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獣医と飼い主の近さ

次男猫の手術、最初は切らない方向で考えていました。

だって子供の頃からちょっと足もとがおぼつかない猫で、お年で背骨が二箇所癒着気味。それで3本足でバランスが上手に取れて歩けるか?背骨に負担がかからない?それが心配だったし、腎臓のケアもしてるのに、腎臓に負担のかかる全身麻酔に抗生物質、痛み止め。腎臓がダメになるのも致命的。

血管肉腫は症状が進行すると皮膚が裂け流血、しかもそれが臭うので世話が大変らしいのですが、慣れればいいと思っていました。しかし、やっぱり、ひとつ聞いておこうと思ったんです。

「先生ならどうしますか?」

先生は即答でした。

「僕なら切ります」

長男の時は右前脚の肩でしたが、次男の場合は患部は踵。
胴体から遠かった。でも骨には近すぎた。
「肉腫より2センチ外側まで切除して縫合する必要があるので、踵の場合は切るしかない。もしも胴体部分だったらすぐ手術を選択する人は多いけど……」と先生が話しているうちに、なんとなくわかったんです。私も夫も断脚というものに恐怖しているのであって、もしもそうじゃなかったら、獣医さんの言う通り、おそらく手術を選んでるのでは?

血管肉腫を残した場合、血管肉腫と腎不全、どちらで命を終えるだろう?
足を切った場合、腎臓や背骨にどれほどダメージが残るだろう?

結局、いつどうして亡くなるかは全て予想のまま決めなくちゃいけない。でも想像がつかないのは飼い主の方で、獣医は少し予想が立っている。そう思ったとき、獣医の経験値だけでなく、獣医本人と私の関係性が決め手になるんだと分かりました。

14年の付き合いだからよく知ってるとも言える。
まぁね、最初にお会いした時から、何となく気の合う人ではあった。
さらに、実は同じく14年も行きつけである美容室が動物病院の向かいにあり、美容室の店長からは病院の看板犬の治療のとき「延命だけを目的に治療しない人だから信頼してる」と聞いていたんです。

獣医だろうと医者だろうと、もっと別のなにかであろうと。決め手になるのは相手の人と自分の近さなんだなと、今回の一件で思ったのでした。

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うちのメインクーンどもについて。
我が家にはメインクーンの長男、次男、ラグドールの三男がいました。2020年2月14日、バレンタインデーに長男猫が右肩の肉腫で他界。3月15日、次男の右後ろ脚の踵が左脚より太すぎることに気づき、翌日には動物病院で血管肉腫の診断。獣医の「僕だったら切ります」に背中を押してもらい、4月13日、右後脚断脚手術。
痛みで亡くなる子もいると聞いていたのに、手術の翌日からドタン!ガタン!と幹部を打ち付けながら進む次男を強さを目の当たりにしていたら、大好きな三本足の烏の神さま"八咫烏"を思い出し、こりゃ八咫猫だ!と、彼の日記を書くことにしました。

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