。ましてやレスミルズのようなプレコリオプログラムではありえない。
処方箋1:「ピッチコントローラーでもあるのかな」
とりあえず指摘する系だが、まぁまぁ穏やか。
本人のことを直接言ってないからね。
処方箋2:音に合っているとはどういうことかを動きで示す
まぁこれですね。
理由5 スタートのタイミングだけしか合わせない(ハヤドリ)
これも案外多い。そして当人も気がついていることすらある。
よくイントラがずれていると
「曲にあわせましょー」
的なことを言う。
これは「曲のすべての音やリズムに動きを連続的に合わせましょう」という意味なのだが
一部の方は「曲の入りだけ」「振り付けの変更ポイントの最初だけ」点で合わせているのである。
しかもその理由が「全部はむりでしょ、だって曲聞きながらカラダ動かすなんて難しい」という。
初心者ならまだわかる。結果理由2と同じ状態になる。
問題はベテラン組で、この手の人は概ねハヤドリになる。
特にプレコリオプログラムだと顕著である。
そういう方は内心「なんとか合わせたい」と思っている。
で、どうするかというと「コリオを覚えれば合うだろう」という仮説を立てる。
この仮説は残念ながら誤りである。
正解は「コリオを覚えれば遅れない」である。
遅れはしないが、合わせるまでは至らない。結果としてたまに合うかもしれないが、結果音に合わせられない。しかも、知識があるから次になにをやるかが分かっている分、ますますハヤドリになってしまうというわけだ。
この手のタイプの難しいのは多少自覚がある上、他の方が「リズムに合わないのって気持ち悪いよねー」なんていう発言があるとますます追い詰められちゃうところ。素直に相談できて、かつ適切なアドバイスができる人に当たると治るのだが、そうでもないといつまでたっても悩みが尽きないことになる。
たいていのイントラはさすがに「曲に合わせて動く」という意味が分かっていて、こういう客側の悩みを共有しにくいので適切なアドバイスが得られていないのかなと思う。
処方箋1:音楽の基本を知ってもらう
zumbaみたいにたまーに3拍子の曲を使われることもあるが、それは例外とする。よって、ここでは4拍子または8ビートであることを前提とする。
以下、「いやいや、ソレ当たり前でしょ?」という話に聞こえるかもしれないが、私の経験からすればこういうところから話を進めた方がいい。
(1)4拍子でどうなるのかを知ってもらう。
ステップタッチをするならば
右、左、右、左
で必ず元の位置にもどるのだと分かってもらう。
案外このことがわからないから「次の動きまでの時間はこの動きをするんだ」と考えてしまって、なぞにジャブを1回多くやったりしてしまうのだ。
(2)曲にはいろいろなテンポがあることを知ってもらう。
ボディアタックや最近のコンバットのごとく、曲をテンポに合わせリミックスするパターンもあるが、基本的には曲のテンポは様々である。
とすれば、その各々にテンポがあることを知ってもらう。
同じ時間でも
「いちにぃさん…」ちょいしか入らない曲もあれば
「いちに」ぐらいしか入らない曲もある
また、同じ時間でも
「イチ!ニ!イチ!ニ!」と動かすこともあれば
「イーチ、ニーイ」と動かすこともある
これもまたわからないと、どの曲がかかっても同じスピードで動くものだから、自分のリズムにあう一部の曲以外は、ズレまくることになる。
(ある意味時間感覚に優れている気もするが…)
(3)1曲完成形をゆっくりやってみる
「いちにさんしーごーろくしちはち」でどの動きをしているのが正解なのかゆっくりやってみる。できればダンス系じゃないプレコリオプログラムがいい。ダンス系だと「エンカウント」が入ることがありそれがまた悩ましいことになるため。
するとたいがいのは「いちにー…」「ににー…」「さんにー…」「よんにー…」の4x8(x左右で2)ぐらいで構成されていることに気がつくのではないかと思う。
なお謎の予習ツール(PDF)があるなら、ちゃんと4とか8とか書いてあるのだから、それにそってやる。
(4)ごまかすところを決める
カラオケの曲で突然1音だけキーが高かったりして歌えないような場合、どうするのかといえば「そこだけ歌わない(無音)」。そうすれば下手な音をだして音痴にはみえないのだ。
たまーにどうやっても動けない動きが含まれている場合がある。その場合はリズムがくずれるくらいならカラオケと同様そこだけごまかすと決めた方がいい。そのほうが外野から見ていても全体のリズムがあっているように見える。
処方箋2:予習は止める
予習してハヤドリになるくらいなら、やめたほうがいい。
頑張って覚えているのにハヤドリしちゃうんだよなぁ…というなら一度やめてみたほうがいい。
処方箋3:筋トレ系プレコリオプログラムに参加してみる
ボディパンプ、ラディカルパワー、グループパワー…などなどに参加してみましょう。
別解としては、ボディバランス、オキシジェノ。
(いずれにしてもプレコリオ系が望ましい。そうでないとイントラさんのリズム感次第になってしまうため)
何が言いたいかというと、これらのプログラムはすこーしゆったりめの曲で構成されていることが多い。
イントラ側も「いちにさんしー」というし、客側も聞きやすい。
理想的にはこれらで1年ぐらい修行してから、コンバットなりファイドーなりに…とは思うがムリだわね。
ずれやすい人はこういう人
パターン1 マラソンランナー
走ることを考えれば、周囲に惑わされることなく安定したリズムのままカラダを動かしつづけることはとてもいいことなのだと思う。しかし、スタジオプログラムにおいてはちょっと注意してもらったほうがいい。ランニングとスタジオプログラムはリズムにおいては別物だ。
パターン2 ジム上がり
曲を聞きながら筋トレしてきた人も注意が必要である。この手の人は曲は環境音楽でしかないケースがあり、そもそも曲に合わせて筋トレしてない。すると曲に合わせるという意味がわからず、結果「スタートだけあわせりゃいいんでしょ」という結論に陥りやすい。
パターン3 頭がいい人
時代の最先端を歩んでいるような人はどうも人と違うリズム感があるようだ。スタジオ内でなんだかハヤドリしてるなぁと思っても、実社会では大企業の重役だったりする。気がつくと治るのだろうけど、案外頭のいい人も気をつけた方がいい。
パターン4 人の話を聞かない人
コロナ禍では微妙だが、基本的におしゃべり好きすべてが悪いわけじゃない。むしろ、それもふくめて楽しんでいるのだと思う。自分もその一人だ。
しかし、中にはしゃべるだけしゃべって人の話を聞かないタイプの方がいる。こういう人はスタジオにはいってもずれていることが多い。
パターン5 同じ話ばかりする人
パターン4に近いが、同じ話ばかりする人はどこまでも話の主語が自分だったりすることが多い。結果としてまわりと合わせられないことから、ずれることが多い。
最後に
ここまで読んで、もやもやしていたことがすっきりしてくれれば幸いです。そのことが結果として私のスタジオ内のモヤモヤもすっきりさせてくれるはずです(自己中かっ!)
おわり
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