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【Vol.1】自分を起点に婚活をする。

結婚相談所、マッチングアプリ、街コン、相席屋。

幸運なことに、現代のアラサー世代には、出会いの場がたくさん用意されている。

それなのに…。

どうして私は未だに独身なんだろう。32歳の美奈子は、ワンルームの部屋の片隅でひとりため息をついた。

出会うために出会う、の罠


結婚をしたいなら、出会いの場に赴くのが手っ取り早いはず。

31歳で婚活を始めた当初、美奈子はそう思っていた。

子供が欲しい美奈子は結婚に焦っていたため、休日をデートや出会いのイベントで埋め尽くした。

しかし、そんな風に半年ほど過ごした結果、美奈子の心は「婚活」というものに拒絶反応を示すようになってしまった。

その理由としては、

・出会いの場に行っても良い人と出会えないと、せっかくの休日を無駄にしたと感じてしまう。

・マッチングアプリのメッセージが面倒。やり取りをして良いなと思っても、実際に会うと思っていたイメージと違うことがよくある。

・初対面の人に毎回自分の話をするのが疲れる。自分自身について語りたいことが特にない。

・共通の話題が特にない相手と、査定し合いのような会話をするのが疲れる。

・魅力的と思う人に出会えない。少なくとも美奈子のスペックではピンポイントで魅力的な相手と出会うのは難しい。

といったところだった。

自分に合う相手を見つけるためには、たくさんの人に出会う必要がある。

とはいえ、出会うこと自体を苦痛に感じてしまうのでは続かないだろう。

そこで美奈子は、婚活のやり方を変えることを決意した。

婚活以外のメリットを作る


まずテコ入れすべきは、婚活の徒労感だろう、と美奈子は考えた。

ある時間を、「特定の誰か」と出会うことを目的としたものとすると、その「特定の誰か」を結婚相手ではないと判断した場合に何も残らない。

そこで美奈子がまず試みたのは、社会人サークルや合コンへの参加だった。

これなら婚活としては上手くいかなくても、やりたいことをやれたり、友達を作ったりすることが可能だから、消耗しにくいのではないか。

そう思って色々な集まりに足を運んだが、これらについても美奈子は早々に限界を感じた。

この方法の問題点は、下記のようなものだった。

・そもそも興味のある社会人サークルがあまりない。家からの近さや運営方針、メンバー等も含めると定期的に行きたいと思える程のサークルを見つけるのは困難。

・そうした場で友達になろうとしてくる人にマルチ系の人が混じっている(初期段階で見分けがつかないので、関わると時間を無駄にする)。

・合コンの質はランダムなのでイマイチなことの方が多い(人選、お店ともに)。

友人からのアドバイス


とある合コンからの帰り道、美奈子はものすごい虚無感に襲われていた。

何もかもが微妙な合コンに参加してしまい、それなのに無駄に気を遣って愛想を振りまいてしまった自分が馬鹿みたいだと思った。

やりきれなくなった美奈子は、大学時代の友人の優太に電話を掛けた。

久しぶりの電話なのに、婚活の愚痴を聞いてもらうなんて恥ずかしい…

そう思っていたけれど、そんな美奈子に対して優太は、いくつかのアドバイスをしてくれた。

・どういう人と出会いたいか、どういう人と自分は相性が良いか、というのを考えて、そこから出会い方を考えるのが良いのではないか。

・自分のやりたいことをする過程で出会うことを目指せば、少なくともやりたいことはできるし無駄にはならない。

・時間は有限だから、自分と合いそうにない人と時間を過ごすのはやめた方が良いと思う。美奈子の場合は、あまり即物的な人よりも、アートとかエンタメとかそういうのに興味を持っている人の方が良い。

