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【32歳で卵子凍結をした話】〜クリニックの選び方編(費用比較表あり)_2024年3月に卵子凍結の感想を追記しました

現在婚活中の32歳ですが、少しでも将来子供を持てる可能性を高めるために今できることをしようと思い、卵子凍結をしてきました。
この記事では、同じく卵子凍結を考えている人に向けて、私の体験談を書いてみようと思います。

卵子凍結をするにあたって、特に大変だったのがクリニック選びでした。
何しろ情報が少ないし、素人からしたら何が重要かなんてよく分からないです。
また、費用面も保管期間や採卵回数によってクリニックごとにかなりの差があります。(それなのにH Pを見ても全然よく分からないのが絶望的…。)
でもせっかくやるなら技術面や保管環境は妥協したくないし、将来体外受精をすることも見据えた上できちんと病院選びをしたいですよね。

そこで私は、ネットで調べて出てきたクリニックについて、動画を観たり実際に足を運んで医師の話を聞き、費用についても保管期間、保管する卵子数、採卵回数ごとにExcelでまとめた上でクリニックを選定しました。(カバー写真はその一部で、実際に使用したExcelは有料部分からダウンロードできるようになっています。)
どの病院が良いかは卵子凍結のスタンスにもよりますし、各クリニックの感想はあくまで私の主観ですが、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。


1、私の卵子凍結に対するスタンス

卵子凍結をする方の中には、様々な考えの方がいるかと思います。
今はまだ結婚や妊娠をしたいタイミングではないから、仕事を頑張りたい時期だから、という方も多いのではないでしょうか。
でも私は、卵子凍結をした今でも、結婚や妊娠はなるべく早くしたいという考えです。
凍結卵子があるとしても、機会があるなら、キャリアよりも何よりも妊娠を最優先にしたいと思っています。

(1)卵子凍結をする理由

では何のために卵子凍結をするのか、といえば、理由は二つあります。

一つ目は、結婚相手がまだ見つかっていない現状で、子供を持てる可能性を最大限に高めるためです。
焦ってはいても、だからといって誰でも良いという訳ではないのが結婚というものだと思います。
妊娠のタイムリミットを理由に好きでもない相手と結婚する、という選択は、少なくとも私にとっては難しいし、したいとも思いません。
とはいえ子供を持ちたいという希望は強いので、そのために今できることがあるならやり尽くして、後悔をしないようにしたいと考えています。

二つ目は、子供を複数持ちたいと思った時に、その希望が叶う可能性を最大限に高めるためです。
子供が欲しいとは思っているものの、今のところ何人欲しいかは分かりません。
しかし、将来的に自分やパートナーが、2人、3人と子供を欲しくなる可能性は大いにあると思っています。
でも今からトントン拍子で結婚が決まって自然妊娠で第一子を出産したとしても、そこからさらに子作りする時には、35歳くらいになってしまいます。
妊娠・出産の前後では卵子凍結ができないことも考えれば、今のうちに第二子、第三子のために卵子凍結をしておく必要があると思いました。
(なお、第一子妊娠の際に体外受精をする場合には、受精卵凍結や胚盤胞凍結といった手段もあるので、その点は凍結卵子の個数を決める上で考慮しています。)

(2)私にとっての凍結卵子

私にとって凍結卵子はあくまで将来のための「保険」という位置付けで、そこに欲しい未来を全面的に託して自分の人生設計をするという風には考えていません。
後述の母体の高齢化に伴うリスクも考えると、やはり妊娠出産は早いに越したことはないと思っています。
子育てもなるべく若くて体力のあるうちにしたいですし、自分の年齢に伴ってパートナーの年齢も上がれば、男性不妊の可能性も高まります。
年齢というのは後から取り返しがつかないものなので、そこに対しては何よりも最優先にする、というのが私のスタンスです。

私は、自分の力ではどうしようもできないことを補完するために、今できる対策の一つとして、卵子凍結というものに向き合いました。

2、母体の高齢化に伴うリスク

卵子凍結に向き合う上で考えておかなければいけないのが、卵子凍結でどの範囲のリスクをどの程度軽減できるのかということです。
後者については何個卵子を凍結するべきかというところで記載するとして、ここでは前者について考えてみたいと思います。

(1)凍結卵子による妊娠プロセス

凍結卵子を使って妊娠するプロセスは、以下のような流れになっています。

卵子解凍→受精→培養→(胚盤胞に到達)→移植→(着床)→妊娠→(流産しない)→出産

そして各プロセスにおいて、どの程度の確率で順調に進むことができるかは、卵子凍結時の年齢との関連性が高いようです。

(2)流産率の変化と出産までのリスク

では、母体の年齢によっても各プロセスのリスクはどの程度変化するのでしょうか。

私が特に気になっていたのは、母体の高齢化に伴う流産リスクの増加でした。(平成25年版厚生労働白書図表2-3-24 不妊治療における年齢別の出産率と流産率
この点、流産の8割は早期流産(妊娠12週未満)であり、また早期流産の原因のほとんどは胎児の染色体異常で、受精卵の段階で流産するか否かが決まっています。(日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」日本生殖医学会Q23
流産と母体の年齢は無関係ではないようですが、凍結卵子の質が良ければ、母体が高齢化したとしても、流産率の上昇は限定的であるといえそうです。