・バーに通うのも良いのでは。毎回このお酒の味を知ろうってテーマを決めて行けば、お酒に詳しくなるというプラスがある。

・相手を深く知るための会話の糸口は、予め用意しておくと良い。そうすればテンプレの情報以外の会話に誘導できる。

優太とはそれから、お互いの仕事や、共通の友人についての話をした。

「俺は大人になっても人生は楽しいんだって、自ら体現していきたくて、今の仕事をしている。」

街灯に照らされるアスファルトを眺めながら、昔から全く変わらないことを言っている優太を眩しく思った。

強者になりたいし、強者と出会いたい


色々と行動した結果として、美奈子は一つの真理を悟った。

それは、

「他人に乗っかって出会う出会いは効率が悪い」

ということだ。

プラットフォームを利用した出会いは基礎スペック以上の出会いは望めないし、

誰かの作った場は、その誰かにとって都合の良いように出来ている。


そもそも美奈子は、強者な男性が好きだ。

これまでも、自ら人生を切り拓いていくような、欲しいものには自ら手を伸ばすような、そんな人を好きになってきた。

過去に付き合った元彼達が、結婚相談所やマッチングアプリに登録しているイメージはない。

街コンには絶対に参加していないだろう。

だとしたら、自分の性癖に合う人をそこから探すというのは効率が悪いはず。

現に、それなりに色々な人を好きになってきた美奈子が、婚活では誰にも恋愛感情を抱くことができなかった。


美奈子は、今までどこかで楽に欲しい現実を手に入れたいと思っていたのだ、ということに気がついた。

本当に好きで素敵だと思える人と結婚をして、生涯にわたって愛し愛される夫婦関係を築きたい…

でもそんなのはきっと、一握りの人間が持っている夢見たいな現実で、そう簡単に叶うはずがない。

自分で幸せを掴み取る覚悟を持とう、美奈子はそう心に誓った。

今後の作戦会議


そこで美奈子は今後の作戦会議をすることにした。

まずは12月に、思いついた以下のことを少なくとも1回は実行しようと思った。

①合コンを開催する

別の合コンや社会人サークル等で合コンに誘えそうな魅力的な女性(自分と系統は被らないが美人で友達になりたい性格の子)をストックする

1対1の相席屋で、自分の恋愛対象ではないけれど魅力的で、合コンの幹事として良さそうな男性に合コンを打診する

家から近くて料理の美味しい会場で合コンを開催する

<メリット>
・相席屋に行く目的を増やすことができる
・普段は出会いの場に赴かない男性と知り合える
・友達になりたい女性と会う機会を増やせる
・全員にとってメリットのある良質な出会いの場を提供できれば、今後も良い人間関係として残るかもしれない
・家から近くの美味しいものを食べられる
・領収書が手に入る←

<デメリット>
・男性幹事が良い人を連れてきてくれることは保証されない

②映画観賞会/英語勉強会を開催する

目的のあるイベントパターン。

普通に人を集めることが難しければ、イベント用のアプリとかを活用する。

英会話スクールや英会話イベントから引っ張ってくるのもあり。

<メリット>
・観たい映画を観たり、英語の勉強が出来たりする
・向上心のある人と出会える

<デメリット>
・参加者を集めるのは大変そう
・ある程度の枠の時間を使う

③読書会を開催するための準備をする

毎月テーマを決めて1冊読んできて、それについて語り合うような会を開くことを目標とする。

これに関しては、いきなり趣味が合いそうな人を見つけるのは難しいと思うので、まずはnoteに読んだ本の感想を書いて、似たようなことに興味を持っている層にリーチする。

<メリット>
・自分の興味関心を深めることができる
・趣味の近い人と出会える
・自分の考えを口頭で伝える、ということが苦手なのでその練習になる

<デメリット>
・実現するまでに時間がかかりそう
・趣味の近い人が結婚相手として良いのかは謎

④バーに通う

空き時間にバーに通って、そこで連絡やイベント準備等の作業をする。

バーのマスターと仲良くなったら、通っている人で良い人がいないか探りを入れる。

毎回知らないお酒を頼んで学習する。

⑤銭湯つきのジムに通う

自宅の概念を拡張して、銭湯を自宅のお風呂だということにする。

その中で自然とよく顔を合わせる人ができれば、積極的に仲良くする。

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今までやったことのないことをやるのは骨が折れる。

でも、これらを実行した先には、今までの自分とは違う自分になれているはず。

美奈子は淹れたてのコーヒーをゆっくりと飲みながら、変化していく自分と未来を楽しみだと思った。

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