提供(ドナー)卵子についてのデータを基にした下記グラフからも、女性の年齢の増加に伴う妊孕力(妊娠する力)の低下は、加齢による「卵子の質の低下」が主な原因であることが示されています。(日本生殖医学会Q24

提供卵子と自身の卵子を用いた生殖補助医療による治療成績

したがって、卵子凍結により、出産できる可能性を相当程度維持することが可能だと私は判断しました。

(3)合併症や出産時のリスク

もっとも、母体の高齢化により妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病や胎盤付着異常などの妊娠合併症のリスクは高まります。(例えば、妊娠高血圧腎症には子宮内胎児発育遅延の合併も多いため、早産児や低出生体重児となるリスクがあります。(高齢妊娠に伴う諸問題))
また、子宮内胎内死亡が増加したり、加齢による子宮収縮力の低下や産道硬化により、難産、常位胎盤早期胎盤剥離、緊急帝王切開など出産時のリスクも高まります。
これらのリスクを鑑みれば、なるべく母体の年齢が若いうちに出産するに越したことはないといえるでしょう。

3、何個卵子を凍結するべきなのか

卵子凍結をしようと考えた時に、何個卵子を凍結するべきなのかというのは悩ましいポイントだと思います。
なるべく可能性は高めたいものの、たくさん卵子を凍結しようとすると、かなり費用が高額となってしまうのが現実です。
ここは、何人産みたいかや、どのくらい可能性を確実にしたいかという、個人の価値観で決めるしかないところですが、参考までに私が事前に決めた方針とその理由について書いてみたいと思います。

(1)私のAMHとPCOS

まず前提として、私の妊娠に関するスペックについて記載すると、年齢は32歳で、AMHは7.85でした。
32歳のAMHの中央値は3.54なので、標準よりもかなり高い方となっています。
確定診断をされた訳ではありませんが、生理不順で生理が何ヶ月も来ない時もあることも踏まえると、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)である可能性が高いとのことでした。

PCOSの場合、1回あたりの採卵で採れる卵子の数自体は多いので、比較的少ない採卵回数で済む可能性は高いのかなと思います。
また、今後も卵子の数自体は多めであることや、第一子の段階で不妊治療を開始する可能性も高いことを考えると、今の段階で何度も採卵してまで多くの卵子を採らなくても良いのかなと思いました。

(2)受精卵凍結による体外受精と保険適用

体外受精のプロセスでも採卵を行いますが、採卵の後に受精させた受精卵が複数できた場合には、これを凍結して保存しておくことができます。
したがって、第一子で体外受精をした場合に、第二子の体外受精を見据えて受精卵を凍結させておくということが可能となっています。
そして大事なのは、この凍結した受精卵を用いて行う体外受精には、保険が適用されるということです。
未受精の凍結卵子を使った体外受精は1周期あたり50万円程度かかりますが、保険が適用されれば、6回までは1周期あたり20万円程度で済みますし、受精卵を用いて行う体外受精の方が成功率自体も高くなります。

そのため、第2子のためにどこまで卵子凍結を行うか、というのは個人の価値観によるのかなと思います。
もし早めにパートナーを見つけられそうで、第一子から不妊治療をすることになるのなら、まずは凍結卵子ではなく普通の体外受精で採卵した卵子を使用し、そして、その第一子の体外受精の際に余った受精卵を凍結しておいて、第二子のためにとっておくというのが一番コスパが良いです。
そうすれば、第一子も第二子も保険適用の20万円で体外受精を行うことができます。

しかしパートナーがいつ見つかるかは分からないので、第一子を体外受精する際にすでに自分の卵子がかなり老化しているという可能性もあります。
そのような場合で、かつ第二子まで欲しい場合に、第二子の分まで多めに卵子を凍結していることで、自分やパートナーの希望を叶えやすくなるという側面は確実にあります。

もっとも、ここで私が言いたいのは、第二子まで見据えた卵子凍結をする必要性が高いのは、①第一子が自然妊娠できそうな場合又は②パートナーが見つかる時期がかなり後ろ倒しになりそうな場合で、かつ③子供を二人以上欲しい可能性がある場合だということです。

そして、このうち①かつ③の場合は結局一人分の凍結卵子があれば足りるので、実際に二人分の凍結卵子を準備しておく必要があるのは②かつ③場合のみということになります。

(3)私の方針とその理由

以上を踏まえて、私は採卵回数1〜2回で、15〜20個の卵子を凍結することを目指すという方針で卵子凍結を行おうと考えました。

まず、私の今の年齢の卵子で8割くらいの確率で1人妊娠するためには、10個程度の卵子が必要となっています。(これはクリニックのデータによりかなり幅があるところですが、概ねこの位だと思います。)

PCOSで第一子妊娠の際も体外受精まで必要となる可能性が相当程度あるため、その際に受精卵凍結をすれば良いとも思いましたが、そのプランをメインに据えた場合、そもそも卵子凍結をする意味自体が希薄になってしまいます。
やはり私が卵子凍結をする目的は、いざという時のために32歳の今の卵子を残しておきたいということで、それを使うことが想定される主な場面がパートナーがかなり先まで見つからない場合だとすれば、その時に後悔をしない選択をしたいと思いました。

そして、子供を強く望む私としては、仮に将来的に子供は1人でも良いと考えたとしても、ある程度多めに卵子を凍結しておきたいというのが私の考えでした。
また、この位の個数であれば採卵は1〜2回で済みそうでありながら、副次的に第二子まで望めるので丁度良いかなと思いました。

4、いつまで卵子を凍結するべきなのか

では、卵子はいつまで凍結することを想定しておくべきなのでしょうか。
凍結卵子は1年ごとに保存料が掛かり、かつその料金がクリニックごとにかなり幅があるので、卵子の凍結年数はあらかじめ想定しておきたいところです。

この点、上記のとおり比較的年齢が若い状態で第一子の出産が望める場合には、まずは通常の体外受精を行うことを考えれば、少なくとも30代後半くらいまでは凍結卵子は使用しないという方向性で考えておくことが良いような気がします。(もちろん、体外受精の回数が嵩んだり、なるべく採卵回数を減らしたい、どのタイミングでもなるべく若い卵子を使用したいといった場合には、より早い段階で使用することになります。ここは個人の価値観です。)

そして、卵子を使用する最終地点としては、自分の場合は、やはり40歳の時点ではまだ子供を持つことを諦められないだろうと思いました。
40歳を超えた場合の心境はまだよく想像できないですが、可能性があるうちはトライしたいと思ってしまうのが人情だとは思います。
したがって、私は40歳〜42歳まで保管すること、すなわち、8〜10年は保管することを想定しておこうと考えました。

5、病院を探す際に見ていたポイント

ご参考までに、私が卵子凍結の病院を探す際に見ていたポイントについてご紹介します。

(1)口コミの見方

口コミを見る際に私が重視していたのは以下のポイントです。

・口コミの理由
・口コミのいいねの数
・口コミのアカウントの実態

良い口コミも悪い口コミも理由が具体的かどうかが一番大切で、本当に治療した人の切実な声であるかは重視していました。
また、信憑性の高そうな口コミについては、特に悪い口コミの場合には、いいねがたくさんついていたら警戒します。
悪い口コミは特に、書きたくても書けない層が多いと思うので、理由が具体的な悪い口コミにいいねがたくさんついている場合には、共感している人が多い内容の可能性が高いと思うからです。
また、クリニックの評価が高くても、実態はサクラやどうでも良いコメントばかりということもあるので、各口コミのアカウントの実態は確認しておくと良いと思います。

(2)医師の経歴はどう見るか

医師の経歴については、詳しく書いてあればあるほど信頼できるという風に考えていました。
「何年〜何年まで●●病院で勤務」と具体的に記載している病院だと、きちんと研修を受けていなかったり、産婦人科医としての経験が浅かったり、病院をすぐ辞めてしまう医師がいないかを確認できます。
また、経歴の良い医師が多いということは、それだけ就職先として優良なクリニック=ステータスのあるきちんとした病院、であるといえると思います。

知り合いの医師が、何で違う科の医師を判断しているかという話の時に、「後期研修の病院が東大病院や慶應病院の系列だったら大丈夫かなと思う」と言っていたので、後期研修の病院についても一応確認していました。

(3)セミナーの内容から分かること

YouTubeなどでセミナーをやっているクリニックの場合には、その内容を確認しておくのが良いと思います。
セミナーで積極的に良いクリニックかを判断するのは難しいですが、自分が調べた知識と照らして違和感のある内容だったりしないかはチェックしておくに越したことはないです。
気になるところがある場合は他のクリニックを優先したり、初診の際に質問しても良いと思います。

6、私が選んだクリニックとその理由

ここから先は、私が実際に調べたりクリニックに足を運んだりして得た生の情報を中心に書いていこうと思います。
かなり赤裸々かつセンシティブな内容となっているのと、あまり煽りたくないので有料に閉じさせていただきます。
自分で調べるのが苦手だったり、各クリニックを回る時間がないという方には是非参考にしてください。

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